これから住宅を購入する方にとって、住宅ローン審査が不安という方は多いでしょう。
住宅ローンの審査の流れや審査項目を事前に知っておくことで、審査に落ちる心配が軽減されるでしょう。
この記事では、住宅ローンの審査の流れ、審査に落ちる理由、審査に落ちないためのポイントを解説します。
ぜひ最後まで読んで、住宅ローンについて理解を深め、審査に備えましょう。
住宅ローンの審査の流れ
● 本申込み・本審査
● 金銭消費貸借契約(ローン契約)
住宅ローンの審査の流れについて解説します。住宅ローンの審査は「事前審査」と「本審査」の2回行われるのが一般的です。申込み方法はネットからの申込みと店頭で申し込む2つの方法があります。事前審査は早い人だと1〜3日で結果が出ますが、通常は1週間程度の時間がかかります。
事前審査をで承認をもらった場合、よほどのこと(新たな借入や税金の滞納など)がない限り本審査で否決されることはありません。
本審査は一般的に1〜2週間で回答が出ます。
金銭消費貸借契約は金融機関との、住宅ローンについての正式な契約で、決済日が決まった段階で契約を結びます。
住宅ローンで審査される点
住宅ローンの仮審査と本審査それぞれで審査される点を解説いたします。
仮審査
1. 返済能力
仮審査では「この人がどれだけお金を返済できる能力があるか」という返済能力について審査されます。
具体的には以下のような項目から、収入だけではなく、個人資産や過去の借入の状況など、様々な観点から審査されます。
● 収入
● 勤務先・勤続年数
● 借入状況
● 家族構成
● 健康状態
● 個人信用情報
2.物件担保評価
万が一借りた人が返済ができなくなった場合、金融機関は融資した物件を売却することで資金を回収します。
そのため、十分回収できるだけの物件かどうかの審査が行われます。つまり、将来にわたっても資産価値がある物件であるかを確認します。
具体的には以下のような項目をチェックします。
● 権利関係
● 遵法性
本審査
本審査は、不動産の売買契約後に行われます。
仮審査では、基本的に申込者の情報は自己申告になりますが、本審査ではその申告内容が正しいかどうかを確認します。そのため、以下の書類を提出して本審査を行います。
また、仮審査の際に提示された条件(既存のローンの返済、クレジットカードの解約など)があれば、それを証明する書類を提出します。
● 住民票
● 納税証明書
● 団体信用生命保険申込書(健康状態の告知書)
● 完済証明書(既存ローンの返済が条件の場合)
このように、本審査では詳細な情報を基に厳密な確認が行われます。
住宅ローン審査で落ちてしまう際に考えられる理由
住宅ローンの審査で落ちてしまう理由を詳しく見ていきましょう。
返済比率オーバーしている
金融機関は申込者の返済能力を「返済比率」という指標で審査します。返済比率とは、申込者の年収に対して、年間のローン返済額(住宅ローン以外も含む)が占める割合です。
そのパーセンテージは金融機関や借入内容によって異なりますが、一般的に30〜35%以内が基準とされています。
年収が不足していたり、ほかの借入が多く返済比率が基準をオーバーしてしまうと審査で落ちる可能性があります。
過去の返済事故(滞納)がある
返済比率が基準以内であっても、過去にローンの滞納がある場合は審査に落ちることがあります。金融機関は「個人信用情報」をもとに、申込者の返済履歴や事故歴を確認します。
個人信用情報とは、ローンやクレジットカードの申込や返済の記録などの情報で、国内の信用情報機関に登録されています。
この情報に滞納や債務整理の記録があると、「ブラックリスト」に載ってしまい、新たな借入ができなくなります。ただし、ブラックリストの記録は一般的に5〜7年で消えるとされています。
過去の履歴が気になる方は、自分の個人信用情報を確認することが可能です。
自営業もしくは収入が不安定
自営業や会社を経営している場合は、安定した収入が住宅ローン審査で重視されます。このため、3年分の確定申告書や会社の決算書を提出し、収入の安定性を確認されます。
収入の変動が大きい場合、審査で不利になる可能性があります。また、会社の業績も審査に影響します。
一方、サラリーマンの方は前年の収入証明で審査されますが、ボーナスや歩合給の割合が多い場合、収入が不安定と見なされることがあり、審査に落ちる可能性もあります。
