賃貸物件を借りるときに必要になる「仲介手数料」。耳にしたことはあっても、具体的にどのような費用なのか、相場や上限・下限が気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、賃貸物件を借りる際の仲介手数料や仲介手数料が安くなるケース、交渉のコツなどについて紹介します。
仲介手数料が何かしっかり理解してから賃貸物件を契約したい、少しでも費用を抑えたいと考えている方はぜひ本記事をチェックしてみてください。
目次 -INDEX-
賃貸の仲介手数料とは?
仲介手数料とは、賃貸物件を借りる際に仲介をした不動産会社に対して支払う手数料のことです。
物件の案内や条件交渉、重要事項説明や契約締結といった賃貸物件契約時に必要となるサポートの対価として、不動産会社に支払います。
なお、仲介手数料は成功報酬であるため、賃貸借契約が成立して初めて発生します。たくさんの物件を内見した場合でも、最終的に賃貸契約しなかった場合は仲介手数料を支払う必要はありません。
仲介手数料の支払いタイミングは「初期費用の支払い時」
仲介手数料の支払いは、賃貸借契約時に『敷金』や『礼金』とともに振り込むことが一般的です。基本的に、仲介手数料のみを単体で支払うことはありません。
『初期費用』には仲介手数料の他にも、敷金・礼金・火災保険料・カギの交換代・前家賃や日割り家賃などが含まれ、一般的に家賃の5〜6ヶ月分がかかります。
物件によって必要となる費用には違いがあるため、ある程度余裕を持って用意しておくといいでしょう。
賃貸の仲介手数料の上限・下限
初めて賃貸物件探しをする人の中には、「仲介手数料が高くなりすぎないか心配」という方もいるかもしれません。
しかし、不動産会社が受け取ることのできる仲介手数料は、宅地建物取引業法によって上限が定められています。
このルールの範囲を超えた額を請求されることはないため、安心して物件探しをしましょう。ここからは、賃貸物件の仲介手数料の上限や下限について解説します。
上限は「家賃の1ヶ月+消費税」
宅地建物取引業法により、賃貸契約の仲介手数料は『家賃の1ヶ月+消費税(10%)』が上限と定められています。(仲介手数料は消費税の対象となるため、消費税の10%を含めて計算)
貸主(大家さん)と借主(部屋を借りる人)の両方から仲介手数料を受け取る場合も、合計で『家賃の1ヶ月+消費税』が上限です。
受け取る方法は、『貸主(大家さん)と借主(部屋を借りる人)から0.5ヶ月分ずつもらう』のが原則ですが、承諾があればどちらか一方から1ヶ月分をまとめて受け取ってもいいとされています。
なお、仲介手数料の上限額は『家賃のみ』に対する金額です。共益費や管理費などを含めた仲介手数料の請求は違法となります。
ただし、『駐車場代』は宅地建物取引業法の規定からは除外されており、部屋の家賃とは別に請求されることもあります。
下限は「決まりなし」半額やそれ以下のケースも
仲介手数料に上限はあるものの、下限については特に決められていません。そのため、仲介手数料が半額やそれ以下になるケースもあります。
仲介手数料が安くなるケースは、以下の通りです。
- 不動産会社が貸主
- 不動産会社が仲介手数料のキャンペーンを行っている
- 貸主が入居者を積極的に募集している
- 貸主との直接契約
家賃1ヵ月分の仲介手数料は違法なの?
