不動産売却を人生の中で何度も経験することは少ないことでしょう。そのため、いざ不動産売却をすることになっても、さまざまな不安や疑問が思い浮かぶかもしれません。
この記事では、不動産売却の流れをわかりやすく解説しています。記事内ではおおまかな流れや期間がわかるだけでなく、不動産売却に必要な書類や注意点も学べます。
不動産売却に関する基礎知識を身につけて、安心して売却できるようになりましょう。
ステップ1: 情報収集
不動産売却を始める前に、まずは情報収集を行います。
情報収集の目的
情報収集には2つの目的があります。一つは、売りたい不動産の相場を把握することです。相場を把握することで、適切な価格設定や交渉力の向上につながります。
もうひとつは、信頼できる不動産会社を見つけることです。信頼できる不動産会社を見つけることは、スムーズな取引やトラブル回避のために大切なポイントとなります。
情報収集の方法
情報収集にはインターネットが便利です。以下のようなサイトで情報を見つけることができます。
- 不動産の成約価格を調べられるサイト
- 不動産一括査定サービス
これらのサイトを利用することで、自分の不動産が売れそうな価格や評判の良い不動産会社を簡単に見つけることができるでしょう。
ステップ2: 査定依頼
情報収集をして目星をつけた不動産会社に査定依頼をしましょう。査定とは、不動産会社によって、売主が売りたい不動産の価値を評価することです。
査定には机上査定と訪問査定の2種類があります。机上査定とは、不動産の基本情報や周辺相場などから簡易的に価格を算出する方法です。
訪問査定は、不動産会社の担当者が現地に赴き、物件の状態や特徴を詳しく調査し、正確な価格を算出する方法です。
査定依頼の際は、必ず複数の不動産会社に依頼しましょう。不動産会社によって査定額が異なることが多いため、比較することで最適な価格や条件を見極めることができます。
査定依頼はインターネットや電話でもできますが、手間を省きたいなら不動産一括査定サービスを利用するのが便利です。
一度の入力で複数の不動産会社に査定依頼ができるため、時間と手間を省くことができます。
ステップ3: 媒介契約
査定結果をもとに信頼できる不動産会社を選んだら、媒介契約を結びます。
媒介契約の種類
媒介契約とは、売主と不動産会社の間で販売活動や報酬などを取り決める契約です。
媒介契約には、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。それぞれのメリット・デメリットを考えて、自分に合った契約形態を選びましょう。
一般的には、専属専任媒介契約がおすすめです。
専属専任媒介契約では、不動産会社はレインズ(全国の不動産会社が加入する指定流通機構)に物件情報を登録する義務があり、購入希望者の幅が広がります。
また、不動産会社は売主に対して責任感をもって営業活動に取り組むことが期待できます。
媒介契約に必要な書類
媒介契約を結ぶ際には、以下の書類を用意しましょう。
書類名 | 内容 |
物件概要書 | 物件の所在地や面積などの基本情報 |
登記事項証明書 | 物件の所有者や権利関係などの登記情報 |
間取り図 | 物件内部の部屋数や配置など |
敷地測量図 | 敷地内外の形状や境界など |
告知書 | 物件の瑕疵や法令違反など |
ステップ4: 売却活動
媒介契約を結んだら、不動産会社が売却活動を開始します。売却活動とは、物件の広告掲載や内覧対応など、購入希望者を見つけるための活動です。
売却活動は不動産会社が主導的に行いますが、売主も協力する必要があります。
売主が協力すべきことは以下の通りです。
- 内覧時に物件をきれいに見せるための物件の清掃や整理整頓
- 物件の状態や歴史などを直接伝えるための内覧時の立会いや説明
- 買主の要望に応じて柔軟に検討するための条件交渉への対応
売却活動は物件の種類や市場の状況によって異なりますが、一般的には1~3ヶ月程度かかると考えておきましょう。その間に購入希望者が現れれば、次のステップに進みます。
ステップ5: 売買契約と引き渡し
