不動産を購入する際、物件自体の購入費用以外にも諸費用や税金、仲介手数料がかかるため、ある程度の現金は用意しておく必要があります。諸費用の中でも、特に大きな金額になるのが不動産会社に支払う仲介手数料で、会社によって金額が異なることから、相場はいくらか、安くできないかとお悩みの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、不動産購入時の仲介手数料の概要や、安くする方法など、さまざまな視点から仲介手数料について紹介します。不動産会社で仲介手数料の説明を受けたがよくわからない、出来るだけ安く済ませられないかと考えている方は、ぜひご参考ください。
不動産購入時の仲介手数料とは
はじめに、不動産購入時の仲介手数料について詳しくご紹介します。
不動産を購入した人が不動産会社に支払う費用
不動産を購入する際は、不動産会社に仲介してもらう方が大半です。仲介してもらうと、契約が成立したときに成功報酬として不動産会社に仲介手数料を支払うことになります。
不動産会社に購入の相談をするだけなら費用はかかりません。
契約が結ばれる前に仲介手数料を要求することは違法になるため、万が一そのような請求を受けたら、すぐに他の不動産会社に仲介をお願いするようにしましょう。
不動産会社に支払う手数料の中に含まれるのは、物件の紹介、調査、案内、引き渡し時の段取りなど、さまざまな業務を代行する費用があります。
成功報酬として支払った後の仲介手数料は、自己都合などの契約違反により契約解除された場合は戻ってこない可能性もあるため、契約書の内容をよく理解しておくようにしましょう。
なお、仲介手数料には消費税がかかります。2019年10月に消費税は8%から10%へと引き上げられているため、消費税を含めた総額を確認する必要があります。
仲介手数料の上限
仲介手数料は不動産会社により変動しますが物件の売買価格により、以下のように上限が定められています。
売買価格 | 仲介手数料上限額 |
200万円以下 | 5%+消費税 |
200万円超400万円以下 | 4%+2万円+消費税 |
400万円超え | 3%+6万円+消費税 |
※売買価格は税抜き
例えば、3,000万円で物件を購入した場合は以下のように計算します。
- 3,000万円×3%+6万円×1.1(消費税)=105万6,000円
上限を超える仲介手数料の請求は法律違反になるため、この上限額を覚えておくと良いでしょう。
売買価格に伴う仲介手数料の目安
実際の売買価格別の仲介手数料上限は以下の通りです。下記表を参考に、価格別で目安を算出するようにしてください。
売買価格 | 仲介手数料上限 |
1,000万円 | 39万6,000円 |
2,000万円 | 72万6,000円 |
3,000万円 | 105万6,000円 |
4,000万円 | 138万6,000円 |
5,000万円 | 171万6,000円 |
6,000万円 | 204万6,000円 |
7,000万円 | 237万6,000円 |
8,000万円 | 270万6,000円 |
9,000万円 | 303万6,000円 |
1億円 | 336万6,000円 |
不動産購入時の仲介手数料を安くする方法
ここからは、不動産を購入する際の仲介手数料を安くする方法を紹介します。
仲介手数料の値引きを交渉する
仲介手数料は上限だけが決まっているため、上限以上に高くなることはありませんが、値引きしてほしいと考えたときに、単純に「値引きしてください」と伝えても受け入れてもらえないことが多いです。
とはいえ、交渉ができないわけではないため、以下のようなポイントに気を付けて値引き交渉をしてみましょう。
- そもそも大手の不動産会社は値引きに対応していないことが多い
- 端数を切り捨てられないか交渉してみる
大手の不動産会社は、営業活動をするうえで社内規定を守って行動しています。そのため、担当者個人が値引きについて勝手に判断できず、社内稟議が必要となることから、値引きに対応していないことが多いです。
一方で、中小の不動産会社は、顧客の要望に対して柔軟に対応してくれる可能性があるため、例えば3,000万円の物件であれば、105万6,000円のうちの5万6,000円を切り捨てられないか交渉するなどの方法で提案してみましょう。
他社との相見積もりをする
相見積もりとは、2社以上から見積もりをもらうことを指します。1社の見積もりをもらったら即決するのではなく、他社でも見積もりを出してもらい、比較して検討すると良いでしょう。
また、不動産会社の担当者の人柄などから、見積もり金額が高かった方で契約したいと考えているときも、他社の見積もりがあるほうが値引きの交渉材料になります。
ただし、気に入った物件を取り扱っている不動産会社でしか見積もりはもらえないことや、内覧が終わっている物件に対しては見積もりを出してくれない不動産会社もあります。
知人などから直接不動産会社を紹介してもらう
地元で物件を探しているという方は、もともと顔見知りの不動産会社があればその会社にお願いすることで値引きしやすくなります。
また、知人から直接不動産会社を紹介してもらえば、特別に割り引いてくれたり、良い条件の物件を紹介してくれたりと、手厚いサービスをしてくれる可能性も高まります。
不動産会社は、地元に根付いた経営をしている場合が多いため、顔見知りだという人を知人の中から探してみるのもおすすめです。
仲介手数料が無料になる理由とは
不動産会社にとっては大きな収入源となる仲介手数料ですが、実は仲介手数料が無料になるケースもあります。ここからは、仲介手数料が無料になる理由についてご紹介します。
売主が不動産会社の場合
不動産会社が取り扱っている物件の場合は、仲介手数料が無料になるケースがあります。
ただし、不動産会社としては仲介手数料という収入がなくなる案件と捉えられるため、物件を強く勧められたり、他の物件と比較できなかったりすることもあります。
希望する物件であれば問題ないのですが、他の物件と比較したいと考えている方にとっては、不動産会社とのやり取りが難しくなるケースもあるため注意が必要です。
売主からのみ手数料を受け取っている場合
仲介手数料は、買主から受け取るだけのものではありません。
1つの不動産会社が、売主からも買主からも依頼を受けている場合、例えば1,000万円の物件だと、両方から約36万円の手数料を受け取れることになります。
しかし、この手数料を売主から受け取ると契約している不動産会社の場合、買主側の仲介手数料を無料としているケースもあります。
早期に販売したい物件などで取り入れられていることがあり、売主側も買主側も満足度が高いため、次なるビジネスにつながると考える不動産会社もいます。
仲介手数料が安すぎる不動産会社は危険な可能性がある
仲介手数料が安かったり、無料だったりする不動産会社は、不動産売買の取引においてサービスの質が悪かったり、手数料以外の費用を請求されたりすることがあります。
仲介を考えている不動産会社があったら、まずは口コミや評判を確認してみることをおすすめします。できるだけ仲介手数料を安く済ませたいと考えたばかりに、肝心の不動産取引の質が落ちてしまうこともあります。
また、仲介手数料は法律で上限が定められているとはいえ、他の名目で費用を請求されることもあります。例えば、交通費や広告費といった内容です。
仲介手数料が他の不動産会社より安いというだけで取引する会社を決めてしまうと、最悪のケースでは悪徳業者につかまってしまう可能性もあるため、十分警戒して不動産会社を選ぶようにしましょう。
まとめ
不動産購入時に発生する仲介手数料は、上限が法律で定められているため、それ以上に請求されることはありませんが、大きな金額となるため少しでも安くできないかと考えることもあるでしょう。
しかし、相場に比べてあまりにも安い手数料の場合は、信用できない不動産会社であることも考えられるため注意が必要です。自分が購入したいと考えている物件の仲介手数料の上限額を理解し、目安を理解して契約を結ぶようにしましょう。