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不動産投資でフルローンを組むことは可能?メリット・デメリット、注意点を徹底解説

安定した収入源として魅力的な不動産投資ですが、初期費用の高さが参入のハードルとなることがあります。

そんな中、自己資金をほとんど使わずに始められる「フルローン」という選択肢に注目が集まっています。

しかし、不動産投資におけるフルローンは、誰でも利用できるわけではありません。

また、もしフルローンが利用できたとしても、相応のリスクを伴うため、安易な判断は禁物です。

この記事では、不動産投資においてフルローンが利用できるのか、その条件、そして利用する際のメリット・デメリットから注意点までを詳しく解説します。

不動産投資に興味はあるけれど自己資金に不安がある方は、ぜひ参考にしてください。

不動産投資でフルローンを組むことは可能?

不動産投資の広告などでは「自己資金〇〇万円からスタートできる」といったうたい文句を目にすると思いますが、本当なのでしょうか?

不動産投資で物件価格の全額を融資してもらう「フルローン」を組むことは、理論上は可能です。

ただし、誰でもフルローンを利用できるわけではありません。

金融機関は、融資額が大きくなるフルローンに対して慎重な姿勢を取るため、十分な年収がある方や、過去に安定した投資実績があるなど信用力の高い投資家に限定されるのが一般的です。

さらに重要な点として、フルローンは決してお勧めできるものではありません。

その理由は、自己資金を全く投入しない分、ローンの返済リスクが非常に高くなるからです。

不動産投資には、空室が発生するリスクや金利が変動するリスクが常に存在します。

これらのリスクが重なった場合、ローンの返済が立ち行かなくなる可能性も十分に考えられます。

長期的に安定した収益を得られることが不動産投資の魅力ですが、フルローンで始めてしまうと、これらのリスクによって長期的に赤字経営に陥ってしまう可能性すらあります。

したがって、不動産投資においては、リスク管理の観点からも、ある程度の自己資金をしっかりと用意した上で始めることが望ましいと言えるでしょう。

不動産投資でフルローンでの融資を検討してよい人の特徴とは

フルローンでの不動産投資は、誰にでも適した手法ではありません。

フルローンでの不動産投資を検討してもよいのは、安定した高収入を得ており、十分な返済能力がある人です。

また、すでに他の不動産投資で実績を上げている場合や、資産運用の知識が豊富な投資家に限られます。

加えて、万が一のトラブルに備えた予備資金や、複数の収入源を持っている人であれば、フルローンのリスクをある程度カバーできるでしょう。

自己資金なしで不動産投資が始められるのは魅力的ですが、初心者や安定収入のない人にはお勧めできない投資手法です。

不動産投資でフルローンの融資を受ける場合の条件

不動産投資において、自己資金をほとんど用意せずに物件価格の全額融資を受ける「フルローン」は、金融機関にとってリスクの高い融資となるため、一般的には非常に厳しい条件が課せられます。

不動産投資向けの融資においては、原則として購入物件価格の2割以上の自己資金を条件としている金融機関が多いのが現状です。

しかし、特定の条件を満たすことで、フルローンの融資を受けられる可能性もゼロではありません。

ここでは、不動産投資でフルローンの融資が受けられる場合の代表的な条件を詳しくご紹介します。

これらの条件はあくまで一例であり、金融機関や物件の状況によって異なることをご理解ください。

①不動産投資の実績や他の物件からの収入がある

すでに安定した家賃収入を得ているという事実は、確実な返済能力の証明となるため、金融機関にとって非常に重要な判断材料となります。

特に、複数の物件を所有し、空室リスクを分散できている投資家は、より高い評価を得られるでしょう。

これまでの安定した運用実績があることで、金融機関は融資先のリスクが低いと判断しやすくなり、結果としてフルローンの審査が通りやすくなるのです。

さらに、複数の物件を所有している場合、たとえ一つの物件で一時的に空室が発生するなどのトラブルが生じたとしても、他の物件からの収入でカバーできる可能性があります。

これは、金融機関にとって融資の安全性を高める要素となります。

②十分な返済能力を有している

フルローン(物件価格全額を借り入れるローン)は借入額が大きくなるため、金融機関は投資家がきちんと返済できるかどうかを非常に厳しくチェックします。

特に、安定した高い収入が絶対に必要で、一般的な目安として年収700万円以上という基準がありますが、フルローンの場合は、それよりもさらに高い年収が求められることが多いです。