購入希望者が決まったら、売買契約と引き渡しを行います。売買契約とは、売主と買主が物件の売買に関する内容を取り決める契約です。引き渡しとは、物件と代金の交換を行うことです。
売買契約と引き渡しの手順
売買契約と引き渡しには以下の手順があります。
購入申込書(買付証明書)の受領
購入希望者から不動産会社経由で購入申込書を受け取ります。購入申込書には、物件の価格や引渡し日などの条件が記載されています。
重要事項説明書の作成
不動産会社が物件や取引に関する重要事項をまとめた書類を作成します。重要事項説明書には、物件の権利や瑕疵、法令違反などの情報や、取引の流れや注意点などが記載されています。
重要事項説明書の説明
不動産会社が重要事項説明書を売主と買主に説明します。重要事項説明書は、不動産売買における最も重要な書類となるため、内容をよく理解してから署名捺印します。
売買契約書の作成
不動産会社が売買契約書を作成します。売買契約書には、物件の価格や引渡し日などの条件や、売主と買主の権利義務などが記載されています。
売買契約書の締結
売主と買主が署名捺印して売買契約書を締結します。売買契約書は、不動産売買における最も正式な契約となるため、内容をよく確認してから署名捺印します。
手付金(予定金)の支払い
買主が売主に手付金を支払います。手付金とは、売買契約の成立を証明するために支払う一部前払い金です。手付金は一般的に物件価格の5~10%程度です。
物件の引き渡し
売主が買主に物件の鍵や設備などを引き渡します。引き渡しは、売買契約書に記載された日に行います。引き渡しの際には、物件の状態や設備の動作などを確認します。
決済(代金の支払い)
買主が売主に残りの代金を支払います。決済は、引き渡しと同じ日に行うことが多いです。決済の際には、売主が抵当権や固定資産税などの清算を行います。
売買契約書の登記
不動産会社が売買契約書を登記所に提出して登記を行います。登記とは、物件の所有者や権利関係などを公示することです。登記は、不動産売買の最終段階です。
売買契約に必要な書類
売買契約と引き渡しには、以下の書類を用意する必要があります。
書類名 | 内容 |
売買契約書 | 売買の内容を記した契約書 |
重要事項説明書 | 物件や取引に関する重要事項を記した書類 |
告知書 | 物件の瑕疵や法令違反などを記した書類 |
付帯設備表 | 物件に付属する設備や備品を記した書類 |
物件概要書 | 物件の基本情報を記した書類 |
登記事項証明書 | 物件の所有者や権利関係などを記した書類 |
間取り図 | 物件内部の部屋数や配置などを記した図 |
敷地測量図 | 敷地内外の形状や境界などを記した図 |
売買契約と引き渡しは、一般的には1~3ヶ月程度かかります。
その間には、以下のことに注意しておきましょう。
- 物件の管理や清掃を怠らない
- 引っ越しや住所変更などの手続きを行う
- 水道・電気・ガスなどの公共料金や管理費・修繕積立金などの精算を行う
ステップ6: 確定申告
不動産売却が完了したら、最後は確定申告です。確定申告とは、不動産売却によって発生した所得税や住民税などの税金を申告することです。
確定申告は、不動産を売却した年の翌年2月16日から3月15日までに行わなければなりません。
確定申告には以下の書類が必要です。
書類名 | 内容 |
確定申告書 | 不動産売却で発生した所得や税金などを記入する書類 |
譲渡所得計算表 | 不動産売却で発生した譲渡所得や譲渡損失などを計算する書類 |
譲渡証明書 | 不動産売却の契約内容や譲渡価額などを証明する書類 |
印紙税納付書 | 印紙税の納付証明として必要な書類 |
上記の書類は、確定申告の際に提出する必要があります。また、不動産売却に関するその他の書類や領収書なども、必要に応じて添付することがあります。
まとめ
この記事では、不動産売却の一般的な流れを解説しました。不動産売却は、情報収集、査定依頼、媒介契約、売却活動、売買契約と引き渡し、確定申告という6つのステップで進んでいきます。
また、それぞれのステップには必要な書類や手続きがあります。不動産売却に関する基礎知識を身につけて、スムーズな売却を心がけましょう。