住宅ローンを組むことは、多くの人にとって人生で最大の経済的決断の一つです。しかし、最近では住宅ローン破綻のリスクが増加していると報じられています。
この記事では、住宅ローンの破綻とはなにか、その原因や要因、そして破綻を防ぐために注意すべきポイントについて詳しく解説します。
住宅購入を考えている方や、住宅ローンの返済に不安を抱えている方は、ぜひご一読ください。
住宅ローン破綻とは?

住宅ローン破綻とは、ローンの返済が滞り、最終的に支払いができなくなる状況のことを指します。
滞納が3か月続くと、一括での返済を求められるのが一般的で、返済ができないと判断されると、住宅が差し押さえられ、強制的に売却されることがあります。
最悪の場合、住む場所を失う可能性もあり、さらに個人の信用情報に深刻な影響を与える場合があります。
一度、住宅ローン破綻をしてしまうと将来的な借り入れや金融取引に支障をきたす恐れもあります。
住宅ローンの破綻率は?件数は増えている?

住宅ローンの破綻率は近年増加傾向にあります。その主な原因としては、経済の不安定さ、所得の減少、そして予期せぬ支出の増加などが挙げられます。
最近の事例だと、コロナ禍の影響で多くの家庭が収入減少に直面し、ローンの返済が困難になるケースが増え、住宅ローンの相談件数も増加しています。
参考ニュースによると、住宅金融支援機構の2020年2月の支払いに関する相談件数はおよそ20件だったのが、3月にはおよそ200件、4月にはすでにおよそ1200件と急増していることが示されています。
このニュースからも分かるように、ほんの数か月の収入減少が多くの家庭に住宅ローン破綻のリスクをもたらしているのが現実です。住宅ローンの返済額は生活費の中でも大きな割合を占める支出なので、ほんのわずかな収入減少でも住宅ローン破綻を起こしてしまう可能性があります。
住宅ローン破綻の3つの実例

住宅ローンの破綻にはさまざまなケースが存在し、それぞれに異なる原因や経緯があります。
以下に、代表的な3つの実例を紹介し、それぞれの状況とその影響について解説します。
実例①収入の減少により返済不能に
運送会社にお勤めのお客様のケースで、収入の大部分が歩合給であり、住宅を購入した時期には仕事も順調で収入にも余裕がありました。
しかし、コロナ禍により外出制限やお客様との接触ができなくなり、配達が思うようにできない時期が続き、収入が減少しました。
さらに、最近では残業時間も制限されるようになり、以前のように長時間働いて収入を増やすことができなくなりました。その結果、住宅購入時よりも収入が3分の2程度に減少してしまい、住宅ローンの返済が難しくなってしまいました。
実例②金利の上昇により、返済額が大幅にアップ
ステップ金利を利用して住宅ローンを借りたお客様の中には、破綻を起こしてしまう方が多くいます。
ステップ金利とは、当初は低い金利で借り入れを行い、例えば5年後または10年後に金利が上がる返済方法です。
この返済方法は、収入が少ない若い方でも、将来的に収入が増加する見込みがある場合に住宅を購入しやすくするものです。
しかし、予想通りに収入が増えなかった場合、返済額が大幅に増えるため、返済が困難になることがあります。実際に、ステップ金利を利用して住宅ローン返済が厳しくなる方は多く見受けられます。
実例③FX投資にハマり住宅ローンの返済が困難に
投資に失敗し、家計が圧迫されて住宅ローン破綻を招くケースもあります。
収入を増やすためにFX投資を始め、最初は成功してお金を増やしていたものの、徐々に失敗を重ねるうちに投資がマイナスになってしまいました。
マイナスを取り返そうと借金を重ね、負債が膨れ上がり、その返済に追われることで住宅ローンの返済が困難になってしまいました。
今回のような投資だけでなく、お子さんの教育費や親の介護費用などの出費が増え、家計が圧迫されて住宅ローンの返済が難しくなるケースもあります。
住宅ローンの破綻の原因・要因

