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不動産投資における減価償却とは?仕組み・計算方法・メリットを詳しく解説

不動産投資に高い節税効果があるといわれる大きな要因の1つに、減価償却費を経費として計上できるという理由が挙げられます。

結論からいうと、減価償却費が不動産投資の節税に大きな効果をもたらす理由は、実際の支出を伴うことなく経費として計上できるからです。

減価償却費を使えば税金を減らすことはできますが、仕組みや計算方法、メリットや注意点を正確に把握していなければ、適切に使うことはできません。

この記事では、不動産投資における減価償却の基本概要を詳しく解説します。

不動産投資における減価償却とは

不動産投資 減価償却

減価償却とは、資産は時間の経過と共に価値が低下していくという考え方です。たとえば、時間の経過で価値が落ちていく一般的な車を300万円で購入したとします。

この車は購入した年に300万円を経費として計上することもできますが、毎年50万円ずつを6年間にわけて経費として計上することも可能です。

これが簡単な仕組みとなりますが、減価償却はできる資産とできない資産があります。

減価償却の基準は、時間の経過で価値が落ちるかどうかです。不動産でいえば、建物は経年で価値が落ちますが土地の価値は落ちないため、土地は対象外となります。

仕組み

不動産投資における減価償却で考えなければいけないのが、国税庁により定められている法定耐用年数です。

建物の構造の違いにより、法定耐用年数は下記の期間が定められています。

建物の耐用年数
● 木造/合成樹脂造⇒12~24年
● 木骨モルタル造⇒11~22年
● 鉄骨鉄筋コンクリート造/鉄筋コンクリート造⇒31~50年
● れんが造/石造/ブロック造⇒30~41年
● 金属造⇒17~38年飼育可能なペットの種類、数を決める

耐用年数は、建物の価値があると認識される期間です。たとえば、木造住宅の耐用年数は22年なので、最長で22年間は減価償却を行うことができます。

この場合は、あくまでも最長で22年間なので、5年や10年などの短い期間で減価償却を使い切ることも可能。耐用年数は、減価償却ができる最長期間だと考えてください。

同じ建物の構造で耐用年数に開きがある理由は、種類により細かくわかれているからです。

木造物件は住宅用であれば耐用年数は22年ですが、公衆浴場用だと12年、旅館やホテル用だと17年になります。

不動産投資で購入した物件を、個人に賃貸として貸すのであれば住宅用に分類されるので、基本的に耐用年数は10年以上はあると想定しておきましょう。

計算方法

減価償却には、「定額法」「定率法」という2種類の計算方法があります。

法人税法では原則として定率法で計算することを求めていますが、建物などは定額法で計算するのが望ましいとされています。

それぞれの計算方法は下記の通りです。

減価償却の計算方法
● 定額法⇒取得価格×定額法の償却率
● 定率法⇒未償却残高×定率法の償却率

償却費の金額が原則として毎年同額になる定額法では、耐用年数ごとに定められている償却率に従いながら減価償却費を計算していきます。

定率法では、初年度に減価償却費を大きな金額で計上した後は、毎年一定の償却率を掛けて少しずつ減少させていきます。利益の余裕がある場合は、こちらで計算しても問題ありません。

