安定した家賃収入が見込める不動産投資は、ミドルリスク・ミドルリターンの投資案件として高い注目を集めています。
賃貸物件は一般的に2年から3年は居住するため、入居者が確保できていれば安定した収入が見込めます。また、管理会社に丸投げして運用を任せることもできるため、会社に勤めている方が副業として始めるケースも少なくありません。
そんな不動産投資ですが、いざ始めようと考えた時に気になる点といえば自己資金です。この記事では、不動産投資を始めるための自己資金の目安と、初期費用0円でも始められるフルローンの特徴を詳しく紹介していきます。
不動産投資を始める際の自己資金の目安
自己資金とは、物件を購入する際に支払う頭金と諸費用を合わせた金額です。
頭金は投資用物件を購入する際に最初に支払う金額で、諸費用とは不動産会社へ支払う仲介手数料などを指します。自己資金は多いに越したことはありませんが、少なくても始められるのが不動産投資の魅力です。
ここからは、不動産投資を始める際の自己資金の目安をわかりやすく紹介していきます。
自己資金の内訳
不動産投資を始める際の自己資金を把握するためには、明確な内訳を理解しておく必要があります。前述したように自己資金は「頭金+諸費用」で算出しますが、詳細な内訳は以下の通りです。
● 不動産会社へ支払う仲介手数料
● ローンを借りる時の事務手数料
● 不動産所得税
● 登録免許税
● 印紙税
● 司法書士へ支払う報酬
● 火災保険料
● 地震保険料
頭金の相場は物件価格の10%~20%といわれていますので、1,000万円の物件を購入する場合は100~200万円の頭金が必要です。
しかし、この頭金は必ずしも必要というわけではありません。融資を受ける人の属性や投資用物件に高い魅力があれば、頭金なしでもローンを組むことは可能です。
不動産投資における自己資金で高い割合を占める諸費用は、物件を購入する際に必ず支払わなければいけないものです。
自己資金が物件を購入する際の頭金だけしかなければ、その後の不動産会社へ支払う手数料や物件取得時に発生する各種税金の支払いができません。そのため、頭金と諸費用を支払うために自己資金を用意する必要があるということを忘れないようにしましょう。
自己資金の目安は20%~30%
不動産投資用の物件を購入する際に必要となる自己資金の目安は、物件購入価格の20%から30%です。1,000万円の物件なら200万から300万円、5,000万円の物件なら1,000万から1,500万円の資金を用意しておくと安心して不動産投資を始められます。
つまり、自分が用意できる自己資金の多寡により、購入可能な不動産投資用物件を決めることができるというわけです。自己資金が100万円であれば格安のワンルームマンション投資、1,000万円あれば一棟マンション投資など、目安から逆算することで購入可能な物件の価格帯や種類が変わります。
しかし、これらはあくまでも『目安』です。上記でも説明しましたが、個人の属性や金融機関によっては頭金なしでもローンを組める可能性があるため、大幅に自己資金を減額できるケースもあります。また、詳しくは後述しますが初期費用0円で始められるフルローンもあります。
あくまでも目安として、不動産投資を始めるなら購入価格の20%から30%の金額を用意しておけば安心だと覚えておきましょう。
自己資金の多寡で購入できる物件は変わる
自分自身が用意できる自己資金の多寡により、購入できる投資用物件は変わります。
たとえば、自己資金100万円の人がいきなり1億円の投資用物件を購入できるでしょうか?いくら個人の属性がよくても用意している自己資金が少なすぎるため、この条件で融資してくれる金融機関はありません。
その反対に、月々の収入が多く自己資金を1,000万円用意している人が格安のワンルームマンション投資を始めた場合、収益性が低いのであまり高い効果を実感できません。
ここで考えなければいけないのは、自分の自己資金の範囲内で購入できる投資用物件をきちんと見極める必要があるということです。
● 500万円⇒格安の一棟アパート投資
● 1,000万円⇒一棟マンション投資
ワンルームマンション投資は1室の賃料しか得ることはできませんが、一棟マンション投資であれば全室から賃料を得られるので毎月の家賃収入は多くなります。自己資金が多ければ投資できる物件が高額で収益性の高いものになり、さまざまな種類を選択できるようになります。
不動産投資を自己資金0円で始められるフルローンとは
上記項目で不動産投資を行う際に用意しておくべき自己資金の目安を説明してきましたが、ここからは自己資金0円で始められるフルローンについて解説していきます。
お金を貯めずに始められるので良いことしかないように感じますが、注意しなければいけない点もあるので必ず押さえておきましょう。
フルローンとオーバーローン
はじめに、混同されて覚えられていることが多い「フルローン」と「オーバーローン」の違いから説明していきます。
● オーバーローン⇒物件購入価格の全額と諸費用をローンで組む
3,000万円の投資用物件を購入する場合、通常であれば自己資金は『頭金の600万円』と『諸費用の100万円』で合わせて700万円が必要です。
しかし、フルローンで購入すれば物件購入時の頭金が必要ありませんので、諸費用の100万円だけ用意しておけば大丈夫です。オーバーローンなら諸費用もローンに組みこまれるので、用意しておくべき自己資金は0円です。その代わり、諸費用の100万円を合わせた3,100万円を月々のローンで返済していく必要があります。
ある程度の自己資金を用意できる人はフルローン、まったく自己資金を用意できない人はオーバーローンという形で使い分けを検討していきましょう。
注意点
フルローンやオーバーローンを利用すれば自己資金を確保する必要がなく、少ない資金で大きな資産を生み出すことができるというメリットが一方で、必ず覚えておかなければいけない注意点が2つあります。
● 金融機関の審査が厳しい
そもそもフルローンやオーバーローンは誰でも気軽に利用できるものではありません。
頭金を投入しない分だけ月々のローン返済額が大きくなり期間も長期化するので、金融機関はより慎重な審査を実施します。そのため、個人の属性と投資用物件の価値が長期に渡り高いと判断されなければ、フルローンを組むことはできません。
また、フルローンを組むと返済期間が長期化しやすいので、万が一の金利上昇などで返済総額が膨れ上がるというリスクもあります。
不動産投資ローンは20年や30年といった長期で組むので、月々の返済負担が大きくなるフルローンを組む際は慎重に検討する必要があります。
まとめ
不動産投資を行う際に用意しておくべき自己資金の目安と、0円から始められるフルローンの特徴をまとめて紹介してきましたが、参考になりましたか?
最近は「自己資金0円で始められる!」という謳い文句により、あまり深く考えずにフルローンで不動産投資を始める方が増えています。しかし、月々の返済負担が大きくなるというデメリットを把握しておかなければ、空室や滞納などのリスクに備えることができません。
必ず用意しなければいけないわけではありませんが、不動産投資を始める場合は自己資金はあるに越したことはありません。さまざまな観点から、自己資金と融資のバランスを考えましょう。