ミドルリスクで安定した収益や不労所得を得られる不動産投資は、老後に余裕がある生活を送りたいと考えている方の資産形成の一つとして高い注目を集めています。
購入した物件を人に貸すことで家賃収入を得る不動産投資は、当然ですが物件を複数所有して多くの方へ貸した方が利益は大きくなります。
しかし、投資用物件を2件、3件と複数所有することは利益が多くなるメリットがある一方で、決して見過ごせないデメリットもあります。
この記事では、不動産投資で物件を複数所有するメリットとデメリットを解説します。
不動産投資で物件を複数所有する5つのメリット
はじめに、不動産投資で物件を複数所有するメリットを紹介します。
収入が増える
投資用物件を複数所有することで収入や資産が増えます。
たとえば、10万円の家賃のマンションを1部屋貸している場合の収入は毎月10万円ですが、2部屋貸していれば倍の20万円、3部屋なら30万円です。
また、不動産は現物資産としての価値があるため、複数の物件を所有していればそれだけ資産も多くなるということになります。
不動産投資は収入の額が所有する物件に比例するため、複数所有することで収入を増やすことができるという大きなメリットがあります。
リスクの分散
投資用物件を複数所有することでリスクを分散できます。
たとえば、収入の柱となる投資用物件が1部屋だけの場合、その部屋の入居者が退去してしまえば家賃収入は0円になります。
他にも、甚大な被害をもたらす災害に遭い人が住める状態ではなくなった場合でも、被害に遭えば収入がなくなります。
しかし、投資用物件を複数所有してリスクを分散させておけば、空室や災害により仮に1部屋の入居者がいなくなっても、他の物件から家賃収入を得ることが可能です。
想定外の災害や入居者需要の減少は自分の力だけではどうすることもできないため、リスクヘッジの観点で見ても複数所有はメリットがあります。
不動産投資における三大リスクは以下の記事で詳しく紹介していますので、興味がある方は合わせてご覧ください。
節税効果が大きくなる
不動産投資には節税効果がありますが、物件を複数所有すると、その効果は比例して大きくなっていきます。
そもそも不動産投資の節税効果が高い理由としては、“経費”と“減価償却費”の2点が挙げられます。
不動産投資では、修繕費・固定資産税・ローン金利・減価償却費などを経費として計上できるため、これらが多ければ多い分だけ節税ができます。
所有する物件の数が多ければ計上できる経費の額も増えるため、その分だけ節税の効果も大きくすることができるというわけです。
不動産投資における節税の仕組みは下記の記事で詳しく紹介していますので、興味がある方は合わせてご覧ください。
キャピタルゲインの期待が高くなる
不動産投資で利益を得る仕組みは、インカムゲインとキャピタルゲインの2種類があります。
● キャピタルゲイン⇒物件を売却して利益を得る
都心近郊における不動産投資のメリットの一つに、市街地再開発によるキャピタルゲインが狙える点が挙げられます。
再開発により利便性が向上すれば人が集まるため、住宅需要が増加し、購入時よりも高値で売却できる期待が高くなります。
不動産投資を複数所有で行っていれば、“今は利益が少ないが将来性が高い物件”を所有することが可能です。
キャピタルゲインはインカムゲインとは異なり、1回の取引で数千万円単位の利益を得られる可能性もあるため、高い利益を見込むことができます。
ローンの借り換えが有利に働く
不動産投資では、レバレッジを効かせるためにも自己資金だけではなく金融機関から融資を受けて購入する方が多いです。
そのため、投資用物件を抱えるオーナーは、いかに賢くローンの金利を下げていくかが収益を上げるために重要となります。
金利などの条件が良いローンへ借り換えを行う際は、当然ではありますが金融機関からの審査が必要です。
その際、不動産投資用物件を複数所有していると収益が安定しているため、ローンの借り換えの際も有利に働きやすくなります。
不動産投資でレバレッジを効かせる方法は以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも合わせてご覧ください。
⇒不動産投資のレバレッジとは?効果を利かせるメリットと注意すべきデメリット
不動産投資で物件を複数所有する3つのデメリット
投資用物件が2倍になれば収入も2倍になる。普通に考えればそう思ってしまうかもしれませんが、不動産投資はそこまで単純なものではありません。
以下では、不動産投資で物件を複数所有するデメリットを紹介します。
キャッシュフローの悪化
投資用物件を複数所有する最大のデメリットは、キャッシュフローが悪化するリスクです。
たとえば、家賃収入が1ヶ月で10万円の投資用物件を2部屋所有していたとします。いずれも月に1万円の管理費と7万円の返済がある場合、手元に残る収入は合計で4万円です。
しかし、これは2部屋とも入居者がいる場合の最大値となります。
片方の物件が空室になると家賃収入は10万円と半分になりますが、月々固定の支出は8万円で変わらないため、手元に残る収入は2万円になります。
万が一2部屋とも空室になれば赤字になります。そのため、キャッシュフローは満室の状態で算出するのではなく、空室になった場合の想定する必要があります。
メンテナンス費の増加
当然ではありますが、管理する投資用物件が増えればメンテナンス費も増加します。
メンテナンス費は経費として計上できるため、節税効果を高くすることはできますが、手元にお金がなければ捻出することができません。
外壁や屋根、ガス・電気設備、消防設備、日々の掃除など、メンテナンスは多くあります。これらは管理会社へ一任することができますが、その費用も複数所有であれば増加します。
余分な手数料を削減するためには、すべての投資用物件を一つの管理会社へまとめて依頼することをおすすめします。
突発的な修繕費の増加
投資用物件を複数所有していると、突発的に必要となる修繕費が増加します。
物件を長く保有していれば、一定の期間で修繕やメンテナンスが必要になります。修繕費は一度に多額の費用がかかるため、十分な資金のストックは不可欠です。
また、物件を複数所有していると、エアコンやガスコンロ、給湯器や水道など、細かいメンテナンスの費用も多くなります。
突発的に多額の資金が必要となる修繕が重なるケースもないとはいえないため、修繕積立金やキャッシュフローの安定など、適切な運用計画を組み立てる必要があります。
まとめ
不動産投資で物件を複数所有するメリットとデメリットを紹介しました。
投資用物件を複数所有する際は、まず一つ目の物件を成功させることが重要です。たしかに、リスク分散や収益アップなどのメリットはありますが、キャッシュフローの悪化リスクや修繕費の増加などのデメリットもあるため、ある程度の経験やキャッシュが必要です。
また、一つ目の物件でキャッシュフローがマイナスであれば、二つ目の物件を借りる際のローンを組むのも難しくなるため、まずは最初の物件で安定した収入を得ることを考え、その後に複数所有で収益アップを狙っていくのが一般的な流れとなります。
不動産投資で物件を複数所有したいと考えている方は、メリットとデメリットの双方を把握したうえで、適切な条件の物件購入を検討していきましょう。