住宅ローンは長期にわたって返済する大きな借金です。少しでも返済負担を減らすため、住宅ローン借り換えを検討する人も多いのではないでしょうか。
しかし、住宅ローンの借り換えにはメリットだけでなくデメリットもあります。また、借り換えのタイミングによっても得られる効果は異なります。
そこでこの記事では、住宅ローン借り換えのタイミングやメリットに加えて、借り換えで気をつけるべき注意点について解説します。
住宅ローン借り換えとは?
住宅ローン借り換えとは、現在返済中の住宅ローンを別の金融機関に移管することです。これにより、金利や返済期間、保険などの条件を変更できます。
固定期間終了時には、同じ金融機関で再度固定金利期間選択型や変動金利型を選ぶこともできますが、他の金融機関でより有利な条件の住宅ローンに借り換えることも可能です。
住宅ローン借り換えの主な目的
住宅ローンの借り換えとは、現在の住宅ローンをより条件の良い住宅ローンに変更することです。借り換えの主な目的は以下の3つです。
返済総額を減らす
金利が下がれば利息の負担が減り、返済期間中の総返済額が減ります。
例えば、借入残高3,000万円、残借入期間30年、金利2%の住宅ローンを、借り換え諸費用50万円を支払って金利1%に借り換えた場合、総返済額は約1,000万円減ります。
月々の返済額を減らす
金利が低くなれば、毎月の返済額も少なくなります。また、返済期間の延長も可能です。
そうなると家計の負担が軽くなり、生活にゆとりが生まれることにくわえ、余ったお金を貯蓄や投資に回すこともできるでしょう。
金利上昇リスクの回避
変動金利型住宅ローンは、市場の金利情勢によって金利が変動します。そのため、将来金利が上昇する可能性があります。
一方、固定金利住宅ローンは契約時の金利で固定されるため、金利上昇の影響を受けません。
したがって、変動金利から固定金利に借り換えることで、金利上昇リスクから逃れることができるのです。
住宅ローン借り換えのメリットとデメリット
住宅ローンの借り換えとは、現在借りている住宅ローンをより条件の良い住宅ローンに変更することです。借り換えにはメリットとデメリットがあるため、それぞれ確認してみましょう。
住宅ローン借り換えのメリット
借り換えの最大のメリットは、返済額を減らせることです。現在より金利の低い住宅ローンに変更することで、毎月の返済額や総返済額を減らせます。
また、金利タイプを固定金利や変動金利に変更することで、将来の金利変動に備えることもできます。
借り換えでは、毎月の返済額や返済年数をライフプランに合わせて調整も可能です。
例えば、収入が増えれば返済額を増やして繰り上げ返済をしたり、収入が減れば返済額を減らして負担を軽くしたりできるでしょう。
また、借り換え先によってはキャンペーンや特典を用意している場合もあります。
例えば、ポイント還元やキャッシュバックなど、借り換えによって得られるメリットがさらに増える可能性があります。
住宅ローン借り換えのデメリット
借り換えにはメリットだけでなくデメリットもあります。まず、借り換えの際にはさまざまなコストが発生します。
例えば、事務手数料や保証料などの契約手数料、印紙税や司法書士報酬などの登記費用などです。
これらの費用は金融機関によって異なりますが、数十万円程度になることもあります。
また、借り換え前に住宅ローンを一括返済する場合、繰り上げ返済手数料がかかることがあります。
この手数料は、金融機関が予定していた利息収入を受け取れなくなるために発生します。この手数料も金融機関によって異なりますが、数万円かかる場合もあります。
これらの手数料を考慮した上で、借り換えによって本当に返済総額が下がるのかシミュレーションする必要があります。
また、将来の経済情勢や金利相場は予測できないため、借り換え後に金利が下がったり、収入が減ったりする可能性もあります。
その場合、借り換え前よりも返済額が増える可能性もあるため注意が必要です。
住宅ローン借り換えのベストなタイミングとは?
