賃貸物件を探している際に目にすることがある「フリーレント」という表記。フリーレントとは、賃貸物件の家賃が一定期間、無料となる契約形態のことを指します。
借り主からすれば無料になる点は魅力ですが、「お得に見えるけど本当に大丈夫?」「どうして無料になるの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、フリーレントとはどのような物件か、なぜ家賃を無料にできるのか、デメリット・注意点、探し方などについて詳しく解説します。
フリーレント物件が気になっている方や、お得にお部屋探しがしたいという方は、ぜひ記事を参考にしてみてください。
目次 -INDEX-
フリーレントとは
フリーレントとは、一定期間、賃貸物件の家賃(賃料)が無料となる契約形態です。
賃貸借契約書に書かれたフリーレント関連の条件を守ることで、一定期間の家賃を無料にできるため、初期費用を抑えたい方におすすめです。
フリーレントで家賃が無料になる期間は数日、数週間、1ヶ月、3ヶ月など物件によって異なりますが、多く見られるのは1ヶ月無料のフリーレントです。
物件によっては、6ヶ月間無料というところもあります。
「入居日から月末までの日割り家賃が無料」「賃貸物件の契約日から1ヶ月間の家賃が無料」など、細かな条件は物件によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
フリーレントでどれくらい安くなる?
では、フリーレント物件ではどれくらい家賃が安くなるのでしょうか?
「1ヶ月の家賃が10万円の物件で、フリーレント期間3ヶ月で2年契約をした場合」で考えてみましょう。通常であれば、2年契約なので10万円×24ヶ月(2年間)=240万円となり、かかる家賃は240万円です。
一方、フリーレント3ヶ月間の場合、10万円×21ヶ月=210万円になります。2年間住んだ場合、通常契約であれば1ヶ月あたり10万円の家賃ですが、フリーレント3ヶ月では1ヶ月あたり8万7,500円になり、月々の家賃が12,500円安くなります。
フリーレントで家賃が無料になる理由
フリーレントは家賃が無料になるということで、借りる側からすれば大きなメリットです。
しかし、理由なく無料といわれると「事故物件や訳あり物件なのではないか…」と不安になってしまいますよね。
フリーレントで家賃を無料にするのは、大家さんや不動産会社にとってもメリットがあります。
入居者が見つからないことが予想される物件や、早く入居者が決まってほしい時に家賃を無料にすることで、入居者を積極的に募集できます。
新生活の始まる2〜3月の繁盛期を過ぎると、入居希望者は少なくなります。
空き室が続くと家賃分の収入が入ってこないため、フリーレントにして家賃負担が減らせることをアピールするというわけです。
また、フリーレントは家賃を値下げせずにアピールできるというメリットもあります。
空き室を埋めるために家賃を下げれば、同じ物件で他の部屋を借りている入居者からも値下げ要求が出る可能性があるからです。
フリーレントのメリット
ここからは、具体的にフリーレントにどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
初期費用が抑えられる
本来なら払わなければいけない家賃を払わなくて良くなるため、初期費用が抑えられるという金銭的なメリットがあります。
一般的な賃貸物件の場合、「敷金」「礼金」の他にも、「仲介手数料」「前払い家賃」「日割り家賃・共益費」などがかかります。保証人がおらず、保証会社を利用する場合はここにさらに「保証料」が上乗せされます。
これらの費用は「初期費用」と呼ばれ、一般的には家賃の5〜6ヶ月分ほどの費用がかかります。
フリーレント物件であれば、全体的な費用を抑えられるため、初期費用を節約したい人にとっては非常に大きなメリットがあるといえるでしょう。
二重家賃が発生しにくい
