主にマンションや一戸建てといった不動産を購入する際、物件の代金は住宅ローンを組んで支払うのが一般的です。そのため、まとまったお金は必要ないと思われがちですが、不動産購入時にはさまざまな諸費用がかかり、その分は現金で用意しておく必要があります。さらに細かく説明すると、諸費用と税金に分けることができ、金額の総額は新築で物件価格の3~5%、中古で物件価格の5~10%が目安です。
不動産購入時にかかる主な諸費用は以下の通りです。
- 仲介手数料
- 手付金
- 頭金
- 登記費用
- 火災保険料・地震保険料
- 印紙税
- 登録免許税
- 不動産取得税
- 固定資産税・都市計画税
- 消費税
この記事では、これらの諸費用や税金はどのようなものか、どの程度支払う必要があるかなどを詳しく紹介します。不動産の購入を検討していて、物件の購入代金以外にかかる費用が知りたいと考えている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
不動産の購入でかかる諸費用・税金一覧
まずは、不動産購入でかかる諸費用と税金を一覧で紹介します。
諸費用
名称 | 費用 |
仲介手数料 | ・取引価格200万円以下で取引額の5%以内 ・取引金額200万円以上400万円以下で取引額の4%以内+20,000円 ・取引額400万円を超えると取引額の3%以内+60,000円 ※上記にプラス消費税 |
手付金 | 物件価格の5~10% |
司法書士報酬 | 50,000~100,000円 |
火災保険料・地震保険料 | 補償内容、期間によって異なる |
住宅ローン手数料 | 30,000~50,000円 |
税金
名称 | 費用 |
印紙税 | 物件価格によって異なる ※200円~100,000円 |
登記免許税 | 固定資産税評価額×所定の税率 |
不動産取得税 | ・建物=固定資産税評価額×3% ・土地=固定資産税評価額×1/2×3% ※税率3%の特例は2024年3月31日まで、その後は税率4% |
固定資産税・都市計画税 | ・固定資産税=固定資産税評価額×1.4% ・都市計画税=固定資産税評価額×0.3% ※税率は自治体によって異なる |
消費税 | 購入した建物の10% |
不動産購入時にかかる諸費用の詳細
ここからは、前述した諸費用や税金について詳しく紹介します。
仲介手数料
仲介手数料は、不動産会社に支払う手数料で、新築では発生しないことが多く、主に中古物件を購入する際に必要となるものです。
購入する物件の金額によって変わるものですが、不動産の購入は多くが400万円以上の物件となるため、例えば4,000万円の住宅を購入した場合は以下のように計算されます。
- 仲介手数料=120万円+6万円×1.1=126万円
こちらは上限額となるため、より細かい料金は不動産会社によって異なります。
手付金
手付金は、頭金とは別に払う必要があるお金で、購入代金の5~10%が相場です。買主が一方的にキャンセルを申し出ても手付金が返金されることはありません。
反対に、売主がキャンセルを申し出た場合、手付金の倍の額が買主に返金されることになっています。トラブルなく売買が進めば、手付金は不動産の代金の一部に充てられることもあれば、返金されることもあります。
司法書士報酬
新築では「所有権保存登記」、中古では「所有権移転登記」が必要となります。これらは、自分で登記を行った場合は必要ない費用ですが、一般的には司法書士に依頼することになります。相場は50,000~100,000円程です。
火災保険料・地震保険料
住宅ローンを組む場合は、火災保険への加入が必須です。ただし、火災保険は地震の被害を補償できないため、地震保険にも入る必要があります。火災保険や地震保険は、補償内容や期間によって金額が異なります。
住宅ローン手数料
金融機関と住宅ローンの手続きを結ぶ際に必要となる手数料です。相場は30,000~50,000円ほどですが、金額の決め方は金融機関によって異なります。
また、住宅ローンを組む方は、万が一返済ができなくなってしまったときのことを考え、保証会社に対して費用を支払うケースもあります。
住宅ローン手数料とは別の費用ですが、金利に上乗せされている場合や、保証料がかからない金融機関もあります。
不動産購入で必要な税金
ここからは、不動産購入で必要となる税金を紹介します。
印紙税
印紙税は、売買契約書や、住宅ローンの契約書などを作成する際に必要なもので、契約書1通につき必要な金額の印紙を貼らなければいけません。
