賃貸物件は個人ではなく法人名義でも契約することができます。
賃貸物件は法人名義で契約することが可能ですが、個人契約とは異なる点があり、法人契約ならではのメリットとデメリットがあります。
この記事では、賃貸契約における法人契約と個人契約の違い、法人契約で物件を借りるメリットとデメリットを詳しく紹介します。
目次 -INDEX-
賃貸物件の法人契約とは
賃貸物件の法人契約とは、個人ではなく会社名義で賃貸借契約を結ぶことです。名義人は個人ではなく法人となります。
はじめに、法人名義で賃貸物件を契約する目的や個人契約との違いを紹介します。
法人契約を行う目的
居住用の物件を法人契約する主な目的は以下の通りです。
- 会社が借りて従業員へ社宅として住まいを提供する
- フリーランスや個人事業主が自宅兼オフィスとして借りる
福利厚生の一環として社宅を提供する会社では、法人名義で賃貸物件を契約し、一部の家賃を補填した状態で従業員へ住まいを提供します。
また、フリーランスや個人事業主が自宅兼オフィスとして物件を借りる際も、節税を目的に法人名義で契約することが多いです。
個人契約との違い
賃貸物件における個人契約と法人契約では、審査や書類、申込書の記入事項や敷金など、さまざまな項目で違いがあります。
例えば、一般的に個人契約における敷金は家賃の1~2ヶ月分が相場ですが、法人契約では入居者の入れ替わりがあることから、相場よりも高い傾向が見られます。
他にも、法人契約では会社謄本や決算報告書、法人税納税証明書や会社資料など、会社が月々の家賃を支払う能力があるかを調べるための書類が求められます。
また、中には大家さんの意向で事務所利用がNGであったり、信頼度が高くても法人契約は結ばないと決めている物件もあります。
法人契約のメリット
賃貸物件を法人契約で借りるメリットは3つあります。
- 審査に通りやすくなる
- 家賃を経費にできる
- 好条件で契約できる可能性がある
ここでは、一つずつ詳しく紹介します。
審査に通りやすくなる
賃貸契約を結ぶ際は入居審査に通過しなければいけませんが、個人契約よりも法人契約の方が通過しやすいというメリットがあります。
一般的に法人は個人よりも信頼度が高く収益も多いため、月々の家賃の支払いに対して問題なしと判断され、審査がスムーズに進むことが多いようです。
また、大手企業の場合は保証会社を利用せずに賃貸契約を結べることもあります。
家賃を経費にできる
賃貸物件を社宅として法人契約すると、家賃負担額を経費として計上することができます。
会社は節税対策になり、従業員に対しても家賃の一部を給与から差し引くことで、所得税や住民税、社会保険料を抑えられるメリットがあります。
フリーランスや個人事業主が自宅兼オフィスとして借りた場合も、居住用とオフィス用に按分したうえで家賃の一部を経費にすることが可能です。
また、会社側の視点から考えると、福利厚生の一環として社宅を提供しているというのは優秀な人材を確保する際に有利な条件となります。
例えば、遠方に住んでいる方が転職をする際は新しく暮らす家を探さなければいけませんが、社宅を提供している会社であれば物件探しの負担が軽減されます。
好条件で契約できる可能性がある
会社が複数の部屋を同時に借りる時は、貸主側から好条件を提示される可能性があります。
貸主目線で考えると、個人よりも信用度の高い法人が複数の部屋を借りてくれれば、長期的に安定した収入が見込めます。そのため、多少の家賃減額を提示したとしても、長い目で考えれば得をすることが多いというわけです。
しかし、複数の物件を借りるからといって必ずしも好条件で借りられるわけではありません。無理難題な交渉は貸主側の心象を悪くするリスクもあるため、注意が必要です。
法人契約のデメリット
賃貸物件を法人契約で借りるデメリットは3つあります。
- 必要書類が多い
- オフィスとして使えない物件がある
- 敷金が高くなる傾向にある
ここでは、一つずつ詳しく紹介します。
必要書類が多い
法人契約は個人契約とは違い、提出しなければいけない書類の数が多くなります。
前述の通り、個人契約では不要である会社謄本や決算報告書などの書類が必要です。フリーランスや個人事業主の場合は、納税証明書が必要になるケースもあります。
個人契約時よりも集めなければいけない書類が多いため、手間がかかる点はデメリットです。
オフィスとして使えない物件がある
大家さんの意向によりオフィスとして使えない物件があります。
事業内容や大家さんとの交渉で受け入れてくれる場合もありますが、不特定多数の人が出入りする事業の場合、セキュリティ面での懸念から契約できないケースが考えられます。
個人が住めない物件がないことを考えれば、やや物件を探す難易度は上がります。
敷金が高くなる傾向にある
法人契約で借りる物件は、個人契約よりも敷金が高くなる傾向にあります。
個人契約との違いでも触れましたが、一般的な敷金の相場は家賃1~2ヶ月分ですが、法人契約では家賃2ヶ月分以上を要求されることも珍しくありません。
また、住んでいる従業員が退職した後も継続して居住を続ける場合は、個人契約への切り替えが必要になり、手間がかかることがある点も想定しておかなければいけません。
入居審査に通りやすい法人・通りにくい法人
貸主と賃貸借契約を結ぶためには、入居審査を通過する必要があります。これは個人契約だけではなく、法人契約でも変わりません。
入居審査に通過しやすい法人の特徴は以下の通りです。
- 財務状況が安定している
- 上場している大企業
- 事業内容や実態が明確
上場している大企業や財務状況が安定している会社は、信頼性が高いと判断されやすいため入居審査に通過しやすいです。
また、事業内容や実態が明確であり、安定感があると判断されやすい業種も審査に通過しやすいといわれています。
一方で、以下の特徴に当てはまる法人は審査に通過しにくいと考えられます。
- 財務状況が悪い
- 事業内容や実態がわかりにくい
個人契約よりも法人契約は審査に通過しやすいとはいえ、財務状況が明らかに悪い場合や、何をして利益をあげている会社かいまいちわからない会社などは通過しにくいです。
また、設立されてから間もない会社であったり、自社のホームページがない会社の場合も信頼性が低いと判断される場合があります。
これはフリーランスや個人事業主が法人契約を結びたい場合でも共通していますが、貸主側は毎月安定して家賃を振り込める財務状況かをチェックします。
そのため、何で利益を上げているかわからない場合や実態が不透明な場合は、いくら法人といえども審査には通過しにくくなるといえます。
まとめ
賃貸物件における個人契約と法人契約の違い、メリットとデメリット、審査に通過しやすい法人としにくい法人を紹介していきました。
会社名義で賃貸借契約を結ぶ法人契約では、必要書類や審査におけるチェックポイント、申込書の記入事項など、さまざまな場面で個人契約との違いがあります。
法人契約では家賃を経費にすることができ、審査に通過しやすくなる、好条件で物件を借りられる可能性があるなど、さまざまなメリットが期待できます。
一方で、大家さんの意向によりオフィスとして契約できない物件がある、必要書類が多く手間がかかる、敷金が高くなりやすいなどのデメリットもあります。
メリットとデメリットの両方を把握したうえで、法人契約で賃貸物件を借りるかどうかを検討してください。