引っ越しの際に気になるのが、それまで住んでいた物件と新居の家賃が二重で発生する「二重家賃」です。フリーレント物件であれば、払うのは現在住んでいる物件の家賃だけでよくなり、余計な負担を掛けずに引っ越しができます。
余裕を持って引っ越しできる
引っ越しではやることも多く、精神的にも時間的にも余裕がなくなってしまうことがあります。
フリーレント物件の場合、フリーレント期間中に時間をかけて少しずつ新居の状態を整えることが可能です。荷物を引っ越し業者に頼まず、自分たちで運ぼうと考えている人にも向いています。
フリーレントのデメリット・注意点
フリーレントは、初期費用が抑えられたり、二重家賃が発生しにくく余裕を持って引っ越しできるなどのメリットがありますが、デメリットや注意点も存在します。
フリーレント物件の契約を考えている際は、これらの点にも注意した上で物件を探しましょう。
短期解約は違約金がかかる
ほとんどのフリーレント物件は、契約期間が定められています。自由に解約を行えるようにしてしまうと、無料期間だけ利用されて、大家さんの収入にならないリスクがあるためです。
一般的に、フリーレント期間の契約期間は1〜2年ほどと長期になるため、すぐに引っ越しをする予定のある人や、転勤の可能性がある人には向いていないといえるでしょう。
短期で解約する場合、家賃1ヶ月〜2ヶ月分など、フリーレント分の金額を違約金として請求されるため注意が必要です。
家賃以外の管理費や共益費などは無料にならないことがある
フリーレントで無料になるのは「家賃」のみのケースが多いです。その他の管理費や共益費などは支払いが発生することもあるため、その点も確認しておくといいでしょう。
フリーレントに加えて、礼金無料や仲介手数料が無料という物件も地域によっては存在するため、費用を抑えて引っ越しがしたい人は探してみるのもおすすめです。
更新月は契約日になる
一般的に、賃貸借契約は契約したその日から有効になります。更新月は、家賃を支払う月からではなく、フリーレント期間を含めて計算しましょう。
3ヶ月のフリーレント物件の場合、フリーレントの3ヶ月+21ヶ月が更新月です。
家賃が適正かチェックする
フリーレント物件の中には、家賃の無料期間がある分、家賃が少し高めに設定されているケースもあるようです。
フリーレント物件は契約期間が1〜2年ほどと長期になるため、家賃が高すぎると、それが負担になってしまう可能性もあるでしょう。
他の物件の家賃や、敷金・礼金といった条件なども比較し、トータルで一番いいと思えた物件を選ぶことが大切です。
フリーレント物件の探し方
フリーレント物件を探すときは、不動産情報ポータルサイトなどの「フリーレント物件特集」をチェックしたり、検索条件で「フリーレント」と絞り込み検索をすると便利です。
ただし、フリーレント物件は近年は増えつつあるものの、それでも全体の6〜7%ほどと、多くはありません。
最初からフリーレント物件に絞って探すと、なかなか物件を見つけられない可能性もあるため、他の物件もチェックした上で総合的に判断することをおすすめします。
交渉してフリーレントが可能となるケースもある
場合によっては、大家さんと交渉することでフリーレントが可能になることもあります。
「初期費用が高すぎるので、少しでも費用を抑えたい」という人は、大家さんに交渉してみてもいいでしょう。
- 繁盛期を避け、閑散期を狙う
- 契約の意思があることを伝えておく
- 人気の物件は避ける
上記は、フリーレントを交渉する際のコツです。
フリーレントにしなくても入居者が入りそうな人気の物件は交渉に応じてもらえる可能性は低いため、その点も踏まえて、閑散期を狙って交渉するといいでしょう。
まとめ
フリーレントとは、一定期間の家賃が無料になる契約形態のことです。初期費用を抑えられたり、二重家賃を防げるなど費用面で大きなメリットがあります。
ただし、短期解約は違約金がかかるケースが多いため、すぐに引っ越す予定のある人や、転勤になる可能性がある人は注意が必要です。
フリーレントの他にも敷金無料や礼金無料など、お得な物件は多くあるため、さまざまな物件を比較したうえで総合的に判断することをおすすめします。