日本は世界4位の地震大国といわれています。たくさんの被害者を出した東日本大震災は記憶にまだ新しく、地震対策の必要性があらためて重要視される契機となりました。
世界のマグニチュード6.0以上の地震の約20%は日本で発生していて、東日本大震災は、1900年以降の世界の地震で4番目の規模でした。
物件を探すときは、部屋だけではなくエリアごとの安全性、万が一の場合の避難場所なども考慮し、家賃相場や住環境だけではなく、広い視野を持って探しましょう。
この記事は、30年以内に震度6強以上の揺れが想定される県のランキングと、その間に発生するといわれている2つの巨大地震についてもあわせて紹介します。
県外に移住を考えている方の参考になれば幸いです。
現在お住まいのお家の価格が気になる方は、すまいステップも参考にしてみてください。
目次 -INDEX-
30年以内に震度6弱以上の揺れが想定されるランキング
画像引用:J-SHIS Map
NIED(国立研究開発法人防災科学技術研究所)が公表しているJ-SHIS Mapの最新(2022年)データを元に、震度6弱以上の揺れに見舞われる5段階の確率を参考に、都道府県をランキング化しました。
震度6弱以上を基準とした理由は以下です。
- 阪神大震災で一番揺れたエリアは震度7
- 東日本大震災で一番揺れたエリアは震度6強
- 南海トラフの想定震度は震度6弱
- 首都直下型地震の想定震度は6弱~6強
震度6強や震度5弱・強なども公表されていましたが、上記から考えると最低でも震度6弱の地震が発生する確率を注視する必要性があります。
また、震度6弱は古い木造建築物から倒壊し始める震度といわれているため、今回のランキングは震度6弱以上を想定したデータを参考にしました。
ランキング | 都道府県名 | 県庁所在地住所 | 震度6弱の確率(%) |
---|---|---|---|
1位 | 茨城県 | 水戸市 | 80.6 |
2位 | 高知県 | 高知市 | 76.3 |
3位 | 徳島県 | 徳島市 | 76 |
4位 | 静岡県 | 静岡市 | 71.8 |
5位 | 和歌山県 | 和歌山市 | 69.6 |
6位 | 千葉県 | 千葉市 | 69.5 |
7位 | 三重県 | 津市 | 65.4 |
8位 | 香川県 | 高松市 | 65.4 |
9位 | 神奈川県 | 横浜市 | 64.8 |
10位 | 奈良県 | 奈良市 | 63.3 |
11位 | 大分県 | 大分市 | 56.3 |
12位 | 宮城県 | 仙台市 | 55.8 |
13位 | 京都府 | 伏見区(※) | 54 |
14位 | 東京都 | 新宿区 | 49.4 |
15位 | 兵庫県 | 神戸市 | 47.2 |
16位 | 愛知県 | 名古屋市 | 46.6 |
17位 | 愛媛県 | 松山市 | 46.6 |
18位 | 埼玉県 | さいたま市 | 45.2 |
19位 | 岡山県 | 岡山市 | 44.8 |
20位 | 宮崎県 | 宮崎市 | 42.9 |
21位 | 沖縄県 | 那覇市 | 42.1 |
22位 | 滋賀県 | 大津市 | 39.1 |
23位 | 福島県 | 福島市 | 37.7 |
24位 | 山梨県 | 甲府市 | 37.2 |
25位 | 大阪府 | 大阪市 | 31.5 |
26位 | 長野県 | 松本市(※) | 29.7 |
27位 | 広島県 | 広島市 | 29.4 |
28位 | 岩手県 | 盛岡市 | 28.3 |
29位 | 岐阜県 | 岐阜市 | 27.3 |
30位 | 栃木県 | 宇都宮市 | 26.4 |
31位 | 熊本県 | 熊本市 | 26.1 |
32位 | 鹿児島県 | 鹿児島市 | 17.8 |
33位 | 富山県 | 富山市 | 16.6 |
34位 | 鳥取県 | 鳥取市 | 15.5 |
35位 | 新潟県 | 新潟市 | 15.4 |
36位 | 福井県 | 福井市 | 14.7 |
37位 | 秋田県 | 秋田市 | 14.3 |
38位 | 青森県 | 青森市 | 10.7 |
39位 | 北海道 | 札幌市 | 9.7 |
40位 | 山形県 | 山形市 | 9.4 |
41位 | 福岡県 | 福岡市 | 9.3 |
42位 | 群馬県 | 前橋市 | 9.1 |
43位 | 佐賀県 | 佐賀市 | 7.9 |
44位 | 島根県 | 松江市 | 7.2 |
45位 | 長崎県 | 長崎市 | 6.9 |
46位 | 石川県 | 金沢市 | 6.7 |
47位 | 山口県 | 山口市 | 6.4 |
(※)について、基本的に県庁所在地を測定地としたデータを参考にしましたが、京都市伏見区などは、県庁所在地が危険度4でも危険度5の分布が広い場合、表記した危険度5のエリアを基準として算出しました。
危険度ランキングワースト5
今後30年の間に大きな地震に見舞われる確率が高いランキングトップ5は以下となります。