さらに、他に借りているお金が少ないことや、もしもの時に使えるお金(金融資産)を十分に持っていることも重要なポイントになります。

③資産価値の高い物件

不動産投資でお金を借りる際、金融機関は物件そのものの価値(担保価値)も非常に重要視します。

将来性があり、立地の良い物件は、資産価値が下がりにくいため、金融機関からお金を借りやすくなります。

具体的には、築年数が浅く人気が高い物件や、駅などへのアクセスが良い物件は、特に高く評価されます。

このように、物件の資産価値が高いかどうかは、お金を借りられるかどうかに大きく影響する重要な要素です。

不動産投資でフルローンを組むメリット

不動産投資におけるフルローンは、確かに大きなリスクを伴います。

その一方で、 上手に活用することで自己資金が少ない状況でも資産形成を大きく加速させる可能性があります。

ここでは、フルローンを組むことで得られる主なメリットについて詳しく解説します。

メリット①自己資金を確保したまま不動産投資できる

フルローンの最大の魅力は、自己資金をほとんど、あるいは全く使わずに不動産投資を始められるという点です。

通常、不動産投資には多額の初期費用が必要となりますが、フルローンを利用することで、手元の資金を不動産購入に充てる必要がなくなります。

これにより、貴重な自己資金をそのまま手元に残し、他の用途に活用することが可能になります。

自己資金が手元にあれば、複数の不動産物件への投資も可能になり、また、不動産投資だけではなく他の金融投資にも使うことができます。

資金効率を重視する投資家にとって、大きなメリットと言えるでしょう。

メリット②レバレッジ効果を最大化できる

フルローンを活用する最大の魅力の一つに、少ない自己資金で大きな金額の不動産という資産を動かすことができる、「レバレッジ効果」を最大限に活用できる点が挙げられます。

例えば、5,000万円の価値がある不動産物件を、自己資金を全く使わずにフルローンで購入するとします。

その後、その物件から得られる家賃収入をローンの返済に充てていくことができれば、実質的に自分以外の資本、つまり金融機関からの借り入れによって、自身の資産形成が進んでいくことになります。

このレバレッジ効果がうまく機能し、安定した家賃収入がローンの返済額を上回るようになれば、少ない自己資金で高い利益率を実現し、短期間で効率的に資産を増やしていくことも可能になります。

不動産投資でフルローンを組むデメリット

フルローンには魅力的な側面もありますが、その分リスクも大きくなります。

ここでは、フルローンを利用する際に考慮すべき代表的なデメリットについて詳しく解説します。

デメリット①金利上昇のリスクが高い

フルローンでは借入額が多いため、金利上昇の影響を強く受けます。

たとえば、1億円を年利2%で20年間借り入れた場合、年間の返済額は約600万円ですが、金利が3%に上がると年間の返済額は660万円に跳ね上がります。

さらに、金利が高くなると、毎月の返済額に占める利息の割合が増え、元本の減少ペースが遅くなってしまうというデメリットもあります。

これは、将来的に物件を売却する際に、ローンの残債が多く残り、手元に残る金額が少なくなる可能性を高めます。

日本国内では2023年以降、日本銀行の金融政策の転換により、金利上昇が注目されています。

実際に、金融機関が長期ローンに適用する長期プライムレート金利は、日本銀行のデータによると、2024年1月には1.40%でしたが、2025年3月には2.35%にまで上昇しています。

今後も金利が上昇する可能性は十分に考えられ、このような金利変動に対応できない資金計画でフルローンを組んでしまうと、毎月のキャッシュフローが一気に悪化し、経営が立ち行かなくなる危険性があります。