住宅ローン破綻の原因や要因はさまざまですが、特に大きな要因として収入の減少と支出の増加が挙げられます。
以下では、代表的な原因とその背景について解説します。
経済的理由による破綻
記事の冒頭で紹介されたニュースにもあるように、経済的な理由でローン返済が難しくなる方の割合が多いです。
勤務先の業績不振による収入の減少、突然のリストラによる失業、病気やケガで長期間働くことができなくなることが主な原因です。
業績不振やリストラによる収入減少は個人の責任かもしれませんが、コロナ禍のような予測不能な出来事や突然の病気やケガは誰の責任でもなく、誰にでも起こり得る事態です。
また、予期せぬ大きな支出が増えることで貯金が底をつき、住宅ローン破綻に至ることもあります。
金利上昇による返済額の増加
実例で紹介したように、ステップアップ金利の影響で住宅ローンの返済額が増え、返済が困難になるケースがあります。今までは変動金利でも、金利上昇の心配はほとんどありませんでした。
しかし、最近では金利の上昇が予測されています。
金利の上昇幅や借りているローンの額によっては、返済額が大幅に増えることがあり、その結果として住宅ローン破綻を招く人が増えるでしょう。今後は、金利の変動に備えて固定金利の活用などを検討することが重要です。
家計の支出の増加
家計管理が適切に行われていない場合、住宅ローンの破綻につながることがあります。収支のバランスが崩れ、支出が収入を上回る状況が続くと、返済が困難になります。
定期的に家計を見直し、無駄な支出を削減することが大切です。また、余裕があるときに貯金や一部繰上げ返済を行い、万が一に備えることも重要です。
しかし、病気やケガで収入が減る場合は、加入している団体信用生命保険がカバーしてくれることもあるので、保険の内容を確認しておくとよいでしょう。
住宅ローン破綻してしまう前に見直すべきこと

住宅ローン破綻を防ぐためには、早めの対策が重要です。あきらめてしまう前に、以下のポイントについて見直してみましょう。
家計の見直し
家計全体を見直し、無駄な支出を削減することが重要です。定期的な支出の見直しや、節約の工夫を取り入れることで、住宅ローンの返済に充てる資金を確保できます。
例えば、加入している生命保険を解約すれば、毎月の支払いが削減でき、積立タイプの場合は返戻金も期待できるかもしれません。
また、ローンが残っている車を売却すれば、住宅ローン以外のローン返済を終わらせることができ、売却益も期待できます。
家計を見直すポイントは、一時的な支出よりも定期的な支出を見直すことで、返済資金を確保しやすくなります。
自宅の売却の検討
家計を見直しても住宅ローンの返済が難しい場合、住宅を手放すことを考える必要があります。
ただし、破綻してから売却するのと、破綻前に売却するのでは結果が大きく異なります。破綻後は金融機関が自宅を売却し、売却方法や条件を自分で決めることができなくなります。
しかし、破綻前であれば売却金額を自分で決められ、手元に資金を残せる可能性もあります。
また、リースバックという方法を利用すれば、自宅を売却した後も同じ家に賃貸として住み続けることができるかもしれません。
売却が可能かどうかは状況によって異なるため、いくらで売却できるのか、売却方法については不動産の専門家に相談することをお勧めします。
金融機関への早めの相談
住宅ローンの返済が難しくなった場合は、早めに金融機関に相談することが重要です。
滞納前であれば、返済条件の変更や一時的な返済猶予について相談に乗ってくれる可能性があります。しかし、滞納が始まってしまうと、金融機関も急いで返済を迫ってきます。
また、団体信用生命保険の活用や補助金などの支援策を提案してくれる場合もあります。
金融機関も住宅ローン破綻を避けたいと考えているため、早めに相談することで支援を受けやすくなります。
まとめ
住宅ローン破綻は、多くの家庭にとって深刻な問題ですが、適切な対策を講じることでリスクを軽減することができます。
経済的理由や家計管理の問題など、破綻の原因を理解し、早めの対策を実施することが重要です。定期的な家計の見直しや、状況に応じて早めに不動産会社や金融機関に相談することでリスクを軽減できます。
この記事が皆様の生活に役立つ情報となれば幸いです。