資産価値のある土地や建物は、ライフスタイルの変化や資産整理などを理由に不動産売却をして手放すこともあります。
不動産売却額に大きく影響する資産価値は立地や広さなどで決まりますが、売却時には複数の費用が発生するため事前に把握しておく必要があります。
この記事では、不動産売却にかかる費用と安く抑えるポイントを詳しくご紹介していきます。
今まさに不動産売却をご検討中の方、将来的に不動産売却を考えている方は是非参考にしてみてください。
不動産売却の流れ
不動産売却をする理由は人それぞれですが、主に以下のような理由によって売却に至っています。
家族構成の変化 | 結婚・離婚・子供の巣立ちなど |
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住み替え | より良い住まいへの引っ越しなど |
ライフスタイルの変化 | 通勤先の変更・老人ホームへの転居など |
資産整理 | 不動産の現金化・相続を目的とした売却など |
住宅ローンの滞納 | 返済の目処が立たない・競売のリスクがあるなど |
事件・事故 周辺環境の問題 | 火災・雨漏り・近隣騒音トラブルなど |
不動産売却に至るのは全てがポジティブな理由ではなく、「手放したくないけど売却を避けられない」といったネガティブな理由も少なくありません。
初めて不動産売却をする方は、まずは売却の流れを把握しておきましょう。
実際に、どのような流れで不動産売却の手続きが進むのかをご説明します。
2. 仲介を依頼する不動産会社を探す
3. 不動産会社と契約を結ぶ(媒介契約)
4. 売却価格を決定して不動産を売り出す
5. 購入希望者と売買条件を交渉する
6. 買い主と売買契約を結ぶ
7. ローンの解約と抵当権の抹消を行う
8. 物件を引き渡す
9. 税金を納めて確定申告をする
この中で特に気をつけたいのが、仲介を依頼する不動産会社選びと売却価格の決定です。
不動産会社によって査定価格や仲介手数料は異なり、売り出し価格の設定もできるだけ高く売れるように慎重に交渉を進めなければなりません。
大事にしてきた不動産ほど「高く売りたい」と思うのが一般的ですので、次項以降では不動産売却にどのような費用がかかるのか、そしてその費用を安く抑えるポイントをご説明していきます。
不動産売却にかかる費用と安く抑えるポイント
ここからは無視することができない不動産売却にかかる費用についてご説明していきます。
「想像していたよりも売却額が少なくてショックだった…」ということにならないように、しっかりと予備知識を入れて不動産売却に臨みましょう。
仲介手数料
不動産取引でかかる費用といえば「仲介手数料」ですが、不動産売却にかかる費用の中でとても比重が大きい存在となっています。
「不動産選びに失敗したら高額な仲介手数料を取られるのでは?」と心配になる方もたくさんいますが、実は仲介手数料は法律で上限が決まっているため、目が飛び出るほどの高額な請求をされることはありません。
売却価格 | 仲介手数料の上限 |
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200万円未満 | 売却価格×5%+消費税 |
200万円〜400万円未満 | 売却価格×4%+2万円+消費税 |
400万円以上 | 売却価格×3%+6万円+消費税 |
仲介手数料は多くの不動産が上限価格で請求しているのが現状であり、仲介手数料が激安の不動産を探すことはとても困難であることを覚えておきましょう。
交渉で減額も可能ですが、不動産業者の販売活動にマイナス効果を与えてしまうケースもあり、無理な交渉は控えておくことをおすすめします。
買い主と売り主の両方から仲介手数料を受け取る場合や、売り主が新たな物件購入を同じ不動産に依頼する場合は「両手取引」に当てはまり、売り主の手数料が無料になることもあります。
両手取引は仲介手数料が無料になるというメリットはありますが、売却価格を最高額にすることが難しくなります。
ハウスクリーニング費用
住宅の中を専門業者がきれいに清掃してくれるハウスクリーニングですが、不動産売却時に義務付けられているものではありません。
しかし、ハウスクリーニングで建物の中をきれいにしておくことで、購入希望者が内見に訪れた際に印象が良くなるというメリットが生まれます。
