日本は世界的に見ても有数の災害大国です。
災害の中でも、近い未来に大きな被害が想定されているのが首都直下型地震で、建物の倒壊をはじめ、大規模火災や液状化なども予想されています。
地震はいつ発生するか予想が難しい災害となるため、日ごろの備えが重要です。
この記事では、首都直下型地震で起こり得る災害の種類や危険地域を調べる方法、備えるポイントなどをまとめて紹介します。
目次 -INDEX-
首都直下型地震とは
首都直下型地震とは、東京をはじめ、千葉・埼玉・神奈川・山梨などの南関東を震源として発生するマグニチュード7クラスの大地震です。
首都直下型地震は今後30年以内に70%程度の確率で発生すると予想されており、高い確率で起こるとされています。
また、東京都が令和4年5月25日に公表した被害想定(冬の夕方に首都直下型地震が発生した場合)によると、首都直下型地震では下記のような被害が想定されています。
- 建物被害:194,431件
- 死者数:6,148人
- 負傷者数:93,435人
首都直下型地震は東日本大震災のような海溝型地震に比べて規模が小さく、被害想定は20km~30kmです。しかし、震源が近く浅いため、突然大きな揺れに襲われて大きな被害をもたらすと想定されています。
首都直下型地震で起こり得る災害の種類
首都直下型地震では、さまざまな災害が予想されています。ここでは、首都直下型地震で起こり得る3つの災害について詳しく解説します。
建物の倒壊
首都直下型地震で想定されている災害に、建物の倒壊があります。
「耐震化が進んでいるので建物は倒壊しないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、建物の耐震化には下記の3パターンがあり、耐用震度を満たしていないケースもあります。
- 旧耐震基準(1981年5月以前)
- 新耐震基準(1981年6月~2000年5月)
- 現行耐震基準(2000年6月~現在)
現行耐震基準であれば、100年に1度くるといわれているような震度6強~7クラスがきても、建物が倒壊するリスクはほとんどありません。
しかし、それより前の耐震基準の場合は、想定外の大地震が発生したときに建物が倒壊するリスクがあります。
まずは、住んでいる家の耐震基準について確認しましょう。耐震性が不足している場合は耐震改修工事を行うことで、耐震性能を向上することもできます。
火災
首都直下型地震で最も多くの死者が想定されているのが火災です。
地震で火災が発生する理由は、家屋や家具の転倒によってガス管や電気配線が破損することや、ストーブなどの暖房器具に可燃物が接触するためです。
また、地震が発生すると通電火災も多く発生します。通電火災とは、停電から電気が復旧することで起こる火災のことで、電気ストーブやアイロンなど電化製品の電源が入ったまま停電し、電気が復旧したタイミングで配線がショートして発生する火災です。
地震発生後の火災を防ぐためには、地震の揺れが収まって安全の確保ができたタイミングで、電気機器類のスイッチを切ってプラグを抜くようにしてください。ガスを使っている場合は、火を消してガス栓を閉めます。
また、家から離れて避難する場合はブレーカーを切っておきましょう。
液状化
首都直下型地震では液状化現象が予想されており、地面からの噴水や自動車の埋没、生活道路が利用できないなどの被害が懸念されています。
液状化現象とは、地盤が液状化することです。
地震が発生して地中が振動することで地中の地下水の圧力が高くなり、砂の粒子が結びつかなくなることによって、地下水に浮いたような状態になることで発生します。特に木造住宅は液状化による影響を受けやすく、傾斜や沈下などの被害を受ける可能性もあります。
液状化は地中に多くの水分を含んでいると発生しやすいことから、海岸や河口付近、河川の扇状地などで多く見られる現象です。また、液状化は震度5以上になると発生しやすいため、首都直下型地震で発生する可能性も高くなります。
首都直下型地震の危険地域を調べる方法
東京都では、5年ごとに地震における建物倒壊危険度や火災危険度、災害時活動困難係数を総合危険度で示しています。
地域危険度には、建物倒壊危険度や火災危険度、これらに災害時活動困難係数を乗じて総合化した総合危険度の3つがあります。ランクが高いほど危険度が高い地域です。
危険度が低い地域は、23区の中心から北側~西側のエリアになります。反対に、東側~南側のエリアは危険度が高くなっています。
東側~南側に危険地域が集中している理由は住宅や人口密度が高く、火災や建物が倒壊した際に受ける影響が大きくなるためです。
自分が住んでいるエリアがどの危険レベルに該当するか確認しておきましょう。
首都直下型地震に備えるポイントと注意点
首都直下型地震に備えるためには事前の対策が重要です。ここでは、首都直下型地震に備えるポイントや注意点を紹介します。
家具を固定する
大地震が発生すると固定していない家具が転倒し、下敷きになるリスクや避難経路をふさがれるリスクがあります。
建物が現行耐震基準であっても防げるのは建物の倒壊であり、家具の転倒を防ぐことはできません。そのため、家具を固定して転倒するリスクを減らす必要があります。
家具を固定するためには、下記の方法がおすすめです。
- L型金具等で壁下地にネジで固定する
- ボール式器具とストッパーで固定する
- 家具の下に滑り止めのマットを敷く
また、家具は固定するだけでなく置き場所にも注意する必要があります。避難の妨げとなる場所には家具を置かず、寝室や幼児、高齢者がいる部屋の家具も不要なものは減らしましょう。
ハザードマップを活用しよう
首都直下型地震に備えるためにはハザードマップも活用しましょう。
ハザードマップは、自然災害による被害の軽減や防災対策に使用するために、被災想定区域や避難場所、避難経路などの位置を表示した地図です。
各自治体が公開していますが、国土交通省の「重ねるハザードマップ」を使うと全国の災害リスクや避難所の情報などが把握できます。地震による土砂災害や地盤沈下のリスクが高いエリアも掲載されているため、チェックしておきましょう。
また、震源が陸地になる首都直下型地震では大規模津波は予想されていませんが、海溝型の地震で津波が発生するリスクもあるため、津波の危険エリアを把握しておくことも大切です。
もしもの場合に備えておこう
首都直下型地震が発生して住宅の倒壊や火災、地盤沈下などが発生すると、避難所に避難できないケースもあります。
場合によっては自宅避難を余儀なくされる可能性もあるため、防災備蓄品を用意しておきましょう。最低限備えておきたい防災備蓄品は下記の通りです。
- 水(1日3ℓ×3日分以上)
- レトルトご飯、乾パン、缶詰などの食料
- 懐中電灯
- モバイルバッテリー、ポータブルバッテリー
水や食料は生命活動の維持に欠かせないもので、特に夏期に地震が発生した場合は多くの水分を必要とします。
また、情報収集のためにスマホやパソコンは必須で、これらを使うためのモバイルバッテリーやポータブルバッテリーを用意しておくと安心です。
まとめ
首都直下型地震は30年以内に70%以上の確率で発生するといわれており、地震発生時には建物の倒壊や火災、地盤沈下などさまざまな災害発生が懸念されます。
地震はいつどこで発生するか予想ができないため、発生しても最低限命を守れるように危険地域を把握して、ハザードマップや防災備蓄品を用意して備えましょう。
首都直下型地震に備えるためにも、ぜひ本記事を参考にしてみてください。