賃貸物件を探していると、分譲賃貸という言葉を目にすることがあります。
分譲と賃貸の2つを組み合わせた分譲賃貸は、双方の良い所を取ったメリットがある一方、契約前に把握しておくべきデメリットがあります。
この記事では、分譲賃貸について詳しく紹介します。分譲賃貸の物件を探している方、契約しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次 -INDEX-
分譲賃貸とは
分譲賃貸とは、もともと分譲物件として購入したオーナーが、賃貸物件として貸し出しているマンションやアパートのことです。
オーナーが分譲賃貸を貸し出す事情としては、主に以下のような例が挙げられます。
- 転勤などの理由で住めなくなった
- そもそも投資目的で購入している
- 売却するまで家賃収入を得たい
特に多いのは、転勤などで分譲物件に住めなくなったため、また住めるようになるまで貸し出し、家賃収入でローンを賄うというものです。
他にも、そもそも家賃収入を得るための投資目的で購入している、売却先が見つかるまで家賃収入を得たいなど、さまざまな事情が考えられます。
通常の賃貸物件との大きな違いとしては、通常のマンション全体の規約とは別に、オーナーと交わす規約が別で用意されている点が挙げられます。
分譲賃貸のメリット
分譲物件のメリットを賃貸で受けられる分譲賃貸には、さまざまなメリットがあります。主に以下の5つが考えられます。
- 設備が充実している
- 広さや間取りのバリエーションが豊富
- 防音性や耐震性が高い
- ルールやマナーを守る住人が多い
- 管理体制やセキュリティが優れている
ここでは、一つずつ詳しく紹介します。
設備が充実している
分譲賃貸は通常の賃貸物件よりも、「長く快適に住むこと」を想定して建てられているため、設備が充実している場合が多いです。
例えば、床暖房や食器洗い乾燥機、システムキッチンや24時間ゴミ出し可能など、賃貸物件にはないことが多い設備が分譲賃貸では提供されていることがあります。
分譲賃貸はマイホーム用として建てられているため、物件のクオリティは賃貸物件よりもワンランク高いことが多く、快適な生活を送ることができます。
広さや間取りのバリエーションが豊富
分譲賃貸の広さや間取りは、賃貸物件よりもバリエーションが豊富です。
前述の通り、分譲物件は長く快適に住むことを想定して建てられるため、広さや間取りについてはこだわりがある場合が多いです。
一方で賃貸物件は、経営としてオーナーが行うため収益性を追いかけることが多く、広さや間取りはあまり工夫しないことがあります。
広さと間取りにこだわり、より快適に暮らせる物件を探したいと考えている場合は、分譲賃貸の方が見つけやすいといえるでしょう。
防音性や耐震性が高い
分譲賃貸の多くはRC構造(鉄筋コンクリート)で造られているため、高い耐震性と防音性があります。
RC構造の平均寿命は約68年で、メンテナンス次第では100年以上もつといわれているため、長く安心して暮らすことができます。
また、分譲賃貸はエントランスに応接スペースや宅配ボックスが設置されていたり、管理人が常駐していることもあります。
そのため、高い防犯性も大きなメリットだといえるでしょう。
ルールやマナーを守る住人が多い
分譲賃貸は賃貸物件とは違い、マイホームとして購入する入居者が多いため、ルールやマナーを守る方が多いというメリットがあります。
分譲物件は、この場所で一生暮らすことを想定している方も多いため、賃貸物件よりもご近所付き合いに気を遣う傾向が高いです。
また、管理規約が作成されているため、ルールを守る意識も自然と高まります。
これらの理由から、分譲賃貸は賃貸物件よりもマナーがよい住人が多く、隣人トラブルが発生するリスクも低くなるといえます。
管理体制やセキュリティが優れている
分譲賃貸は、賃貸物件よりも管理体制やセキュリティが優れている場合が多いです。
長く快適に暮らすことを想定しているため、オートロックや防犯カメラ、24時間の有人管理など、セキュリティが充実しています。
また、専門の管理会社へマンションの管理を委託している場合が多いため、365日24時間体制で対応してくれることも珍しくありません。
安全性の高い物件に暮らしたいと考えている方は、分譲賃貸の方がセキュリティや管理体制が優れている物件を見つけやすいといえます。
分譲賃貸のデメリット
メリットが多い分譲賃貸ですが、決して無視できないデメリットもあります。主に考えられるデメリットは以下の3つです。
- 家賃が比較的高い
- 期限付き契約の場合がある
- そもそもの物件数が少ない
ここでは、一つずつ詳しく紹介します。
家賃が比較的高い
分譲賃貸は、家賃が比較的高くなりやすい傾向があります。
そもそも物件のクォリティが高いといのも高額になる要因ですが、所有者であるオーナーが賃料を自由に設定できる点も高くなりやすい理由です。
オーナーは、月々の返済額をベースに賃料を設定するため、一般的な賃貸物件と比較した場合の家賃がやや高くなるデメリットがあります。
期限付き契約の場合がある
分譲賃貸は、定期借家という契約方法を採用している場合があります。
定期借家とは、契約時に定めた期間までに退去しなければいけない契約です。普通借家は通常2年更新で、借主が希望すれば契約して住み続けることができます。
しかし、定期借家は原則として更新できません。また、期間内での任意解約ができない場合もあるため、期間内は住み続けなければ損をしてしまいます。
分譲賃貸として貸し出しているオーナーが転勤で、戻ってくる期間が決まっている場合などは、定期借家で貸し出しているケースは少なくありません。
どれだけ住み心地がよくて長く暮らしたいと思っても、定期借家で契約期間が定められていると退去しなくてはいけません。この点は大きなデメリットです。
そもそもの物件数が少ない
分譲賃貸は、賃貸物件よりも物件数が少ないデメリットがあります。
分譲賃貸の物件数が少ない理由としては、新設住宅着工戸数の減少が挙げられます。国土交通省の統計によれば、令和3年度に新設された住宅は約77万戸で、前年度比9%の減少です。
また、分譲マンションは首都圏と近畿圏に集中しており、一部地域では分譲賃貸自体が不足しているという事態も大きな要因として考えられます。
不動産ポータルサイトを活用して探すことはできますが、目当ての立地条件で該当しない、理想的な間取りの物件がないなど、さまざまな困難が予想されます。
分譲賃貸をおすすめしたい人の特徴
最後に、分譲賃貸をおすすめしたい人の特徴をまとめて紹介します。
- 設備が充実している物件に住みたい
- 防犯性や耐震性を重視している
- いい家に住めるなら家賃は多少高くても問題ない
- 隣人トラブルのリスクをできるだけ下げたい
- 常駐の管理人がいると安心する
- ディスポーザーや床暖房などの快適に暮らせる設備がほしい
上記の条件に一つでも当てはまる方は、分譲賃貸の方が最良の物件を見つけやすいかもしれません。
特に首都圏で物件を探している方は、分譲賃貸もチェックしてみましょう。
まとめ
分譲賃貸のメリットとデメリットを詳しく紹介していきました。
設備が充実した高いクォリティの物件が多い分譲賃貸ですが、家賃が比較的高い傾向にある、期限付きの場合があるなどのデメリットがあります。
また、首都圏や近畿圏以外では物件数が少ないため、探すのに手間がかかる場合が多いです。
しかし、分譲物件ならではの充実した設備や間取り、管理体制やセキュリティは、賃貸物件にはない大きな魅力です。
分譲賃貸を探している方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。