首都圏では首都直下型地震が予想されており、30年以内にマグニチュード7程度の地震が発生する確率は70%程度とされています。
高い確率で近い将来の発生が予想されているため、いつ起こるか分からない大地震には日頃から備えることが大切です。
東京都では、東京都震災対策条例に基づいて地域危険度を公表しており、各地域における地震の危険性を「建物倒壊危険度・火災危険度・災害時活動困難係数・総合危険度」で示しています。
まずは、自分が住んでいる街や住もうと考えている街の災害リスクを把握しましょう。この記事では、地域危険度測定調査をもとに東京都の危険な街と安全な街を詳しく紹介します。
目次 -INDEX-
東京都の災害リスク
東京都の災害リスクとして挙げられるのが、首都直下型地震です。
首都直下型地震とは、首都や周辺地域の直下で発生するマグニチュード7クラスの大地震で、地震の揺れによる被害は下記のように想定されています。
揺れによる被害 | 火災による被害 | |
全壊家屋 | 約17万5,000棟 | 約41万2,000棟 |
最大想定死者数 | 約1万1,000人 | 約1万6,000人 |
要救助者 | 約7万2,000人 | — |
参照:内閣府防災情報のページ
また、発災直後は約5割の地域で停電が発生し、約1週間以上も不安定な状態が続くと予想されています。
他にも断水や下水道が使えなくなったり、公共交通機関や道路などの交通網が寸断されるなど、ライフラインにも大きな影響が出ます。
東京都は日本の中枢を担う行政機関や企業が多くあるため、災害が発生したときに生じる損害やリスクは甚大です。
しかし、同じ東京都でも地震による被害が出やすい街とそうでない街があるため、住む街を選ぶことも防災につながります。
東京都における地震の危険度が高い街を紹介
地震が発生すると建物の倒壊や火災、避難の遅れなどが生じます。ここでは、東京都の地震の危険度が高い街を紹介します。
建物倒壊の危険度が高い街
建物倒壊危険度とは、液状化や揺れによって建物が倒壊する危険性を建物の構造や建築年代等のデータを用いて測定したものです。
建物の倒壊の危険度が高くても、耐震工事や液状化対策がしっかりしていれば大きな影響はありません。
しかし、建物が倒壊して道路を塞いでしまうと避難や救助が遅れる可能性が高まるため、二次災害のリスクがあります。
東京都の建物倒壊の危険度が高い街は以下の通りです。
ワースト5 | 区市町名・町丁目名 | 危険量(棟/ha)※1haあたりで全壊する建物の棟数 |
1位 | 墨田区京島2丁目 | 19.52 |
2位 | 墨田区京島3丁目 | 17.76 |
3位 | 足立区柳原2丁目 | 16.72 |
4位 | 台東区鳥越1丁目 | 15.77 |
5位 | 千住柳町沖積低地4 | 14.95 |
墨田区の京島は建物倒壊のリスクが高く、1haあたり19棟近い全壊が予想されています。
一方、千代田区や中央区では危険量が0の街も多く、建物倒壊のリスクが小さく安全な街といえるでしょう。
火災の危険度が高い街
火災危険度とは、地震で発生する火災によって建物にどれくらいの被害が及ぶかをランク化したものです。
火災危険度は、「出火危険度測定」及び「延焼危険度測定」などの測定方法や結果を活用し、町丁名ごとに火災危険量を測定しています。
火災危険度が高い街では、地震時にさまざまな場所で出火するリスクがあります。避難や救助の妨げが遅れたり、火事が広がって巻き込まれる可能性もあるでしょう。
東京都の火災の危険度が高い街は以下の通りです。
ワースト5 | 区市町名・町丁目名 | 危険量(棟/ha)※1haあたりで全壊する建物の棟数 |
1位 | 足立区柳原2丁目 | 22.37 |
2位 | 荒川区荒川6丁目 | 19.01 |
3位 | 墨田区京島2丁目 | 17.77 |
4位 | 墨田区墨田3丁目 | 17.38 |
5位 | 葛飾区東四つ木3丁目 | 16.50 |
足立区・荒川区・墨田区・葛飾区は、火災における危険度の高い街となっています。
