不動産の購入は、自身や家族の生活において重要な決定です。
しかし、不動産の購入は生涯に一度あるかないかの大きな出来事であるため、実際に購入するまでの流れがよく分からないという方も多いでしょう。
全体的な不動産購入の流れを事前に知っておくことで、スムーズに動けるようになります。
この記事では、不動産購入の流れとともに、不動産の販売形態、ケースごとの注意点について解説します。不動産の購入に興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産販売の形態
不動産販売には、売主物件と仲介物件の大きく2つの形態があります。
どちらの販売形態を選ぶかは、購入者の目的や予算、物件探しの手間や不動産業者との信頼関係などによって異なります。
はじめに、それぞれのメリットやデメリットを比較したうえで自分に合った販売形態を選びましょう。
売主物件
売主物件とは、物件の売主から不動産業者を介さずに直接購入する方法です。しかし、現状では個人同士で不動産の売買を行うことはほとんどありません。
通常、売主物件は不動産会社が売主になることが多いです。売主物件のメリットは、仲介手数料がかからないこと、直接売主と取引ができることなどが挙げられます。
一方で、物件探しや契約手続きなどを自分で行う必要があるデメリットも存在します。
仲介物件
仲介物件とは、不動産業者を介して物件を購入する方法です。不動産業者が購入者と売主の間に入り、物件の売買を仲介します。
仲介物件のメリットは、不動産業者が全ての手続きを代行してくれること、価格交渉をプロが行ってくれることなどが挙げられます。
一方で、仲介手数料がかかることや、不動産業者が介在するために物件価格が高くなる傾向にある点、手続きが煩雑になりやすい点などがデメリットです。
不動産購入の流れ
それぞれの事情により多少の違いはあるかもしれませんが、一般的に不動産は以下の流れで購入します。
- 物件のイメージを固めて資金計画を立てる
- 物件の情報収集を行う
- 物件の見学に行く
- 物件を絞り込む
- 売買契約を締結する
- 物件の引き渡し
ここでは、一つずつ詳しく解説していきます。
物件のイメージを固めて資金計画を立てる
購入物件のイメージを固める際には、将来的なライフスタイルや家族構成を考慮することが大切です。
例えば、子供が将来生まれる可能性がある場合は、子育てに適した環境や学校の近くなど、子供が健やかに成長できる環境を優先する必要があります。また、住宅のグレードや立地によっては、購入時の価格だけでなく、維持費や修繕費も大きく変わる場合があります。
これらの費用も考慮に入れ、ライフプランに合わせた購入計画を立てるようにしてください。
物件の情報収集を行う
物件を購入する際は、インターネットの不動産サイトや不動産会社への相談、新聞広告や地域の不動産情報センターなどを活用し、情報収集を行います。
近年では、インターネットで希望に近い物件を探す方法が主流ですが、不動産会社へ直接来店し、担当者とコミュニケーションを図りながら探すケースも少なくありません。
物件の見学に行く
条件に合う物件や、詳細が気になる物件が見つかった場合は、見学の申し込みをして実際に物件を見に行きます。物件の見学では、写真では伝わりづらい外観や内装を細かくチェックすることができます。
物件を絞り込む
物件の見学を通じて、気になる物件を絞り込んでいきます。絞り込まれた物件に対して、さらに詳細な情報を収集し、価格交渉などの準備をしておきます。
売買契約を締結する
物件の詳細が明らかになり価格交渉が終わったら、契約書を作成し売買契約を締結します。売主や不動産会社からの説明があるため、契約書を細かく確認し、内容を理解してから署名・捺印します。
物件の引き渡し
不動産の引き渡しは契約日に行われます。引き渡しの際には、以下のものを準備する必要があります。
- 実印
- 印鑑登録証明書
- 住民票
- 抵当権等設定書類
- 住宅用家屋証明書
- 本人確認書類
- 購入金額の残金
- 仲介手数料の残金
- 固定資産税等の精算金
契約締結前は、新居への引越しへと進みます。
引っ越し後の手続き
引越し後、住宅ローン控除を受ける場合には家を購入した翌年に確定申告を行う必要があります。
確定申告の期間は、一般的に2月16日から3月15日の間ですが、土日や祝日が重なる場合は期間が変更されることがあります。確定申告を怠ると住宅ローン控除が適用されないため、税制面での優遇が受けられません。