住宅ローンの借り換えは、金利が低下しているときにメリットがありますが、金利だけでなく他の要因も考慮する必要があります。
借り換えには時間も費用もかかるため、慎重に判断することが大切です。以下は、借り換えにベストな時期について考慮すべき3つのポイントです。
金利差が1%以上ある場合
金利差は借り換えのメリットを測る最も簡単な指標です。金利が下がるということは、金利負担が減り、総返済額や月々の返済額が減ることを意味します。
一般的に、現在のローンより1%以上低い金利で借り換えができる場合は、借り換えを検討する価値があるといえます。
ただし、金利差だけでなく、借入残高や残存年数も考慮する必要があります。
残高が1,000万円以上、残年数が10年以上の場合
借り換えの効果を左右する重要な要素が残高と残年数です。残高や残存年数が少ないと、借り換えのコストや手間が割に合わない場合があります。
例えば、残高が500万円未満、残年数が5年未満の場合、借り換えをしても総返済額や月々の返済額に大きな差は出ないと考えられます。
一方、残高や残存年数が多ければ、借り換えのメリットは大きくなるでしょう。
一般的には、借入残高が1,000万円以上、残存年数が10年以上の場合は、借り換えを検討する価値があります。
収入や勤続年数が安定している場合
収入と勤続年数は住宅ローンの審査に影響する要素です。収入や勤続年数が安定していれば、審査に通りやすくなります。
一方、収入や勤続年数が不安定な場合は、審査に通らない可能性があります。例えば、転職したばかりだと勤続年数が短くなり、審査基準を満たさない可能性があります。
また、収入が減れば返済能力が低下し、審査に通らないこともあります。したがって、収入や勤続年数が安定しているときは、借り換えのタイミングといえるでしょう。
住宅ローン借り換えの成功事例
住宅ローン借り換えは、金利が下がっているときに行うと、返済負担を軽減することができます。
しかし、借り換えにはタイミングや条件が重要です。ここでは、借り換えでメリットを得た2つのケースを紹介します。
ケース1: 金利を大幅に下げて返済負担を軽減
Aさんは、子どもの高校受験に備えて家計を見直したいと考え、住宅ローンの借り換えを検討しました。
しかし、1年前に転職していたこともあり、審査が不安でなかなか踏み切れなかったということです。
そこで、住宅ローンの借り換えを専門に扱う会社に相談したところ、同社は転職後の勤続年数が短くても借り換えが可能な金融機関を紹介してくれました。
Aさんの場合は、借り換えで固定金利から変動金利に変更することで、金利を2.0%から0.625%に引き下げることができました。
その結果、毎月の返済額は約1万円減り、残り25年間の返済総額は約313万円減となりました。
ケース2: 借り換えで月々3万6千円の節約
Bさんは築10年の自宅をリフォームする必要がありました。外壁と屋根の塗装、内装クロスの張り替え、浴室とトイレのリフォームを希望していました。
しかし、リフォーム費用をどうするか悩み、住宅ローンの借り換えを専門とする会社に相談の末、固定金利から変動金利に変更しました。
その結果、金利を2.0%から0.625%に下げることができ、残り30年間の総額では約402万円の減額となりました。
ケース3: 借り換えで家計の固定費を削減
Cさんは母親と同居するために築11年の自宅を購入しました。
しかし、住宅ローンの返済が困難になったため、住宅ローン借り換え専門の会社に相談し、固定金利から変動金利に変更することにしました。
その結果、1.5%だった金利を0.8%まで下げることができ、残り25年間の返済総額を約45万円減らすことに成功しました。
まとめ
住宅ローンの借り換えには、金利や返済条件などを見直すことで、月々の返済額や総返済額を減らしたり、金利上昇リスクに備えたりできるメリットがあります。
ただし、借り換えには追加費用が発生する可能性があり、住宅ローン控除の対象外となる場合もあります。
借り換えを検討する際は、残高や残存年数、金利差などを確認し、シミュレーションを行ってメリット・デメリットを比較しましょう。
また、借り換え先の金融機関によっては、住宅ローン利用者向けの低金利ローン商品を用意している場合もあります。
さらに、借り換えのタイミングはケースによってさまざまです。記事内で紹介した事例も参考に、ベストな借り換えタイミングを見つけるヒントを得てください。