防音性重視で物件を探すなら、鉄筋コンクリート造(RC造)の物件がおすすめです。
子育て真っ只中の家族にとっては、子供の足音や鳴き声で隣人とトラブルになることは避けたいところ。
しかし人によって、「RC造が決め手で物件を決めたが防音性が低い」「全ての雑音を遮ってくれるわけではない」といった意見も多く存在します。
では、実際RC造の建築物はどの程度周りの音を遮断することが可能なのでしょうか。
この記事では、RC造の特徴や、防音効果が高い物件の選び方、騒音トラブルを防ぐための方法について詳しく解説します。
目次 -INDEX-
RC造とは?
建物を建てる際に用いる構造の1つに、RC造というものがあります。
他の構造よりも周囲の部屋に音が通りにくく、防音性に優れているため、周りの騒音が気になる方や、子育てファミリーの方々は、物件選びの際に条件として視野に入れることをおすすめします。
構造上の特徴
鉄筋とコンクリートを使用したRC造は、鉄筋の骨組みに気密性の高いコンクリートを流し込むことで、優れた遮音性を発揮します。
また、2つを組み合わせることで、耐震性や耐火性、耐久性にも長けた設計となっています。
しかし、夏場は熱気がこもりやすく、湿気も溜めやすいというデメリットもあるため、定期的な除湿やカビ対策が必須です。
反対に、冬場は比較的暖かさが保てる構造となっています。
防音効果の高さ
RC造は、他の木造や鉄骨造と比較すると防音性に優れていますが、100%雑音を遮断するわけではありません。
また、横隣の部屋の音は比較的遮断しますが、上階の物音に関しては通りやすい傾向があります。
具体的にどの程度まで音を遮断するのか、以下にまとめました。
- 足音や大きな声、子供の泣き声は聞こえやすい
- 振動やそれに伴う音は響くが、気になる程ではない
- テレビ音やシャワーの音など、通常の生活音は基本的に通らない
完璧な防音性ではありませんが、他の構造の部屋と比べると安心です。
これ以上防音効果が高い物件では、家賃が高くなりすぎる可能性があるため、静かに過ごせる物件を探すのならRC造を選ぶことが現実的であるといえます。
RC造でも防音性が低い場合がある
RC造の物件はどれも同じ防音効果が期待できるかと問われると、そうではありません。同じRC造でも、防音性に違いがある場合があります。
では、どのようなケースの場合に防音効果は低くなるのでしょうか。
同じRC造でも構造別に2つの種類がある
一般的に防音効果が高いとされているRC造は、壁式構造といって、壁が厚いことでその効果を得ています。
一方、もう1つの構造のことをラーメン構造といいますが、こちらは骨組みとなる柱に鉄筋コンクリートを使用し、壁は石膏ボードなどの薄い素材を使用している場合が多いため、鉄筋コンクリートで壁が構成されている壁式構造に比べると防音効果は低いです。
壁式構造は主に分譲マンションなどに利用され、賃貸物件の場合はラーメン構造を適用していることがほとんどです。
また、ある程度の防音効果が期待できる鉄筋コンクリートの厚さは、150〜200mmとされています。
物件の構造や壁の厚さに関しては、不動産会社や管理会社に確認を取ることを推奨します。
周囲のRC造物件と比べて家賃が安い
家賃が安い=防音性が低いということは十分にあり得ます。
その地域のおおよその相場などもあるため、周辺のRC造の物件と比べて家賃が安い場合は、壁に鉄筋コンクリートではなく石膏ボードが使用されている場合が多いです。
家賃が安いということは、建築コストが低いという可能性もあるため、コストパフォーマンス重視で飛びつくことがないように注意しましょう。
建物が古い
古い建物だと、資材の劣化等で音が通り抜けやすくなっている場合があります。
また、昔の技法や素材を使っている可能性があるため、現代のRC造よりも防音効果が低いことも懸念されます。
騒音によるトラブルを防ぐ物件の選び方