墨田区の一部は建物倒壊のリスクが高い街も含まれていますが、これは火事が発生する原因に倒壊も含まれるためです。
一方、千代田区・中央区・江東区・足立区では危険量が0の街も多く、地震時の火災リスクが低く安全な街といえるでしょう。
災害時に活動困難になりやすい街
災害時における活動困難の指標として、「災害時活動困難度」が挙げられます。
災害時活動困難度とは、地震災害が発生した際に危険地域からの避難や消化・救助活動のしやすさが、その後の被害の大きさに影響することを指標にしたものです。
数値が大きいほど、災害発生時に救助や避難が遅れやすくなります。東京都の災害時に活動困難が起こりやすい街は以下の通りです。
ワースト5 | 区市町名・町丁目名 | 災害時活動困難係数(※) |
1位 | 八王子市裏高尾町 | 1.12 |
2位 | 八王子市宇津貫町 | 0.7 |
3位 | 東村山市諏訪町3丁目 | 0.64 |
4位 | 武蔵村山市中藤2丁目 | 0.64 |
5位 | 西多摩郡日の出町大字大久野 | 0.63 |
※災害時活動困難係数とは、4m幅員以上の道路や公園から容易に活動できる面積の割合を幅員に応じて評価した数値
八王子市・東村山市・武蔵村・西多摩郡日などがランクインしています。
いずれも避難場所に入れる6m以上の道路が少なかったり、建物が密集するなどが想定されるため、災害時活動困難係数が高くなっています。
一方、千代田区・中央区・足立区・葛飾区では、災害時活動困難係数が0の街も多くあるため、災害時に活動困難になりにくいとされています。
総合的に危険度が高い街
危険性が高い街の基準となる総合危険度は、建物倒壊危険度と火災危険度を合算し、さらに災害時活動困難係数を乗じて評価されます。
総合危険度が高い街では、首都直下型地震などにより大きな被害が発生する可能性が高いため注意が必要です。
東京都の総合危険度が高い街は以下の通りです。
ワースト5 | 区市町名・町丁目名 | 危険量(棟/ha)※1haあたりで全壊する建物の棟数 |
1位 | 荒川区荒川6丁目 | 9.36 |
2位 | 荒川区町屋4丁目 | 9.06 |
3位 | 足立区柳原2丁目 | 8.63 |
4位 | 足立区千住柳町 | 8.53 |
5位 | 墨田区 京島2丁目 | 7.95 |
総合危険度で見ると、荒川区や足立区が危険度の高い街となっています。一方、千代田区・中央区・江東区などは危険量が0のところも多く、地震に強いといえるでしょう。
日頃から首都直下型地震に備えることが重要
首都直下型地震で危険度が少ないとされている街でも、想定外の大地震が発生すると大きな被害を受ける可能性もあります。
また、大地震による建物倒壊や火災から逃れられても、ライフラインの停止や公共交通機関の停止などは避けられません。
日常生活に戻るまでには時間がかかることも想定されるため、被害を軽減するためにも普段の防災対策が重要です。
今一度、下記について見直しておきましょう。
- 家具の固定
- 水や食料の備蓄
- ハザードマップで避難所の確認
- 避難場所までのルート
- 住んでいる街の危険度
- 災害が発生したときの家族との連絡手段
また、地震による被害が大きいと避難所生活になる可能性もあるため、防災リュックに備蓄品を詰めていつでも避難できるようにしましょう。
まとめ
東京都において首都直下型地震が発生したときに災害が起こりやすいのは、墨田区京島や足立区柳原、荒川区荒川など北部を中心とした街です。
一方で、中央区や江東区などの中心部では、揺れや火災による建物の被害は少ないと予想されており、安全性は高いといえます。
しかし、地震による災害は実際に起こってみないと分からない部分も多く、危険性が低いとされている街でもリスクはあります。
いつ起こるか分からない地震には、災害リスクを把握して日頃から備えておくことが重要です。
東京都に住みたい方や災害リスクが小さく安全な街で暮らしたい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。