マンションを買い替えるときには、売却と購入の両方に税金がかかります。また、買い替えにはメリットだけでなく、デメリットもあります。
この記事では、マンションを買い替える際に発生する税金やメリット・デメリット、買い替え時に使える節税方法や確定申告の必要性を詳しく紹介します。
マンションの買い替えを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
マンションの買い替えにかかる税金と計算方法
マンションの買い替える際は、売却と購入の両方に税金がかかります。ここでは、それぞれの税金の種類と計算方法を紹介します。
売却時にかかる税金
マンションを売却する際には、以下の5種類の税金がかかる場合があります。
譲渡所得税
マンションの売却益に対して、15.4%(所有期間5年超)または39.6%(所有期間5年以下)の税率で課税されます。売却益とは、売却価格から購入価格や諸経費を差し引いたものです。
住民税
譲渡所得税と同様、売却益に対して4%(都道府県民税)と6%(市町村民税)の合計10%の税率で課税されます。
復興特別所得税
譲渡所得税の2.1%相当額が復興特別所得として税課税されます。東日本大震災の復興費用に充てるために創設され、2037年12月31日まで課税されます。
登録免許税
登録免許税は、マンションの所有権を移転する際に発生する登記費用です。登録免許税の税率は、登記内容や物件価格によって異なります。抵当権抹消登記の費用は売主が、所有権移転登記と抵当権設定登記の費用は買主がそれぞれ負担します。
収入印紙税
印紙収入税は、マンション売買契約書に貼る収入印紙代です。収入印紙税の額は、契約金額に応じて決まります。売主と買主が連帯して納付する義務がありますが、通常は両者が均等に負担します。
購入時にかかる税金
マンション購入時に発生する税金は以下の3種類です。
登録免許税
登録免許税は、マンションの所有権を移転する際に発生する税金です。
売買と同様に、抵当権抹消登記の費用は売主が、所有権移転登記と抵当権設定登記の費用は買主がそれぞれ負担します。登録免許税の税率は、登記内容や物件価格によって異なります。
収入印紙税
印紙収入税は、マンション売買契約書に貼る収入印紙代です。収入印紙税の額は、契約金額に応じて決まります。売買時と同様、売主と買主が連帯して納税義務を負いますが、通常は折半で負担します。
不動産取得税
不動産所得税は、マンションを取得する際に発生する税金です。固定資産税額から一定の控除額を差し引いた金額に3%を乗じて算出されます。
固定資産税は物件の所在地や面積で決まり、控除額は物件の種類や取得年度などで決まります。
マンション買い替えで使える節税方法と条件
マンションを売却して新しい物件に買い替える場合、税負担を軽減する方法があります。ただし、その方法は売却益の有無や所有期間などの条件によって異なります。
ここでは、マンションの買い替え時によく利用される節税方法と適用条件を紹介します。
譲渡所得の特別控除
マンションを売却した場合、売却価格から購入価格と売却費用を差し引いた金額が譲渡所得として課税されます。
しかし、マンションを売却して3年以内に別の住宅を購入した場合には、譲渡所得の特別控除を受けることができます。
この特別控除では、売却益から3,000万円を差し引くことができ、売却益が3,000万円以下であれば譲渡所得はゼロになります。
つまり、譲渡所得税、住民税、復興特別所得税は課税されません。この特別控除を受けるためには、次の条件を満たす必要があります。
- 居住していた住宅であること
- 住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却していること
- 売却した年から売却した年の前年までの間に、同じ又は【マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例】の適用を受けていないこと
買い換えの特例
マンションを売却して新しいマイホームを購入した場合、買い換えの特例という節税方法があります。この特例は、売却益の課税を将来に繰り延べることができるもので、2023年12月31日まで適用できます。
買い換えの特例を利用すれば、売却した年には課税されず、新たに購入した不動産を将来売却するまで課税が繰り延べられます。
ただし、将来その不動産を売却した場合には、過去の売却益に対しても課税されるため注意が必要です。この特例を受けるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 居住していた住宅であること
- 住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却していること
- マイホームを売却した年の前年から翌年までの3年間にマイホームを買い替えること
3,000万円の特別控除の特例をはじめ、多くの特例はマイホームの買い換えの特例との併用はできません。
所有期間が10年を超える場合の軽減税率
マンションを売却すると、売却益に対して所得税と住民税が課税されます。
しかし、売却した年の1月1日にさかのぼって所有期間が10年を超えるマンションについては、10年超所有軽減税率の特例という節税方法があります。