- 1位 茨城県
- 2位 高知県
- 3位 徳島県
- 4位 静岡県
- 5位 和歌山県
ランキングワースト5にランクインしているからといって、そのエリアすべてがランク通りの震度ではなく、危険度が低いエリアも多数存在します。
宮城県の場合、たしかに県庁所在地の仙台市は危険度5で12位と比較的高ランクとなっていますが、宮城県という広いエリアのなかで危険度5の範囲はごく一部です。
対して北海道はワースト39位となっていますが、県庁所在地の札幌から遠い根室市のデータでは震度6弱の地震発生の確率が79.8%と高く、そこだけ見ると2位になりますが、北海道のなかでは範囲が狭いため、このランキングの判断としています。
危険度ランキングベスト5
今後30年以内のうちに巨大地震がくる確率が低い都道府県トップ5は以下になります。
- 1位 山口県
- 2位 石川県
- 3位 長崎県
- 4位 島根県
- 5位 佐賀県
確率としては決して高くないエリアがご覧の通り各地にありますが、画像にもある通り、日本には主要活断層帯が多数存在しています。
しかし、今回のランキングには震度5強以下のデータは含まれていません。
震度5程度でも液状化するエリアや、火災や倒壊、天候も絡む土砂崩れなどが発生する危険性はゼロではありません。
避難経路や避難場所、避難の用意などは、地震の多い日本に住んでいるかぎり、事前準備が生死を分けるといっても過言ではありません。
日本で30年以内に起こる2つの巨大地震
ここで、今後30年以内に起こると想定されている2つの巨大地震『南海トラフ地震』と『首都直下型地震』について紹介します。
日本が地震大国であるかぎり、地震そのものに対して準備をしておくことが必要です。
さらに、被害を受けると想定されているエリアに転居予定の人は、ハザードマップなどを利用し、慎重に物件を選びましょう。
南海トラフ地震
南海トラフ地震は、想定震度6弱、30年以内の発生確率が2020年1月の時点で70~80%といわれている海溝型の巨大地震です。
『南海トラフ』とは、四国の南に位置する海底の深い溝、つまりプレートの境界のことで、その深さは4000mに及んでいます。
海溝型地震とは、海のプレートが海溝で沈み込んでいく際、陸地のプレートを巻き込んでいき、反発に耐えかねて跳ね上がって起こる地震のことで、陸地の巻き込みにより形成されている溝の深さが、上述した4000mとなります。
南海トラフにおいては前回、1946年12月に『昭和南海地震』が発生していています。過去1400年の間に約90~150年の間隔で大地震が発生しているため、次の地震はその約88年後、つまり2034年、おおよそ2030~2040年に発生すると想定されています。
南海トラフ地震が発生した際に被害が大きいといわれている県は以下です。
- 1位 愛知県
- 2位 静岡県
- 3位 大阪府
- 4位 三重県
- 5位 高知県
※住所検索ハザードマップを参考に算出
南関東直下地震
関東地方の南部において歴史的に繰り返されている地震で『首都直下型地震』や『東京直下地震』、『東京大震災』などとも呼ばれてます。
これらは、南関東の地下を震源とする、内陸型地震のことです。
首都圏の地面の下では、フィリピン海プレート・北米プレート・太平洋プレートと3つのプレートが重なり合って集まっています。
内陸型地震とは、陸のプレートの弱い部分に亀裂が生じ、その境界がズレたり、内部で破壊が起こったりすることで地震が発生します。
首都直下型地震と聞くと、東京に震源があると思われがちですが、想定されるのは東京のみではありません。
- 東京都
- 茨城県
- 千葉県
- 埼玉県
- 神奈川県
- 山梨県
以上を含む南関東地域のどこかを震源として起こると想定されています。
首都直下地震では甚大な被害が想定されているとはいえ、その被害度や震度の大きさでのランキングではなく、震源によって震度も変わるため、上述したランキングにおいて東京が14位と、そこまで高くありません。
実際の被害については、直下型は震源が深く、被害範囲が約30km範囲内と狭く想定されています。
例えば震源が浅い場合は、広範囲に大きな被害を及ぼしますが、そのような地震の場合は予想が殆どできないとされています。
まとめ
30年以内に震度6弱以上の揺れが想定される都道府県のランキングを、J-SHIS Mapのデータから算出し、同じく30年以内に発生するといわれている2大地震について、あわせて紹介しましたが、いかがでしたか?
地震の被害をまったく受けない土地など、残念ながらありません。
しかし、何かしらの都合で、どうしても危険度の高い土地のなかから転居先を探さなければならない都合もあるでしょう。
避難場所を把握し、危険な場所を念頭におく、日頃から災害に対して用意しておくことは、危険度の低いエリアに住んでいても同様に必要です。
地震危険度の高低にかかわらず、災害を避ける準備はしておきましょう。