このように、収入の安定性が住宅ローン審査の重要なポイントとなります。
独身の単独購入
独身の方が住宅ローンの審査で落ちることがあるのは、以下のような理由が背景にあります。
金融機関は、「住宅ローンは自分と家族のために使われるものであり、きちんと返済してくれる」という前提で、長期間にわたり低金利でお金を貸します。
しかし、独身の方は将来的に家族が増えて広い物件に引っ越す可能性があり、気軽に転居することも多いため、転居後に物件を賃貸に出してしまうリスクが懸念されます。
そのため、独身の方の住宅ローンの審査はファミリー世帯に比べて厳しくなる傾向があります。
特に、ワンルームマンションや小規模の物件を購入する場合は、賃貸に出される可能性が高いと見なされるため、さらに慎重な審査が行われることが多いです。
健康状態に不安がある
住宅ローンには団体信用生命保険がセットされています。これは、ローンを借りる方が万が一死亡した場合に、保険会社が残りのローンを支払ってくれる生命保険です。
申込者にとっては安心できる保険ですし、金融機関にとっても借入が保証される重要な保険です。したがって、住宅ローンを組むためには、団体信用生命保険に加入することが条件になります。
一般的な生命保険と同様に、持病があったり、最近大きな病気をした方は加入できません。
団体信用生命保険に加入することができない方は、住宅ローンが組めない可能性があるため注意が必要です。
住宅ローン審査に落ちないための対策
住宅ローンの審査に落ちないために事前にできる対策はあるのでしょうか。詳しく解説いたします。
車やショッピングで多額の借入をしない
住宅ローンの審査では、「返済比率」が重要な基準となります。
返済比率は、年間のローン返済額が申込者の年収に対してどの程度の割合を占めるかを示すもので、住宅ローン以外のローンもすべて含めて計算されます。
そのため、車やショッピングローンが多い場合、返済比率が高くなり、住宅ローンが組めなくなる可能性があります。住宅ローンを申し込む前に、車の購入や高額なショッピングは控えた方が良いでしょう。
また、カードローンやクレジットカードのキャッシング枠は、実際に利用していなくてもすぐに引き出せるため、借入れとして計算される場合があります。
使っていないクレジットカードが多い場合は、住宅ローンの申込み前に整理することをおすすめします。
住宅購入の前に転職をしない
住宅ローンの申込者は原則として勤続1年以上であることが求められますが、1年未満でも審査を受けることは可能です。
ただし、勤続1年未満の場合、「なぜ転職したのか?」や「すぐに転職するのではないか」といった懸念があり、審査が厳しくなる傾向があります。
同業職への転職や、キャリアアップ(年収アップ)による転職であれば、ポジティブに捉えられる可能性があります。しかし、異業種への転職や収入が下がる転職をしている場合は、審査で不利になることがあります。
転職を考えている場合でも、住宅ローンの申請をする前に転職をしてしまうと審査に通りにくくなるため、注意が必要です。
事前審査を複数の金融機関に申込みすぎない
住宅ローンの事前審査は複数の金融機関に申し込むことが可能です。
ただし、あまりにも多くの金融機関に申し込むと、「他の金融機関で断られたのではないか?」や「何か問題があるのではないか?」と疑われる可能性があります。
金融機関は個人信用情報を確認できるため、他の金融機関に申し込んでいることは分かります。そのため、複数の金融機関に申し込む際は、2〜3社を限度にするのが望ましいです。
それ以上申し込むと、審査が通りづらくなる可能性があるため注意が必要です。
まとめ
この記事では、住宅ローンの審査の流れ、審査項目、および審査に落ちないための注意点を解説しました。
金融機関は「この人にお金を貸してもちゃんと返してくれるだろうか?」という視点から審査を行います。
収入が少ないことや、他のローンが多いことはもちろん審査に影響しますが、それ以外にも仕事の内容、家族構成、健康状態なども重要な審査項目です。
住宅ローン審査において、収入を増やしたり、既存のローンを減らすことは簡単ではありませんが、次のような対策は事前に知っておけば実行できます。
● 転職をしない
● 事前審査を多くの金融機関に申し込みすぎない
これらの対策を踏まえ、住宅ローン審査をスムーズに進めていきましょう。