減価償却を計算する際のポイントは、取得原価、残存価格、耐用年数の3つです。耐用年数で算出された償却率を掛け合わせたうえで、計算していきましょう。

さらに詳しく計算方法を知りたい方は、国税庁のホームページで紹介されている「具体的な計算例」をご確認ください。

不動産投資で減価償却費を計上する3つのメリット

不動産投資 減価償却

ここからは、不動産投資で減価償却費を経費として計上するメリットを紹介します。

支出がなくても経費にできる

経費=実際に支払った金額という認識を持っている方が多いと思いますが、減価償却費に関しては実際に出費を伴っていなくても経費として計上できます。

前述の通り、減価償却費は物件を購入した費用を分割して経費として計上できるものです。

物件を購入した費用以外の支出が発生していなくても、減価償却費は経費として計上できるため、手元の現金を減らさずに会計上の赤字を作れるというメリットがあります

ちなみに、不動産投資ではさまざまな支出を経費として計上できますが、お金の支出を伴わずに経費として計上できるのは減価償却費だけです。

不動産投資の経費に関しては下記の記事でも詳しく解説していますので、こちらも合わせてご覧ください。

不動産投資の経費はどこまで落とせる?収益を最大化するためのポイントを紹介

利益を圧縮して節税できる

減価償却費は経費として計上できるため、利益を圧縮して節税することができます。

必要経費は利益から差し引くことができます。たとえば、不動産投資における収益が100万円で減価償却費が50万円の場合、課税対象となる収益は50万円となります。

他にも修繕費、固定資産税、ローン金利なども経費として計上できますが、これらは支出が伴っているため、節税しても収益の部分で大きな得があるわけではありません。

しかし、減価償却費は前述した通り支出を伴いませんので、単純に自身の取り分を増やす効果があるというわけです

不動産投資における節税の仕組みは下記の記事でも詳しく紹介していますので、こちらも合わせてご覧ください。

不動産投資による節税の仕組みと3つの注意点

損益通算による節税ができる

不動産投資では、減価償却費を利用することで損失額を減少した節約ができます。

とくに投資用物件を購入した初年度は、物件購入費用だけではなく修繕費などのさまざまな費用がかかる場合があります。

すぐに賃貸物件に人が入居するとも限りませんので、購入費用を含めると損失を生んでしまうリスクもあります。

しかし、損益通算という制度を使えば自身の給与所得と投資用物件の運用で発生した損失を相殺できるため、課税対象額を減額することが可能です。

損益通算をしても赤字が解消できない場合でも、損失を最長で3年間に渡り繰り越して相殺する繰越控除という制度を利用できます。

減価償却費を利用すれば収益の圧縮も可能なので、より損益通算による節税がしやすくなるでしょう。

不動産投資で減価償却費を計上する際の注意点

不動産投資 減価償却

最後に、不動産投資で減価償却費を計上する際の注意点を解説します。

節税の効果は一時的なもの

不動産投資における減価償却費の節税効果は一時的なものです。

前述した通り、減価償却を計上できるのは耐用年数が終了するまでの間です。耐用年数が経過した物件は価値がないと判断されるため、減価償却の対象からは外れてしまいます

耐用年数が終了した翌年からは購入費用の経費計上はできませんので、あくまでも一時的な節税効果であるという点は十分に理解しておきましょう。

譲渡税が増える可能性がある

減価償却により、投資用物件を売却する際にかかる譲渡税が増える可能性があります。

所有していた物件を売却すると譲渡税が発生します。この譲渡税が減価償却で増える理由は、売却額と建物の会計上の価値が売却益と判断されてしまうからです

仮に取得価格と売却価格が同じでも、減価償却により売却益との差が増えると逆に損をする可能性すらあります。

まとめ

不動産投資における減価償却の仕組み、計算方法、メリット、注意点を紹介しました。

支出がなくても経費として計上できるだけではなく、利益の圧縮や損益通算による節税効果が期待できる減価償却ですが、売却時に譲渡税が増えるリスクがあることは見過ごせません。

長く投資用物件を保有して家賃収入を得ようと考えているのであれば問題ありませんが、売却益で利益を得ようと考えている場合は、節税効果を見比べる必要があります。

減価償却の仕組みや計算方法を把握したうえで、適切な不動産投資を行いましょう。

この記事の監修者 株式会社SORA
不動産の売買、仲介、賃貸管理などの事業を展開する不動産会社。大手不動産会社での経験から、マンション投資だけでなく、保険や通信費、光熱費など生活で必要な資金を見直すライフプランニングまで行う。不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基本を初心者向けにわかりやすく解説しています。
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