機会損失を防ぐことができるハウスクリーニングは、費用をかけてでも行うことをおすすめしますが、気になる費用相場は以下のようになります。
トイレ | 1万円前後 |
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キッチン | 1万円〜2万円 |
レンジフード | 1万円〜2万円 |
エアコン | 1万円前後 |
床のワックスがけ | 1万円〜1万5千円 (6畳) |
クロスの張り替え | 1,000円前後(1㎡) |
また、ハウスクリーニングは空き部屋の方がスムーズに清掃が行えるという点から居住中よりも費用が20%〜30%ほど安くなる傾向にあります。できれば引っ越しをした後、空き部屋の状態で業者にハウスクリーニングを依頼するようにしましょう。
印紙税
不動産売却には複数の税金の支払い義務が発生するため、必ず納税しなければいけません。
「印紙税」は、利益・損失が発生する取引の契約書・領収書などに対して課税される税金で、契約金額に応じて税率が変わってきます。
契約金額 | 印紙税 |
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100万円〜500万円 | 1,000円 |
500万円〜1,000万円 | 5,000円 |
1,000万円〜5,000万円 | 1万円 |
5,000万円〜1億円 | 6万円 |
1億円〜5億円 | 10万円 |
印紙税は契約書1枚に対して発生するため、事前に不動産会社に確認をした上で費用を用意しておきましょう。印紙税を安くすることはできませんが、納税を忘れると3倍の過怠税が発生するため注意が必要です。
譲渡所得税・住民税
不動産売却で発生した利益に対して「譲渡所得税」と「住民税」が課税されます。
譲渡所得税と住民税は不動産の所有期間によって税率が変わり、所有期間が5年未満の場合は税率がかなり高くなります。
不動産の所有期間 | 税率 |
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5年未満 | 39.63% (上記の内、住民税は9%) |
5年以上 | 20.315% (上記の内、住民税は5%) |
間もなく所有期間5年を迎える不動産の場合は、5年経過を待った上で売却をすることで税率を抑えることができます。
抵当権抹消費用
不動産売却時にローンが残っていた場合、完済時に「抵当権抹消費用」が発生します。
抵当権抹消に合わせて登記情報の変更が必要となり、その際に司法書士へ支払う手数料を含めて大体5,000円〜2万円くらいの費用が発生すると考えておきましょう。
住宅ローン返済手数料
住宅ローンが残ったまま不動産売却をするケースは珍しくありませんが、その場合は「住宅ローン返済手数料」が発生します。
返済は一括となり金融機関を介すため、大体5,000円〜3万円くらいの事務手数料が必要になると想定しておきましょう。
金融機関の種類や手続き方法によって費用は大きく異なります。
例えば、金融機関の窓口で3万円前後の手数料が発生する場合、電話経由にすると2万円前後になることもあるため、事前に調べて最も安い方法を選択しましょう。
その他の費用
不動産を解体して更地にして売却する場合は、「解体費用」が発生し、建造物の作りや規模よって大きく金額が異なります。解体費用は坪単価でみた場合、木造で大体2.5万円〜6万円くらい、鉄筋コンクリートで大体3.5万円〜7万円くらいとされています。
土地の売却範囲を正確に計測するために「測量費用」が発生するケースもあります。測量費用は売り主負担となり、費用相場は50万円〜100万円ととても大きな負担が発生します。境界確認書や確定測量図がない場合に測量費用が必要となるため、手元に書類があるかどうかは事前に調べておきましょう。
まとめ
不動産売却にかかる費用と安く抑えるポイントを詳しくご紹介しました。
不動産売却時に発生する費用の大部分を仲介手数料が占めていますが、印紙税・譲渡所得税・住民税が課税されることを必ず把握した上で手続きを進める必要があります。
如何に費用を安く抑えられるかで最終的な利益・損失も変わってくるため、しっかりと予備知識を入れた上で不動産会社探しを始めるようにしましょう。
初めて不動産売却をされる方は分からないことだらけかと思いますので、是非この記事を参考にしてみてください。