参照:長・短期プライムレート(主要行)の推移 : 日本銀行 Bank of Japan

デメリット②返済の負担が大きい

フルローンは借入額が大きいため、毎月の返済負担が重くなります。

もし、その返済額を物件からの家賃収入だけで完全にまかなうことができない場合、不足分を自己資金から補填する必要が生じ、ご自身の生活に悪影響が出る可能性があります。

空室や家賃下落は、さらに返済を困難にします。

シミュレーションの結果、毎月の返済額に十分な余裕がないと判断される場合は、自己資金をある程度用意して借入額を減らすか、あるいはその物件への投資自体を見送るという判断も賢明な選択肢と言えるでしょう。

無理のない資金計画こそが、不動産投資を成功させるための重要なポイントとなります。

不動産投資でフルローンを組むときの注意点

自己資金なしでフルローンで不動産投資ができるのは魅力的です。

しかし、安易な資金計画でフルローンに踏み切ってしまうと、キャッシュフローが悪化してしまい、最悪の場合、ローンの返済が滞り、不動産投資自体が破綻してしまうリスクも考えられます。

金融機関の審査をクリアすることが前提となりますが、それ以外にも押さえておくべき重要な注意点があります。

注意点①金融機関の審査が厳しい

フルローンは金融機関にとってリスクが高いため、審査は非常に厳格です。

金融機関は、借り入れ希望者の収入の安定性、勤務先の規模や将来性、過去の借入状況(ローンの返済履歴など)、そして保有している金融資産の状況などを、細かくチェックします。

また、少しでも信用情報に問題があると審査に通らない可能性があります。

金融機関も、自己資金が少ない、あるいは全くない状態での高額融資のリスクを十分に理解しています。

そのため、借り入れ希望者が本当に返済能力を有しているのか、万が一のトラブルにも耐えられる収入や資産を持っているのかを、慎重に見極めようとします。

フルローンを検討する際は、自身の信用力を客観的に把握し、事前にしっかり準備をしておくことが重要です。

注意点②フルローンでも諸経費は借入できない

物件価格の全額を住宅ローンで借りることができたとしても、不動産投資を始めるにあたっては、物件価格以外にも多くの費用が発生します。

特に、登記費用、仲介手数料、火災保険料などの諸経費は、一般的にフルローンの対象外となることがほとんどです。

もしこれらの費用を事前に十分に準備できていないと、せっかくフルローンの審査に通ったとしても、最終的な契約手続きを進めることができなくなるという事態にもなりかねません。

さらに、不動産を購入した後も、安心した賃貸経営を続けるためには、様々な費用が発生することを考慮しておく必要があります。

例えば、入居者の入れ替えに伴う原状回復費用、設備の故障による突発的な修繕費、定期的なメンテナンス費用などが挙げられます。

これらの予想外の出費に対応できるだけの自己資金がない場合、必要な修繕やメンテナンスを適切に行うことができず、結果として物件の魅力が低下し、入居率の低下や家賃の下落につながる可能性があります。

まとめ

不動産投資でフルローンを活用することは可能ですが、誰にでも向いている投資法ではありません。

高い返済能力、豊富な投資実績、そして担保価値の高い物件を所有していることが、フルローンを活用するための前提条件と言えるでしょう。

フルローンを検討する際には、将来的な資金計画を綿密に立て、金利上昇や空室といったリスクに対するヘッジ策をしっかりと講じることが不可欠です。

夢の不動産投資を実現するためにも、フルローンのメリットとデメリットを十分に理解した上で、慎重かつ計画的な不動産投資を心がけましょう。

この記事の監修者 株式会社SORA
不動産の売買、仲介、賃貸管理などの事業を展開する不動産会社。大手不動産会社での経験から、マンション投資だけでなく、保険や通信費、光熱費など生活で必要な資金を見直すライフプランニングまで行う。不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基本を初心者向けにわかりやすく解説しています。
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中林亮太

中林亮太

株式会社SORA 代表取締役 宅地建物取引士

収益物件に特化した株式会社SORA代表取締役社長。前職である株式会社TFDコーポレーションの経験を活かし、不動産の売買や仲介、賃貸管理を事業展開。マンション投資だけでなく、保険や通信費、光熱費など生活で必要な資金を見直すライフプランニングまで行う。ALSOKとの業務提携により、大切な物件のセキュリティにも力を入れている。

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