どんなにRC造が防音に優れた構造だといっても、その防音効果は完璧ではないため、騒音トラブルを100%防ぐことはできません。
では、できるだけ揉め事を回避するためにはどのような対策が有効なのでしょうか。
建築の構造を確認する
RC造には防音効果がさほど高くない構造も存在するため、どんな構造なのか事前に確認を取ることが大切です。
知識があれば、「ラーメン構造ですか?」「壁の素材と厚さはどうですか?」などと詳しく尋ねることができます。
都合のいい位置の部屋を選ぶ
上階からの足音などが気になる方は最上階、隣の部屋の物音や自分の部屋の物音が隣に聞こえることが気になる方は角部屋などを選ぶと良いです。
お子さん数人と暮らしていて、自分の部屋から発せられる足音や声などが気になるという方は、下の階がコンビニなどの店舗になっている物件や、1階を選ぶなどの工夫ができます。
同じような理由で角部屋を好む人は一定数いるため、RC造という条件も合わせてそのような物件を見つけることは難しいかもしれませんが、騒音を気にしながら毎日過ごすことを考えると、まずは試しに探してみることをおすすめします。
線路沿いや繁華街など雑音が気になる環境を避ける
RC造の防音効果は完全なものではないため、近くに雑音を発する設備があると、夜通し騒音に悩まされるなど、ストレスの原因にもなりかねません。
内見の際に、実際に窓を開けて音を聞いたり、周辺の設備について調べておくとよいでしょう。
壁をノックしたり手を叩いて音の響きを確認する
壁をコンコンとノックすると、大体の壁の厚さや防音性の高さを確認できます。
低く詰まった響かない音がした場合、防音性の高いコンクリートの壁であることがわかります。
反対に、高く、カンカンといった音が聞こえた場合は、壁が薄かったり、密度が低かったりする可能性があります。
また、カーテンやマットがない状態の部屋で、大きく手を叩いてみてください。音が跳ね返って響く場合は、雑音を通さない壁であるといえるでしょう。
他住民からの苦情の有無について確認する
RC造の建物でも、静かだと感じる人とそうではない人がいます。
しかし、過去に騒音に関するトラブルが頻繁に起きている場合は、住民に関係なく構造自体に問題がある可能性があるため、騒音トラブルに関しては確認をとることをおすすめします。
自分で防音効果を上げる方法
RC造の防音効果は100%ではありませんが、自分で工夫を加えることでより効果を高めることができます。
では、具体的にどのような方法があるのでしょうか。
- 防音カーペットを敷く
- 防音カーテンを利用する
- 壁に貼れる防音シートを利用する
- 隙間テープで隙間を埋める
- テレビの位置を変える
防音カーペットは、部屋の雰囲気に合わせたおしゃれなものも出回っているので、選ぶ楽しみもありおすすめです。
新たに防音カーペットを準備することに抵抗がある方は、普通のカーペットでもいいので使用するようにしましょう。
ある場合とない場合では、下の階に響く足音の大きさに違いが出ます。
防音シートは、綺麗に貼ってはがせるものの使用を推奨します。不安のある方は、使用の可否を管理会社に確認しましょう。
窓の隙間から音が漏れる場合も考えられることから、隙間があったら隙間テープで埋めると、隙間風なども防げるため一石二鳥です。
テレビの音が隣に聞こえることが気になる方は、テレビを壁から離したり、スピーカーの向きを変えたりして工夫しましょう。
まとめ
RC造は、一般的な賃貸物件の他の構造と比べると、高い防音性が特徴であるため、選ぶことが推奨される建築構造であるといえます。
しかし、その防音効果は完璧なものではないため、どこまでは許せる、といった基準を決めて部屋を探すことがおすすめです。
工夫次第では、自分で防音効果を上げることも可能なため、静かな生活を実現したい方はぜひこれらの知識を参考にしてみてください。