引越しをする際は多くの手続きが伴います。そのなかでも、住所変更は最も基本的な手続きであり、重要なものです。
住所を変更するためには、住民票を移す必要があります。住民票と聞いたら、難しい手続きと思う方もいるかもしれませんが、実はとても簡単です。
この記事では、住民票の具体的な移し方と注意点について解説していきます。今後引越しをする予定がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
住民票とは
住民票とは、個人の現在住んでいる住所に関する情報を公的に証明するための書類です。戸籍と同じだと思われがちですが、全くの別物です。
戸籍は自分の出生や婚姻歴などの身分に関する情報を公的に証明する書類ですが、住民票はあくまで住居に関することに限った書類になります。
住民票は各自治体ごとに管理されていて、書式も異なります。住民票の原本は自治体で厳重に管理され、個人がその情報を取得する際は写しが発行されるのが基本です。
住民票の写しは現住所を管轄する自治体にて申請すればいつでも発行できます。
また、取得する住民票の写しに世帯主名や本籍地、マイナンバーなどの記載の有無を申請時に希望することが可能です。
住民票の写しに記載される項目は以下の通りです。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 住所
- 前住所
- 現在住んでいる市区町村の住民になった日付
- 世帯主名および続柄
- 本籍地
- 在留資格
- 住民票コード
- マイナンバー
職場や銀行に住民票の写しを提出する際は、知られたくない情報を記載しないように注意しましょう。
住民票の移し方
まず大前提として、住民票を移す際は「転居届」もしくは「転出届」を事前に取得しておく必要があります。
同じ市区町村内で引越しをする場合は「転居届」のみ、異なる市区町村内へ引越しをする場合は「転居届」と「転出届」の2つが必要です。
どちらも手続きの流れはほとんど変わりませんが、細かな違いがあるため注意が必要です。
ここでは、同じ市区町村内で引越しをする場合と、異なる市区町村内へ引越しをする場合の住民票の移し方をわかりやすく解説します。
同じ市区町村内で引越しをする場合
同じ市区町村内で引越しをする場合は、市役所や区役所、町役場などの住まいがある住所を管轄している自治体の窓口に転居届を提出する必要があります。
はじめに、窓口付近に設置されている「住民異動届」を取得します。
転居届と書いてあるところにチェックを入れ、必要項目に記入して窓口に提出すれば手続き完了となるケースがほとんどです。
手続きが完了すれば住民票が正常に移ったことになり、新しい住所が記載された住民票の写しが取得できるようになります。
基本的に手続きをする際は、本人確認書類と印鑑が必要になります。
しかし、近年では引越しをする本人が手続きをするのであれば印鑑を必要としない場合もあるため、事前に電話で問い合わせるか自治体のホームページを見て確認しましょう。
自治体によって手続き方法や記入項目に多少の違いがある可能性があるため、手続きの際は窓口担当者に確認して記入することをおすすめします。
異なる市区町村へ引越しをする場合
異なる市区町村へ引越しをする場合は、市役所や区役所、町役場などの住まいがある住所を管轄している自治体の窓口に転居届と転出届を提出する必要があります。
はじめに、現在住んでいる住所を管轄する自治体の窓口に転居届を提出しなければなりません。
住民異動届の転出届と書かれたところにチェックをいれ、必要事項に記入して窓口に提出することで「転出証明書」が発行されます。
つぎに、転居先の住所を管轄する自治体の窓口へ行き、住民異動届の「転入届」にチェックを入れて必要事項に記入します。
記入した住民異動届と以前取得した転出証明書を窓口に提出したら、住民票の手続き完了です。
転出届については、郵送で提出することも可能です。すでに遠方へ引越しをしている場合やうっかり忘れていた場合でも、前住所を管轄する自治体に転出届を郵送すれば、転出証明書が返送されます。
自治体に行く時間がない方や、行くのが難しい場合にもおすすめです。
転入届については、本人もしくは代理人が直接自治体の窓口に提出する必要があるため、注意しましょう。
転居届を提出する時と同様、手続きには基本的に本人確認書類と印鑑が必要になります。
しかし、自治体によっては引越しをする本人が手続きをするのであれば、印鑑を必要としない場合があるため、電話で問い合わせるか自治体のホームページにて事前確認しておきましょう。
代理人による住民票の移し方
住民票の手続きは、住んでいる住所を管轄する自治体で行うのが基本です。しかし、自治体の窓口は平日しか開いておらず、日中仕事で忙しい方であれば手続きに行く時間がないケースが多いです。
そういった方は、代理人に手続きをしてもらうことをおすすめします。引越しをする本人による委任状があれば、代理人でも住所変更の手続きが可能です。
しかし、ここで問題となるのが、誰が代理人に相当するかです。
同一世帯の家族であれば、本人の代わりに手続きを行うことができます。この場合は、代理人という扱いにはなりません。
一方で、血縁関係があっても別世帯である場合は代理人という扱いになるため、委任状が必要になります。
委任状の書式は各自治体によって異なるため、電話での問い合わせや自治体のホームページで確認しておきましょう。
代理人に住民票の異動手続きを頼む場合は、以下のものを用意しておく必要があります。
- 代理人の本人確認書類
- 代理人の印鑑
- 本人の印鑑
- 本人のマイナンバーカードもしくはマイナンバー通知カード(取得している場合のみ)
- 転出証明書(転入する場合)
住民票を移す時の注意点
前項で解説したように、住民票を移す手続きは一見難しそうですが、実は簡単な手続きです。しかし、簡単だからといって好きなタイミングで手続きをして良いというわけではありません。
原則として、住民票を移す手続きは引越しをしてから14日以内にしなければなりません。14日以内に手続きをしなければ、数千円~5千円以下の罰金が課せられる可能性があるため、注意が必要です。
しかし、このルールには例外も存在します。
転勤や単身赴任で引越し先に住む期間が1年未満の場合や進学に伴う一時的な引越し、生活の拠点が変わらない場合は罰金の対象にはなりません。
自治体によっては、罰金免除の基準が多少異なる可能性もあるため、事前確認をしておくことをおすすめします。
また、住民票を移さずに引越しをした場合は罰金だけでなく、生活面が不便になることが予想されます。
たとえば、確定申告をする際は前住所を管轄する税務署でなければ手続きができません。運転免許証の更新場所も、前住所を管轄する警察署もしくは運転免許センターになってしまいます。
住民票の写しを含め、所得証明や印鑑証明も住所が適切に変更されていなければ、前住所の自治体で発行してもらうしかありません。
住民票は自分の居場所を証明するものです。住民票が適切に移されていなければ、本来受けられるサービスやサポートが受けられなくなってしまいます。
罰金や生活の不便に直面しないためにも、引越しをしたら早めに住民票を移すようにしましょう。
まとめ
住民票の具体的な移し方と注意点について解説しましたが、参考になりましたか?
引越しをする際に必要になる手続きはさまざまであり、その方法も自治体によって細かな違いがあります。
特に住民票は自分の居場所を公的に証明してくれる重要な書類であり、適切に手続きができていなければ日々の生活に支障が出る可能性があります。
自治体の窓口まで行く時間がない方や手続き忘れてすでに引越しをしてしまった方は、郵送や代理人などを活用してしっかり手続きしましょう。