これは、売却益にかかる税率を低くすることで税負担を軽減するものです。譲渡所得の特別控除との併用は可能ですが、他の多くの特例との併用はできません。
また、所有期間が10年以下であっても、所有期間によって税率が異なります。この方法を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 居住していた住宅であること
- 住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却していること
- 個人住宅の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例が適用されないこと
譲渡損失の通算と繰越控除
マンションを売却した場合、売却価格から購入価格と売却費用を差し引いた金額が譲渡所得として課税されます。
しかし、その金額がマイナスになるケースがあります。つまり、売却損が出た場合です。
この場合、繰越欠損金または損益通算という節税方法があります。売却損を他の所得から差し引くことで、所得税を減らすことができる方法です。
この方法は、マンションを売却して3年以内に別の住宅を購入する場合に適用できます。1年間で控除しきれなかった損失は、翌年に繰り越して最大3年間控除可能です。
この方法を使うには、以下の条件を満たす必要があります。
- 居住していた住宅であること
- 住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却していること
- マイホームを売却した年の前年から翌年までの3年間にマイホームを買い替えること
マンション買い替えのメリット
マンション買い替えには、メリットだけでなくデメリットもあります。メリットとデメリットを比較して、買い替えが本当に必要かどうか慎重に判断しましょう。
リスクのある古い物件を手放せる
古いマンションを売却することで、将来的なリスクを回避できます。特に、設備が古い物件や人気のない立地の物件は、今のうちに手放すことで将来のリスクを回避することが可能です。
賃貸需要に見合ったエリアの物件を購入できる
賃貸需要は変化するため、新しい物件を購入することで、変化する賃貸ニーズに合ったエリアの物件を購入できます。これにより、空室リスクを軽減させることが可能です。
ローン金利を現行金利に変更可能
現在の低金利環境を活かし、過去に高金利で借り入れたローンを売却により完済し、低金利でローンを組み直すことができます。
また、個人の与信枠が以前と変わっているため、不動産を売却することで与信枠が回復し、新たな不動産を購入する際のレバレッジを大きくすることが可能になります。
リスクを回避できる
再建築不可物件や融資不可物件、設備が古く不人気な部屋、間取りが悪く狭い部屋、駅から遠い不人気立地など、将来的なリスクがある物件を手放すことができます。
また、リスクのあるマンションについては今のうちに売却しておくことで、将来のリスクを回避することにもつながるでしょう。
マンション買い替えのデメリット
メリットが多いマンションの買い替えですが、以下のようなデメリットがあります。
買い替え費用がかかる
買い手としては、売却手数料や不動産取引手数料などの費用がかかります。また、新しい物件を購入する際にも、仲介手数料や登記費用、契約書作成費用などが必要になります。
一般的に、売却価格の4%と購入価格の5%程度が費用としてかかることが多いです。
買い先行の場合は住宅ローンの二重払い期間がある
新しい物件を購入する前に、現在所有している物件を売却する場合、売却までに時間がかかることがあります。
そのため、住宅ローンの二重払い期間が発生し、支払い負担が増えることがあります。
売り先行の場合は仮住まいが必要
現在所有している物件を売却する前に新しい物件を購入する場合、売却までに時間がかかることがあります。
そのため、仮住まいが必要になることがあり、仮住まいにかかる費用や手間が発生します。
マンション買い替えで確定申告が必要な場合
マンションを売却すると、売却益が発生します。この売却益は所得税の課税対象となります。
ただし、売却益が一定額以下の場合には、所得税が課税されないこともあります。また、節税方法を利用することで所得税の軽減が可能です。
例えば、住宅取得等資金の特別控除や譲渡所得控除を利用できる可能性があります。これらの控除を受けるためには、確定申告をしなければいけません。
確定申告は、売却した年の翌年3月15日までに行う必要があります。
確定申告の方法や必要書類については、所轄の税務署や国税庁のホームページで確認するか、税理士や会計事務所に相談することをおすすめします。
まとめ
この記事では、マンション買い替えに関する税金や、メリット・デメリットを詳しく解説していきました。
マンション買い替えでは、さまざまな税金が発生します。また、メリットだけではなくデメリットもあるため、買い替えるべきかはリスクとリターンを考えて検討しましょう。
マンション買い替えを検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。