ほとんどの方は銀行から融資を受けて不動産投資用の物件を購入します。
不動産投資に最適な物件を見つけることができても、銀行から不動産投資ローンを借りることができなければ購入は実現できません。また、不動産投資ローンは居住用の物件を購入する際に組む住宅ローンとは異なりますので、それぞれの違いもしっかりと把握する必要があります。
この記事では、不動産投資で銀行融資を受ける際の申し込み手順と必要書類をまとめて紹介していきます。事前に手順や書類を把握しておくことでスムーズな審査と契約が可能になるため、不動産投資に興味がある方はぜひ最後までご覧ください。
不動産投資で銀行融資を受ける前の事前準備
不動産投資は比較的少ない自己資金で運用できるミドルリスク・ミドルリターンの投資です。その効果を最大限に活かすためには不動産投資ローンを組む必要があります。
居住用の物件を購入する際に組む住宅ローンと不動産投資ローンでは、借入の目的と返済原資が異なります。そのため、事前に用意しておくべき書類と準備が変わります。
以下の項目では、不動産投資で銀行融資を受ける際の事前準備を紹介していきます。
個人の属性を記載した経歴書
素性がわからない人間に数千万円のお金を融資してくれる銀行はありません。個人の属性を記載した経歴書は住宅ローンを組む際にも必要となる書類ですが、不動産投資ローンを組む際にも必ず必要です。
● 金融資産(預貯金、株式、生命保険)
● 将来相続予定の金融資産
この仕事を何年続けているか、収入はどれ位か、家族はいるか、預貯金はどれ位かなどの自己紹介資料だけではなく、将来相続予定の金融資産や職場から受け取る予定の退職金の額も漏れなく記載しておきましょう。
ローンの返済は長期に渡るため、将来的に取得が予定されている資産があれば銀行の融資審査時にプラスに働きます。
自己紹介資料を見て銀行側が審査する点は、投資用物件の運営が上手にいかなくても返済を滞りなくできる能力が個人にあるかどうかです。その点を踏まえたうえで、個人の属性を記載した経歴書は事前に用意しておきましょう。
投資用物件を紹介する資料
住宅ローンで重視される審査ポイントは個人の属性のみですが、不動産投資ローンを組む場合はそれに加えて物件の収益力も審査されます。投資用物件の資料は販売者が揃えてくれますので、必ず事前に用意しておきましょう。
● 賃借状況を把握できるレントロール
所在地、価格、利回り、面積などが記載されている物件概要書と、部屋ごとの賃料や敷金礼金などの賃借状況を記載しているレントロールが必要です。これらの資料を通して銀行側は、融資するに値する物件か否かを判断します。また、さらに銀行側の心象を良くするために事業計画書を作成することもおすすめします。
近隣の競合物件と比較した際の強み、収支計画、空室リスクを抑える取り組みなどを記載しておくことで、銀行側の心象は非常に良くなります。事業計画書は必須なわけではありませんが、審査通過の要となる部分なので用意しておくに越したことはありません。
不動産投資で銀行融資を受ける際の申し込み手順と必要書類
ここからは、実際に不動産投資ローンを受ける際の申し込み手順を紹介していきます。必要書類と合わせて紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
事前審査
不動産投資ローンの銀行融資は『事前審査⇒本審査⇒契約』という流れで進みます。
事前審査は金融機関へ電話などで連絡を取り、アポイントを取ることから始まります。約束をせずにいきなり足を運んでも担当者がいない場合がありますので、必ず事前に連絡しておきましょう。また、金融機関によっては来店せずにWeb上で融資の相談ができる場合もあります。
不動産投資の事前審査を受ける際は、以下の書類を必ず用意しておきましょう。
- 身分証明書
- 収入証明書
- 保有資産がわかる資料
- 投資用物件の概要書
事前審査で見られる点は、個人の身元と投資用物件の詳細です。そのため、自分の経歴や職歴などを詳細に記載した自己紹介資料や、投資用物件の投資価値が高いことを証明できる物件概要書とレントロールを必ず提出する必要があります。
事前審査は銀行で面談を行うのが一般的ですが、ここで融資をしても良いかどうかを判断します。そのため、不動産投資ローンの場合は投資用物件の価値が重要な審査ポイントになりますので、長期に渡り末永くローンを返済できる収支が見込める優良物件であるということをアピールしなければなりません。
また、繰り返しになりますが金融機関により受付方法は異なりますので、事前に融資を依頼する銀行の事前審査方法を確認しておくようにしましょう。
本審査
金融機関により異なりますが、事前審査は数日から数週間で終了し担当者から連絡がきます。
本審査を行うためには物件の売買契約を締結しておく必要がありますので、先に売主と契約を結んでおきましょう。契約完了後、金融機関と本審査を締結するための手続きへと進みます。
- 納税証明書
- 返済予定表
- 売買契約書
- 賃貸借契約書
- 重要事項説明書
- 印鑑登録証明書
金融機関で本契約を結ぶ際は、事前審査で提出した書類と合わせて上記書類が必要になります。追加時にメインとなる書類は、売買契約を結んでいるという証明書です。
前述したように売買契約を結んでいなければ本契約は締結できませんので、必ず投資用物件を購入した証明ができる書類を用意しておきましょう。本審査は金融機関の本部で行われ、回答までに2週間から1ヶ月程度の時間がかかります。
また、売買契約後に本審査となりますので、審査に通過しなければ手付金を返還し白紙解除できるローン特約という契約が盛り込まれているかを売買時に必ず確認するようにしてください。
契約
本審査が無事に通過したら担当者から連絡がきますので、金融機関と契約を結びます。契約の手続きは金銭消費賃借契約(ローンの契約)、抵当権設定契約、団体信用生命保険契約で、銀行に出向いて締結するのが一般的です。
そして、ここから融資条件などについて案内されますので、納得すれば契約完了です。
● 金利
● 期間
融資希望額や期間などは事前に伝えていますが、それが100%実現できるわけではありません。もちろん提示されたローンの限度額や期間に納得がいかなければ契約を結ばなくても大丈夫なので、慎重に検討する必要があります。
返済総額が変わる金利に関しても、都市銀行か地方銀行かで大きく相場が変わります。一般的には都市銀行が融資ハードルが高い代わりに金利が安く、地方銀行が融資ハードルが低い代わりに金利は高いとされています。
契約時に必要なものは実印、印鑑登録書名所、住民票だけなので、改めて何かを用意する必要はありません。すべての契約内容に必ず目を通したうえで、契約の可否を選択しましょう。
まとめ
金融機関から融資を受ける際の申し込み手順や必要書類をまとめて紹介してきましたが、参考になりましたか?
居住用物件を購入する住宅ローンとの違いは、投資用物件の価値が高いと判断されれば融資を受けられる可能性が上がる点です。そのためには、個人の属性だけではなく投資用物件の魅力を伝えなければいけませんので、物件概要書、レントロール、事業計画書の準備はかかさずに行いましょう。
事前準備や必要書類を知らなければ契約までに思わぬ時間がかかるケースもありますので、不動産投資用の物件を購入する際に銀行から融資を受けたいと考えている方は、この記事で紹介したことを必ず覚えておきましょう。