確定申告は、税務署や確定申告会場だけではなく、e-taxを使い自宅のパソコンからでも行うことができます。
不動産購入時の注意点をケース別で詳しく紹介
不動産購入には、年齢や職業などによって異なる注意点があります。以下では、ケース別に不動産購入時に注意すべき点を詳しく解説します。
35歳独身女性の場合
35歳の独身女性が初めて不動産購入をする場合、以下のような注意点があります。
将来の見通しを立てる
35歳の独身女性は、結婚や出産を考える年齢でもあるため、住宅の購入場所や形態について慎重に選択する必要があります。結婚や子どもなど、人生設計が大きく変わるイベントを予測しておきましょう。
駅やスーパーなどの周辺環境を確認する
夜間の帰宅時や周辺環境の安全性についても考慮する必要があります。物件の周辺環境や治安などを確認し、安心して暮らせる場所かどうかを判断しましょう。
ローンの借りすぎに注意する
将来的に結婚や出産などで収入が減る可能性があるため、住宅ローンは借入可能額を超えないように注意が必要です。
28歳共働き夫婦の場合
28歳共働き夫婦が初めて不動産を購入する場合は、以下の注意点を踏まえておくようにしましょう。
共通の購入予算を設定
まずは共通の購入予算を設定し、名義人をどちらにするかを決めます。この際、住宅ローンの返済は長期にわたるため、返済計画を共有することが重要です。
複数の金融機関から見積もりを取る
住宅ローンの借り入れに関しては、双方の年収や借入可能額を考慮して、複数の金融機関から見積もりを取り比較することが重要です。
また、夫婦でローンを組む場合は、一方が返済不能に陥った場合でも支払いが継続できるよう、保険などの対策を検討するようにしましょう。
内容を確認してから契約を行う
夫婦で名義を共有する場合は、双方で内容を確認してから契約を行う必要があります。また、将来的に出産を考えている場合は、住宅の購入先や形態を慎重に選択することが求められるでしょう。
45歳自営業者夫婦の場合
45歳の自営業者夫婦が初めて不動産購入をする場合、以下のような注意点があります。
収入面の不安定さに注意
自営業者の場合、収入が不安定であることが多いため、住宅ローンを組む場合には金融機関の審査基準が厳しくなることがあります。
また、将来的な収入の見通しが立てづらいため、住宅ローンの支払いに不安がある場合には、債務整理や破産などのリスクも想定して準備を進めることが重要です。
確定申告について知識を持つ
自営業者の場合、確定申告の知識が必要となります。住宅ローン減税や住民税控除を受けるためには、確定申告を適切に行う必要があります。
建物の将来的な維持管理に注意
自営業者は多忙な方が多いため、住宅の維持管理に時間を割くことができない場合があります。そのため、将来的な維持管理費用や修繕費用なども考慮し、物件選びを慎重に行う必要があります。
物件選びに時間をかける
自営業者の場合、仕事が忙しく、物件探しに十分な時間を割くことができない場合があります。しかし、不動産購入は長期的な投資となるため、時間をかけて物件を選ぶことが大切です。
65歳定年退職後の夫婦の場合
65歳定年退職後の夫婦の場合、将来の老後の生活スタイルに合わせて、購入先や形態を選ぶことが大切です。
購入予算の設定と借り入れ可能額の確認
65歳で定年退職した夫婦が不動産購入を行う場合、まずは収入や退職後の生活費などを考慮し、購入予算を設定することが大切です。
また、住宅ローンの借り入れは年齢によって制限があるため、金融機関に相談し、借り入れ可能額を確認するようにしましょう。
年齢を考慮した住宅の選択
年齢を考慮した住宅の選択も重要です。将来的には階段の上がり下がりすることが難しくなる場合もあるため、バリアフリーになっている物件を選ぶことを検討しましょう。
引越し先の周辺環境の確認
引越し先の周辺環境も重要なポイントです。退職後は日中も家にいることが多くなるため、医療施設やスーパー、公園などの周辺環境を確認し、生活しやすい場所を選びましょう。
まとめ
この記事では、不動産購入の基礎知識や手続きの流れ、注意点について分かりやすく解説しました。
不動産購入は、自分自身や家族の生活において大切な決定です。不動産購入に伴う手続きは多岐にわたりますが、正確かつ迅速に対応することでスムーズな取引が可能になります。
しっかりと準備をして、理想の不動産購入を実現しましょう。