インターネット上で「仲介手数料で家賃1ヵ月分を請求された!違法じゃないの?」という声を目にしたことがある方もいるでしょう。
結論から言うと、家賃1ヵ月分の仲介手数料は違法ではありません。
原則として仲介手数料は貸主(大家さん)と借主(部屋を借りる人)の両方からもらうものですが、双方の合意があれば、負担割合は「貸主が0割で借主が10割」のように変更できます。
賃貸借契約時に仲介手数料が1ヵ月分だと書かれていれば、契約することで合意したとみなされ、違法にはならないのです。
賃貸の仲介手数料の相場は「家賃の0.5ヶ月~1ヶ月」
賃貸の仲介手数料の相場は、一般的に『家賃の0.5ヶ月~1ヶ月+消費税』とされることが多いです。
ただし、賃貸の仲介手数料には下限がなく、不動産会社や物件の状況によっても違いが生じるため、あくまで目安と考えておきましょう。
以下で、家賃別の仲介手数料の目安を一覧で紹介します。初期費用について考える際は、仲介手数料を考慮することも忘れないようにしましょう。
家賃 | 0.5ヶ月分(仲介手数料+消費税10%) | 1ヶ月分(仲介手数料+消費税10%) |
5万円 | 2万7500円 | 5万5000円 |
7万円 | 3万8500円 | 7万7000円 |
10万円 | 5万5000円 | 11万円 |
12万円 | 6万6000円 | 13万2000円 |
15万円 | 8万2500円 | 16万5000円 |
賃貸の仲介手数料を交渉する方法とコツ
仲介手数料は不動産会社が提供するサービスを利用した対価として支払うものであるため、「築年数がかなり古い」「駅から遠くアクセスが良くない物件」など、物件の条件や状態によって値引きがされるケースはほぼありません。
しかし中には、賃貸の仲介手数料を安くできるケースもあります。ここからは、仲介手数料の交渉のやり方とコツを紹介します。
閑散期のタイミングを選ぶ
仲介手数料を抑えたい場合は、閑散期といわれる4~8月頃のタイミングがおすすめです。繁忙期に(1~3月頃)よりも、交渉に応じてもらいやすいでしょう。
また、もともと仲介手数料が半額・無料といった物件は多くないものの、閑散期であれば出回る可能性もあります。
閑散期は引っ越し代金も抑えられる傾向にあり、引っ越しのタイミングを選べるのであれば閑散期を選ぶと節約につながるでしょう。
問い合わせの際に希望を伝える
不動産会社に問い合わせの際、なるべく仲介手数料を抑えたいことや、予算について伝えておくのも一つの方法です。
仲介手数料が安い物件がない場合でも、敷金や礼金がかからない物件など、初期費用を抑えられる提案をしてもらえる可能性があります。
入居を決めた段階で交渉する
仲介手数料の値下げ交渉は、タイミングも大切です。他の物件と比較しているときではなく、入居を決めた段階で交渉しましょう。
「仲介手数料を値引きしてくれるのであればすぐ契約したい」などと伝えることで、値下げしてもらえる可能性があります。
情報収集をしておく
なるべく賃貸の仲介手数料を抑えたい場合は、実際に不動産に行って相談したり、不動産ポータルサイトをチェックしたり、普段から積極的に情報収集をしておくのがおすすめです。
仲介手数料には相場もあるものの、無料の場合や値引きされていることもあります。こまめにチェックしておくことで、お得な情報を見つけられるかもしれません。
仲介手数料が安い賃貸物件を選ぶ際の注意点
人気物件の場合、仲介手数料の値下げ交渉をしている間に他の希望者に契約されてしまう可能性があります。
物件探しには時間も手間もかかり、気に入った物件がまたすぐに見つかるとは限りません。せっかく気に入った物件を逃してしまわないように注意しましょう。
また、駅から遠い、築年数が古い、道路が近く騒音が気になるといった物件のデメリットをカバーするために仲介手数料を安く設定するケースもあります。
仲介手数料など初期費用を抑えることだけでなく、「納得できる物件探しができるか」といった点にもしっかり目を向けることが大切です。
まとめ
賃貸物件の仲介手数料について解説しました。
仲介手数料の上限は『家賃の1ヶ月+消費税』と決められており、相場の目安は『家賃の0.5ヶ月~1ヶ月+消費税』ほどとなります。
交渉で安くできることもありますが、仲介手数料は仲介業務を行った不動産会社にサービスの対価として支払う費用という性質上、値引きが難しいケースが多いです。
仲介手数料にこだわりすぎると良い物件を逃してしまいかねないため、必要経費と考えて、より理想に合う物件探しに力を入れてみるといいかもしれません。