不動産投資ローンの金利相場を知っていますか?
副収入、節税、保険などのメリットがあるミドルリスクミドルリターンの不動産投資において、金融機関からの借入金利はとても重要です。なぜなら、低金利であれば総支払額が安くなるため、よりキャッシュフローを安定させることが可能だからです。
不動産投資ローンの金利は、属性や借入先により大きく変動します。それぞれの金融機関が独自の審査基準を設けており、さまざまな融資リスクを判断して金利幅を決定しているため、不動産投資ローンの金利はこれ位と明確な数字を出すことはできません。
しかし各借入先で相場は存在しますので、不動産投資ローンを組もうと考えている方は、この記事を参考に金利相場を把握しておきましょう。
不動産投資ローンと住宅ローンの違い
高額な不動産を購入する際、多くの方はローンを組みます。不動産購入に関わるローンには、大きく分けて住宅ローンと不動産投資ローンの2種類があります。
まず、借入の目的・審査内容・返済原資の3つの項目で、不動産投資ローンと住宅ローンの違いを詳しく解説していきます。
借入の目的
不動産投資ローンと住宅ローンはどちらも金融機関から不動産を購入する時に利用できるものですが、借入の目的が異なります。
● 不動産投資ローン⇒不動産投資をする物件を購入する時
住宅ローンは自分が住む物件を購入、または増改築する時に組めるローンなので、賃貸経営を目的にした物件を購入する時には使用できません。対して不動産投資ローンは、不動産投資で収益を得る物件を購入する目的の時だけ組むことができます。
それぞれ借入の目的がまったく異なるローンなので、たとえば住宅ローンを組んで購入した物件を人に貸して家賃収入を得た場合、それは重大な契約違反となります。
審査内容
ローンを組む際には必ず金融機関による審査がありますが、前述したように貸付する目的が不動産投資ローンと住宅ローンでは違うので審査内容も異なります。
● 不動産投資ローン⇒個人の信用度だけではなく物件の収益性も審査
住宅ローンの審査で重要視されるのは個人の信用度です。年収、勤続年数、貯蓄金額などを入念に審査し、長期間のローンを組んでも返済できるかどうかを調べます。対して不動産投資ローンの場合は、個人の信用度はもちろん重要ですが、それに加えて投資物件の収益性も審査されます。
住宅ローンとは違い不動産投資ローンは、個人の信用度が悪くても投資用物件が将来に渡り継続的な収益が見込めるものだと判断されれば、審査に通過する可能性があります。
返済原資
返済原資とは、借入金の返済に充てる資金のことです。住宅ローンと不動産投資ローンでは返済原資が異なるため、金融機関からの融資金額にも差が出てきます。
● 不動産投資ローン⇒家賃収入
住宅ローンは自分が住む物件を購入する際に組むものなので、一般的な返済原資は毎月の給与収入からです。対して不動産投資ローンは、入居者の家賃収入から支払います。
返済原資が異なることで、金融機関からの融資金額にも違いが生じます。
住宅ローンの融資金額は個人年収の5~8倍までが一般的な上限なのに対して、不動産投資ローンは個人年収の10~20倍が上限になるケースもあります。
不動産投資ローンは返済原資が家賃収入になるため、投資物件の将来性が高いと審査されれば高額な融資を受けることが可能なのです。
借入先別の不動産投資ローン金利相場
不動産投資ローンは借入先により金利相場が大きく変わります。ここからは、金利相場と合わせてそれぞれの特徴も解説していきます。
都市銀行
都市銀行とは一般的に三菱UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の大手メガバンクを指します。
都市銀行の金利相場は1%~2%と低いのですが、融資ハードルが高く、審査に要する時間が長いというデメリットがあります。融資を受けることができれば最も魅力的なローンを組めますが、個人の属性だけではなく投資物件の将来性についても細かく調べられるので、高い属性を有していない限りローンを組むのは難しいです。
たとえば、三井住友銀行が提供しているアパートローンは申込条件で年収800万円以上という項目があります。このような高い基準が設けられているケースが多いのが都市銀行の特徴です。
地方銀行
各地域に根付いている地方銀行は、その銀行によって不動産投資に対する姿勢がさまざまです。積極的に融資してくれる銀行もあれば、消極的な銀行もあります。
地方銀行の金利相場は1.5%~4%なので都市銀行よりは高いのですが、融資ハードルが低いという特徴があります。都市銀行では融資がおりなかったものの、地方銀行では大丈夫だったというケースは多くあります。
しかし、地元中心で営業している地方銀行が多いので、この地域の物件だけであれば融資するといったエリアを限定されるケースがあります。さらに、100%融資の取り扱いは少なく、一定割合の自己資金の用意が必要になるケースも多いです。
ノンバンク
ノンバンクとは、系列銀行から資金を借りて融資業務を行っている金融機関です。銀行より融資を受けやすいのですが、金利は高く設定されています。
ノンバンクの金利相場は2%~5%です。あくまでもこれは相場であり、なかには8%の金利で貸し出しているノンバンクもあります。しかし、審査は非常に緩いため、キャッシュフローへの影響を加味しながら利用を検討すれば上手に活用できます。
ノンバンクはお金を貸して利益を出すという業種であるため、銀行とは違い高い金利が設定されている代わりに比較的簡単にお金を借りることができるのです。
不動産投資ローンは変動金利を選ぶ人が多い
金利には、融資実行時点から金利が変わらない「固定金利」と、経済状況などに合わせて5年ごとに金利を見直す「変動金利」があります。それぞれ一長一短な特徴があるのですが、不動産投資では変動金利でローンを組む人が多い傾向にあります。
その理由は、変動金利の方が固定金利よりも金利が低く設定されているからです。金利は毎月必ず支払うものなので、できるだけ低いに越したことはありません。
経済状況や景気の良し悪しで上がってしまう可能性があるというデメリットはあるものの、金利が上昇してしまいそうな時は金融機関から連絡が入って担当者と相談することも可能です。
確かに金利が上昇するかもしれないというデメリットはあるものの、固定金利よりも安く設定されていて、期間の短いローンであれば金利が低いまま完済できる可能性もあるため、わざわざ最初から金利が高い固定金利を選択する理由はあまりありません。
そもそも、不動産投資ローンの金利は変動金利がメインになっており、固定金利を選ぶことができない金融機関も多くあります。万が一どちらかを選択できる金融機関であっても、変動金利を選択することをおすすめします。
まとめ
不動産投資ローンと住宅ローンの違い、借入先別の金利相場について詳しく解説してきましたが参考になりましたか?
不動産投資で毎月安定した収益を得るためには、ローンの借入期間と金利はとても重要です。不動産投資ローンにおける金利は自分の手元に残る収益の多寡を大きく左右するものなので、慎重に検討してから借入する金融機関を選択しなければいけません。
相場を知らずにローンを組み高い金利を支払い続けてしまうと、自分が思い描いている資産を築くことができなくなってしまうかもしれません。金利相場を理解し、自分に合った最も適切な不動産投資ローンを選びましょう。