新築の戸建てを建てる前には地盤調査が不可欠です。
地下の土壌や岩盤の圧縮により引き起こされる地盤沈下は、発生すると建物の傾斜や歪み、基礎の損傷や下水道の破損など、さまざまな影響が起こります。
しかし、事前に地盤調査を行えば住宅の重さに耐えられる土地かを見極めることができ、結果に応じて地盤改良を行えば地盤沈下のリスクを軽減することが可能です。
この記事では、新築の戸建てを建てる際に欠かせない地盤調査の基本概要や結果が分かるまでの期間、費用相場や調査の流れなどについて詳しく紹介します。
これから新築の戸建てを建てようと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
地盤調査は法律で義務付けられている
新築の戸建てを建てる際は、必ず地盤調査を行われなければいけません。なぜなら、法律で義務付けられているからです。
建築基準法施行令の第三十八条・第九十三条にて、以下のように定められています。
- 第三十八条：建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない。
- 第九十三条：地盤の許容応力度及び基礎ぐいの許容支持力は、国土交通大臣が定める方法によって、地盤調査を行い、その結果に基づいて定めなければならない。
従来までの建築基準法では地盤調査は義務ではありませんでしたが、阪神淡路大震災により甚大な被害が発生したことを受け、2000年に改正され義務化されました。
新築の戸建てを建てる際は、必ず地盤調査を行わなければいけません。詳しくは後述していますが、地盤調査で問題があると判断されれば、地盤改良を行う必要もあります。
地盤調査とは
地盤調査とは、地盤の性質や条件を評価するために行われる調査です。仮に地盤調査を行わずに軟弱な地盤の上に戸建てを建てた場合、地盤沈下により建物が傾くなどのリスクがあります。
戸建ての重さは建物の階数や間取りで変わるため、一般的にはどのような家を建てるかが決まった後に地盤調査を行います。
地盤は住まいの安全性を左右する重要な役割を担うため、戸建てを建てようと考えている方は事前に地盤調査に関して把握しておきましょう。
ここでは、地盤調査の結果が分かるまでの期間や費用相場などを解説します。
結果が分かるまでの期間
地盤調査は、種類や土地の性質などで調査期間に差はありますが、一般的な結果が分かるまでの期間は半日から数日程度です。
戸建てを建てる際に主に用いられるスクリューウエイト貫入試験（旧スウェーデン式サウンディング試験）は、半日程度で調査が終わります。
また、地盤改良の必要があるかどうかという簡易的な判断に関しては、調査当日に伝えられることが多く、後日詳細なレポートが送られてくるという流れです。
費用相場
地盤調査の費用は、調査範囲や深さ、地盤特性や調査方法により変わります。
費用相場は、新築の戸建てを建てる際に主に用いられるスクリューウエイト貫入試験は約5万円、表面波探査は約7万円、ボーリング調査は約25万円です。
費用相場は5～30万円程度になるのが一般的ですが、具体的な費用は地域や調査内容により異なるため、事前に見積もりを依頼するようにしてください。
また、新築の戸建てでボーリング調査が用いられるのは、規模の大きい住宅や地下室を作る場合などです。一般的にはスクリューウエイト貫入試験で調査が行われます。
調査方法
地盤調査には、さまざまな種類の調査方法があります。以下は、新築の戸建てを調査する際に用いられる主な調査方法です。
- スクリューウエイト貫入試験
- 表面波探査
- ボーリング調査
一般的な戸建ての場合、調査方法で用いられるのはスクリューウエイト貫入試験か表面波探査のいずれかです。
スクリューウエイト貫入試験は、地盤の強度や圧密度を評価する一般的な地盤探査方法で、先端がスクリュー状になったロッドを回転させて強度を調べます。
表面波探査は、地盤の弾性波速度を評価する方法で、地表面を伝播する表面波の振動パターンを記録し、地盤の性質や地下構造を推定します。
これら2つの方法は一般的な戸建てを調査する際に主に用いられており、準備から撤退まで大体半日程度で終わり、費用も比較的安く設定されています。
地盤調査の流れ
それぞれの業者で多少の違いはあるものの、地盤調査から地盤改良までの一般的な流れは以下の通りです。
- 地盤調査の見積もり
- 地盤調査の実施
- 地盤調査データ作成
- 地盤調査の結果判定
- 地盤改良の設計
- 地盤改良の実施
地盤調査の見積もりと実施が完了した後は、調査員の方が地盤調査データを作成します。その後、データをもとに地盤の性能を評価し、改良工事が必要かを判定します。
地盤改良が必要であると判定された場合は、地盤改良工法の選定を行い、地盤の状況や建物の重さを考慮して最適化し、実施するという流れです。
地盤調査に問題があった場合
地盤調査の結果、地盤に問題があると判断された場合は地盤改良を行う必要があります。地盤改良とは、地盤の強度や安定性を向上させる工法です。
地盤の種類や問題の性質により方法は異なりますが、一般的には鋼管杭やコンクリート杭などを地盤に打ち込む杭工法が用いられます。
杭工法では、地盤の深部に杭を設置することで強化します。地中30ｍまで地盤補強が可能であり工事期間も短いため、採用されるケースが多いです。
他にも、セメントや石灰などの土地改良材料を地盤に注入して固める方法があります。比較的安価な改良法ですが、軟弱な層が深い場合は利用できません。
地盤調査により地盤改良の必要性があると判断された場合は、専門家と相談しながら適切な方法を検討していきましょう。
地盤調査と改良はセットで実施する
地盤調査と地盤改良はセットで実施するのが一般的です。
地盤改良は地盤問題を解決し、建物の安全性や耐久性を確保するために行われます。地盤調査は改良の必要性があるかを調べるために行うため、問題があると判断されれば、そのままどのように改良するかを検討します。
また、地盤調査・改良業者は個人で探して依頼することもできますが、一般的にはハウスメーカーと提携している業者の中から選択します。
地盤調査・改良を行うためには詳細な建物の配置や重量などの情報が必要になるため、ハウスメーカーと提携している業者の方が連携が取りやすくなります。
まとめ
地盤調査の結果が分かるまでの期間、費用相場、種類、実施の流れ、問題があった場合の流れなどを詳しく紹介していきました。
新築の戸建てを建てる際は、地盤調査は義務として必ず行わなければいけません。調査で問題があると判断された場合は、地盤改良もセットで実施します。一般的な戸建てではスクリューウエイト貫入試験が採用されており、費用相場は約5万円程です。作業は半日程度で終わり、改良の有無に関しては当日に判明する場合が多いです。
地盤調査の結果で改良の必要があると判断された場合は、適切な方法で地盤を強くするための改良工法が用いられます。
地盤は、建物の安全性と耐久性に関わる重要な要素です。建物の基礎を支える役割を担う地盤が沈下すれば、建物の安定性が損なわれます。また、軟弱な地盤では地震による揺れを耐えることもできません。
一生に一度の大きな買い物である戸建て購入。安心して長く暮らすためにも、地盤調査の必要性や意味を理解しておくことは重要です。
