公務員は不動産投資に有利と言われていますが、本当なのでしょうか?
公務員の副業は禁止されていますが、不動産投資は可能なのでしょうか?
不動産投資に興味はあるものの、不安を感じている公務員の方も多いでしょう。
この記事では、公務員の副業が禁止されている理由、許可されている不動産投資の条件、公務員が不動産投資に向いている理由、注意点について解説します。
公務員の方が安心して不動産投資を始められるよう、ぜひ最後までお読みください。
公務員の副業は禁止されている
公務員の副業については、「国家公務員法」および「地方公務員法」により、原則として禁止されています。
公務員は国民のために働く立場であり、職務上「公平性」と「中立性」が求められるからです。
また、特定の業種や企業と深く結びつくことで便宜を図る可能性がある、もしくはそのように見えることも避ける必要があります。
このため、副業禁止は以下の法律で定められています。
● 第104条(他の事業または事務の関与制限)
不動産投資は条件付きで可能
公務員の不動産投資を含む副業は原則として禁止されていますが、任命権者の許可を受ければ副業を行うことは可能です。
しかし、不動産投資は一定の条件を満たす場合には、許可を受けずに行うことができます。
ここでは、公務員が不動産投資を行うための条件について解説します。
【条件①】5棟10室未満であること
不動産投資には、物件の規模に関する制限があります。
● アパート・マンションなどの集合住宅については区画された部屋数が10室未満
● 駐車場など土地の賃貸の場合は賃貸契約の件数が10件未満
また、賃貸の目的についても、規則があります。
例えば、娯楽施設や旅館・ホテルの運営は、副業に該当します。
たとえ戸建住宅の賃貸が5棟未満でも、民泊などのホテル運営に該当する場合は副業禁止の対象となる可能性があります。
【条件②】物件の管理業務を自分で行わない
物件の管理業務をすべて賃貸管理会社に委託している場合は、副業規定に抵触しません。
不動産投資では、保有する物件の維持管理、空室の募集、集金など多くの業務が発生します。
これらの管理業務を副業として行うには、相当の負担がかかります。
公務員の副業には、「信用失墜行為の禁止」・「守秘義務」・「職務専念の義務」の3原則を守る必要があります。
不動産投資物件の管理を自分で行った場合、特に「職務専念の義務」に支障が生じる可能性があるため、物件の管理業務は自分で行わないことが副業として認められる条件になります。
【条件③】家賃収入が年間500万円未満
不動産投資で得ている家賃収入についても、「年間の家賃収入が500万円未満であること」という条件があります。
物件の規模が5棟10室未満であっても、年間の家賃収入が500万円以上の場合は副業にあたります。
例えば9室のアパートを所有していて1部屋5万円で貸していた場合、年間の家賃収入は540万円になるため家賃収入の条件を超えてしまいます。
この場合の家賃収入は、収入から経費を引いた手取り収入ではなく、家賃収入(駐車場収入)で判断されます。
そのため、実際の手取り収入が500万円以下でも、副業に該当しますので注意が必要です。
条件を超えても不動産投資が認められるケースも
アパートやマンションなどを相続で取得した場合や自分が住居としていた戸建やマンションを賃貸に出す場合は、公務員の不動産投資が認められる条件を超えていても、不動産投資が認められるケースがあります。
不動産を相続した場合
物件の規模や家賃収入が、不動産投資が認められる条件を超える物件を相続で取得した場合、不動産投資が認められる可能性が高くなります。
「公務員規定に違反するから相続をするな」とは言えませんし、不動産投資を始めるのは本人の意思ではないため、副業として認められるケースが多くなるでしょう。
ただし、自己管理をしている場合は、「物件の管理を賃貸管理会社に委託すること」が条件となるかもしれません。
自宅に住まなくなったため賃貸に出す場合
転勤や住み替えの理由で、自分や家族が住んでいた戸建やマンションを賃貸に出す場合も、副業として認められるケースになります。
そもそも住まなくなった家を5棟以上賃貸に出すことは考えにくいので、このケースで条件を超える可能性は低いでしょう。
不動産投資が公務員におすすめの理由
数ある副業の中でも、不動産投資は公務員に有利な副業と言われています。
公務員は「不動産投資」のための物件を銀行融資で購入しやすく、賃貸管理を委託することで本業に専念できることがおすすめの理由となります。
公務員のため融資が通りやすい
不動産投資の特徴のひとつとして、銀行融資を使って物件を購入できるため、少額の資金しか手元にない場合でも、手持ち資金を超える額以上の物件を購入することができます。
しかし、誰でも良い条件で、銀行から融資を受けられるわけではありません。
銀行の融資審査では、資産状況だけでなく、収入の安定性も審査対象となります。
公務員の方は民間企業に勤めている方よりも、収入が安定していると見なされるケースが多く、有利な条件で銀行融資を受けることができます。
管理会社に委託できるため本業に支障が出にくい
不動産投資のもう一つの魅力として、手間がかからないことが挙げられます。
不動産物件を保有すると、建物の維持管理や賃貸募集、家賃の集金など様々な業務が必要です。
しかし、公務員は物件管理を自ら行うことが制限されていますので、賃貸管理会社に委託しなければなりません。
そのため、公務員が不動産投資を行う際は、家賃が毎月入っているかをチェックするぐらいで特にやることはありません。
不動産投資は、他の副業と違い本業に支障が出にくい副業と言えます。
公務員が不動産投資をする際に注意したい点
不動産投資には、注意しなければならない点がいくつもあります。
ここでは特に公務員の方が不動産投資をする際に、注意したい点について紹介します。
確定申告を怠らないようにする
不動産投資を行って家賃収入がある場合は、確定申告をしなければなりません。
しかし、「確定申告の方法が分からない」または「確定申告をするのが面倒」という理由で怠ってはいけません。
確定申告を行わずに払うべき税金を払わないのは、脱税行為に当たります。
特に公務員は税金を徴収する側の立場ですので、本来納税すべき税金を払っていないことが発覚すると大問題になります。
節税の効果はあまり見込めない
不動産投資は、公務員やサラリーマンが通常認められない経費を使うことができ、節税対策として利用できる投資です。
不動産投資を行い不動産運用で所得が赤字になった場合、本業の所得から損益通算することで節税が可能です。
不動産投資の節税効果に興味を持つ方が多いですが、実際にはそれほど大きな節税額は見込めません。
特に、物件の規模に制約がある公務員が節税できる額は多く見込めないため、節税目的の不動産投資には注意が必要です。
公務員が条件を超えて不動産投資をした場合どうなる?
公務員が条件を超えて不動産投資をした場合、減給や停職などの懲戒処分を受ける可能性があります。
しかし、任命権者の認可がもらえれば、条件を超えていても不動産投資を行うことは可能です。
もし条件を超えてしまう可能性がある場合は、上司に相談し、事前に許可を得るようにしましょう。
職務と不動産投資に利害関係がないことや、賃貸管理業務を委託することで職務に影響がないことが認められれば、条件を超えていても許可が得られる可能性があります。
まとめ
この記事では、公務員が原則として不動産投資を禁止されている理由や、例外として許可されている不動産投資の条件について解説しました。
不動産投資の規模や家賃収入の上限などの条件はありますが、公務員は銀行融資が通りやすく、物件が購入しやすいという大きなメリットがあります。
しかし、公務員にとって不動産投資が魅力的であっても、副業禁止規定に抵触して減給や停職などの処分を受けてしまっては、投資の意味がなくなってしまいます。
ここで紹介した内容を理解すれば、不動産投資で成功することも可能でしょう。