以下は、印紙税の金額です。なお、2024年3月31日まで不動産売買契約書及び工事請負契約書に課せれらる印紙税が軽減されているため、軽減された額を記載しています。
契約書記載金額 | 不動産売買契約書 | 工事請負契約書 | 金銭消費賃借契約書 |
1万円未満 | 非課税 | 非課税 | 非課税 |
10万円以下 | 200円 | 200円 | 200円 |
50万円以下 | 200円 | 200円 | 400円 |
100万円以下 | 500円 | 200円 | 1,000円 |
500万円以下 | 1,000円 | 200~1,000円 | 2,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 | 5,000円 | 10,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 | 10,000円 | 20,000円 |
1億円以下 | 30,000円 | 30,000円 | 60,000円 |
5億円以下 | 60,000円 | 60,000円 | 100,000円 |
10億円以下 | 160,000円 | 160,000円 | 200,000円 |
50億円以下 | 320,000円 | 320,000円 | 400,000円 |
50億円を超えている | 480,000円 | 480,000円 | 600,000円 |
金額記載なし | 200円 | 200円 | 200円 |
詳細な軽減措置前の金額については、国税庁が発表している資料をご覧ください。
⇒国土交通省税制改正概要
⇒「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について
登録免許税
不動産を登記する際にかかる税金は、以下の種類があります。
- 所有権に関する登記(所有権保存登記、所有権移転登記)…固定資産税評価額×所定の税率
- 抵当権設定に関する登記(抵当権設定登記)…債権額×所定の税率
また、登記免許税に関しても軽減措置が適用され、それぞれ以下のような税率となります。(2024年3月31日まで有効)
種類 | 要件 | 通常税率 | 軽減税率 |
新築住宅の保存登記 | ・居住するための住宅 ・新築または取得してから1年以内の登記 ・床面積が50平方メートル以上 | 0.4% | 0.15% |
中古住宅の移転登記 | ・居住するための住宅 ・取得してから1年以内の登記 ・床面積が50平方メートル以上 ・マンションなどの耐火建築物は築25年以内、木造など耐火建築物以外は築20年以内のもの。これに該当しない場合は、一定の耐震基準に適合するもの。 | 2.0% | 0.3% |
抵当権の設定登記 | ・居住するための住宅 ・取得してから1年以内の登記 ・床面積が50平方メートル以上 ・マンションなどの耐火建築物は築25年以内、木造など耐火建築物以外は築20年以内のもの。これに該当しない場合は、一定の耐震基準に適合するもの。 | 0.4% | 0.1% |
土地の移転登記 | 土地の売買による所有権移転登記 | 2.0% | 1.5% |
不動産取得税
不動産取得税は、固定資産税評価額×3%で計算され、新築、増築、改築、中古購入すべての不動産取得でかかる税金です。通常4%の課税が、2023年3月31日までは軽減税率が適用されています。
固定資産税・都市計画税
固定資産税や都市計画税は、1月1日時点で土地、建物を所有する人が1年分まとめて税金を払う制度ですが、不動産を購入した場合は、日割りで計算してまとめて支払う必要があります。
- 固定資産税……固定資産税評価額×1.4%
- 都市計画税……固定資産税評価額×0.3%
税率は自治体によって異なるケースもあるため、ご自身がお住まいの市町村で確認しましょう。また、固定資産税評価額は、各自治体が3年ごとに定めています。
消費税
不動産購入をすると、建物部分に10%の消費税が加算されます。
まとめ
不動産を購入すると、上記で紹介した諸費用や税金以外にも、家具や引っ越し費用などがかかります。
住宅にかかる資金はローンでやりくりしようと思っても、一般的に新築で物件価格の3~5%、中古で物件価格の5~10%の諸費用・税金は、現金で用意する必要があることを把握しておきましょう。
記事内で紹介した内容を参考に、余裕を持った資金計画を立ておくことをおすすめします。