不動産投資で節税対策を行うことは、収益を最大化するために欠かせない要素です。しかし、どのような方法があるのか、初心者にとってはわかりにくい部分があるかもしれません。
そこで、今回は不動産投資における節税の方法について、初心者でも理解しやすい4つの具体的な方法を紹介します。また、節税に関する誤解についても詳しく解説していますので、これまで節税対策に取り組んでいた方でも新たな知識を得られることでしょう。
ぜひ、今後の不動産投資に役立てていただければ幸いです。
不動産投資で知っておくべき4つの税金対策
不動産投資において、税金対策は重要な要素となります。ここでは、日本の法律に則った不動産投資での税金対策について、所得税、住民税、贈与税、相続税の4つの節税対策に焦点を当てて解説します。
所得税の節税対策
不動産投資における所得税の節税対策には、特定目的資産の除却償却の活用や、不動産投資にかかる費用を経費として計上することによって、所得税の額を減らす方法があります。
固定資産税の特例措置としては、居住用の不動産であれば、所得金額の2割を控除できる「住宅特別控除」が利用できます。
また、減価償却費を計上することによって、所得税の額を減らせます。適切な計算を行うためには、物件の種類や取得価額、修繕費用などに応じた減価償却率を使用するようにしてください。
所得税の税率と税額を簡単に計算するための速算表は、年度ごとに国税庁のウェブサイトからダウンロードできます。税金に関する相談については、国税庁のウェブサイトやお住まいの管轄税務署にお問い合わせください。
住民税の節税対策
不動産投資における住民税の節税対策としては、空き家等の減免措置や、収入を最小限に抑える方法が挙げられます。例えば、空室率を減らすために賃料を下げれば、収入を最小限に抑えることができます。
転居による居住税の変更にも注意が必要です。空き家等の減免措置には、空き家等の課税対象期間を減らす「空き家等の特例措置」があります。
また、収入を最小限に抑える方法としては、長期の賃貸契約を結ぶことや、低額賃貸物件を提供することが挙げられます。
居住税の変更については、転居に伴って居住地が変わった場合には、居住地の自治体において新たな居住税が課せられるため、注意が必要です。
贈与税の節税対策
不動産投資における贈与税の節税対策としては、贈与税の非課税枠の活用や、贈与の分割等が挙げられます。例えば、贈与を分割して行うことによって、非課税枠を超えないようにすることができます。
贈与税の非課税枠としては、年間50万円の贈与税の非課税枠と、贈与人と受贈人の続柄に応じた非課税枠があります。
また、贈与を分割して行う場合には、一定の期間を空けて贈与を行うことによって、非課税枠を有効に活用することができます。
相続税の節税対策
不動産投資における相続税の節税対策としては、相続税の非課税枠の活用や、相続人の継承分の分割などが挙げられます。
例えば、相続財産を事前に贈与することによって、相続税の節税を図ることができます。相続税の非課税枠としては、配偶者控除や、相続人数に応じた非課税枠があります。
また、相続人の継承分の分割については、相続人同士で協議を行うことによって、相続税の額を最小限に抑えることが可能です。
不動産投資の節税でよくある誤解3選
不動産投資において節税対策を行うことは、投資家にとって魅力的なポイントの一つです。しかし、節税に関する知識が乏しい場合、誤解や勘違いが生じることもあります。
ここでは、不動産投資による節税でよくある誤解3選について解説していきます。正しい知識を身につけ、効果的な節税対策を行い、収益を最大化しましょう。
節税の赤字は銀行融資審査に影響
不動産投資において、赤字であることが融資審査に悪影響を与えるのではないかと不安に思う人が多いです。しかし、減価償却費用には2種類あることを理解していないために誤解が生じています。
不動産投資における「赤字」には、減価償却前と減価償却後のものがあります。
銀行が評価する利益は減価償却前の利益であるため、減価償却前の利益が黒字であれば減価償却後が赤字でも問題ありません。
融資を申し込む銀行によって異なることはありますが、融資審査において、企業の減価償却前の利益を重視する場合が多いです。
減価償却で赤字になる物件は収益性が低い
減価償却をして赤字になるような物件は、収益性が低いと考える人が多いです。例えば、減価償却期間が長い新築物件においては、年間の減価償却費用が高くなります。
ただし、これは誤解です。なぜなら、節税には築古物件を選ぶことが前提であるため、新築物件を節税目的で選ぶこと自体が間違っているからです。
新築木造物件を例にとると、土地5,000万円、建物5,000万円(税抜)を購入した場合、年間の減価償却費用は227万円になります。
しかし、減価償却後に赤字になるということは、減価償却前の利益が227万円以下であることを意味しています。実際には、借入返済を考慮する必要があり、22年フルローンで借りたと仮定すると、年間454万円になります。
このため、キャッシュフローが赤字になるような物件は、減価償却前の利益が非常に低いため、収益性が低いといえます。
つまり、減価償却をしても節税効果よりもキャッシュフローが悪化してしまうため、投資家にとって魅力的な物件ではありません。
しかし、築古物件であれば減価償却費用は少なく、減価償却後の赤字でも減価償却前の利益は比較的高くなるため、キャッシュフローの悪化を最小限に抑えながら節税効果を得ることができます。
減価償却による節税は、ただ納税を先送りするだけ
不動産投資において減価償却は節税の重要な手段の一つですが、一部の人はこれを「納税を先送りするだけの方法」と誤解しています。
この誤解は、所得税・住民税率が20%以下の場合や法人の場合のように、減価償却期間中の税率と譲渡税率との差が生じないことと混同されるのが原因です。
実際に、減価償却には税金を実際に減らす効果と、税金を繰り延べる効果の2種類があります。
所得税・住民税率の高い人は、物件を購入してから6年後に長期譲渡することで、実際に税金を減らすことができます。なぜなら、所得税・住民税率と譲渡税率との差が生じるからです。
つまり、減価償却による節税は単なる納税時期の先送りではなく、実際に税金を減らすことができる効果があるということです。
ただし、節税を目的として不動産投資を行う場合は、長期的な視野を持ち、売却時期を考慮して計画的な投資を行うことが重要です。
また、節税に偏りすぎず、物件選びにも力を入れることで、不動産投資におけるリスクを最小限に抑え、投資収益を最大化することができます。
節税効果だけに注目して不動産投資をするのは危険
不動産投資による節税効果は、投資初期の段階で得られるものであり、年月が経過すると次第に減少していきます。
また、投資初期に節税効果を追求するあまり、自己資金がなく100%借入金で投資を始めた場合、所得税の負担が増え、投資回収が終わっていない状態で税金の負担が重くのしかかることもあります。
不動産投資の成功の鍵は、計画的な投資と情報収集にあり
不動産投資で成功するためには、よく計画し情報収集することが重要です。
- 投資利回りと耐用年数
- 物件所在地域の賃料水準や居住者層
- 空室発生の確率と需給バランス
- 転売の可否
- 借入期間と金利水準
上記のような情報集めを慎重に検討し、投資対象として優良な物件を選ぶべきです。節税効果だけに目を向けず、投資物件の財産的価値と収益力に重きを置いて判断するようにしましょう。
まとめ
この記事では、不動産投資における税金対策の基本的な知識から、具体的な節税の方法までを解説しました。節税には効果的な方法がありますが、それによって生じるリスクも理解し、計画的な投資が必要です。
節税を目的に投資を始める場合は、15年後に税金の負担が増えることを考慮し、節税だけに目を向けず、財産形成の視点を持って投資を行うことが大切といえます。
不動産投資に取り組む際には、確実に情報収集を行い、節税対策を含めた計画的な投資を行いましょう。