賃貸物件を契約する際には、必ず「初期費用」の支払いが必要です。しかし、「初期費用」とはどういう費用なのか、何にいくらくらい支払うのかを知らないという人も多いでしょう。
また、引越しを検討しているときに、「初期費用」が高くてびっくりしたという人もいるはずです。本記事では、賃貸物件を契約する際の「初期費用」とはどういうものなのか、「初期費用」を安くするためには何をしたらよいのかについて解説していきます。
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賃貸の初期費用は「高すぎる?」みんな声を紹介
猫を保護して飼いたい。 けどペット可の物件って初期費用高い。
引用:X
ペット可の物件は、初期費用の敷金を通常物件よりも多く支払う場合があります。ペットを飼っていると壁紙や床の傷みが激しくなるため、原状回復費として通常物件に1~2か月分の敷金が上乗せされるケースが多いです。
ここ良いなぁと思った物件の情報やってみたら初期費用の高さに泣いてしまった礼金と仲介手数料って両方かかるもんなんですね礼金って何に対する礼保証料って何⁉️に対する⁉️保証⁉️
引用:X
初期費用の内訳は、敷金・礼金・仲介手数料など複数の項目にわかれていて、初めて引越しをするときは耳慣れない専門用語に戸惑う人も多いでしょう。初期費用の内訳について、何についての費用なのか、相場はいくらくらいなのかを知っておくと適正な価格の物件を選ぶ助けになります。
賃貸物件の初期費用の目安と相場
賃貸物件の初期費用について、目安と相場を一覧にまとめてみました。今回は、家賃7万円の場合のシミュレーションです。
内容 | 費用の目安 | 費用の相場(例) |
---|---|---|
敷金 | 家賃1〜2か月分 | 70,000円 |
礼金 | 家賃1か月分 | 70,000円 |
仲介手数料 | 家賃0.5か月分~1か月分+消費税 | 70,000円 |
前家賃 | 家賃1か月分 | 70,000円 |
火災保険料 | ー | 15,000円 |
鍵交換代 | ー | 20,000円 |
安心サポート代 | ー | 15,000円 |
合計 | ー | 330,000円 |
今回のシミュレーションのように、初期費用は家賃の5~6倍程度になることが一般的です。不動産会社によっては、仲介手数料が無料または半額になる場合もあります。
敷金礼金無料という物件も多いですが、入居時に払うか退去時に払うかの違いであったり、保証会社への加入などほかの形で徴収されていたりします。敷金礼金以外の費用についても、しっかり把握した上で物件を検討しましょう。
賃貸物件の初期費用が高すぎる?原因をチェック!
賃貸物件の初期費用が高くなる原因には、以下のようなことが考えられます。
- 家賃自体が高い
- 敷金礼金がかかる
- 仲介手数料が相場より高い
- クリーニング・消臭消毒などのオプションサービスが追加されている
初期費用は家賃を基準に算出されるため、家賃自体が高いと初期費用も高くなります。敷金礼金が無料の物件に比べると、敷金礼金が必要な物件は初期費用が高くなりますし、ペット可物件などはさらに敷金が上乗せされるため相場より費用が高くなってしまいます。
契約時に退去時のクリーニングサービスを先に精算する場合も、初期費用が高くなる理由です。入居しようとする物件の初期費用が高すぎると感じるときは、上記のような原因が考えられますので、内訳をよく確認してみましょう。
初期費用で必ず払うべきもの・払わなくてもよいもの
高額になりがちな引越しの初期費用の中には、必ずしも払わなくてもよいものも含まれています。初期費用が高すぎると思ったら、内訳を確認して払わなくてもよいものが含まれていないかチェックしてみましょう。
本章では、初期費用を払うべきものと払わなくてもよいものの2パターンに分類して解説していきます。
初期費用で必ず支払う必要があるもの
- 敷金・礼金
- 前家賃
- 仲介手数料
- 火災保険料
初期費用で必ず支払う必要がある費目は上記の4つです。ただし、敷金礼金・仲介手数料は大家さんや不動産会社との交渉次第では減額できる可能性があります。
IHコンロの物件に住む人やタバコを吸わない人は、火災保険が本当に必要なのかと考えてしまうでしょう。しかし、漏電などが火災の原因となるリスクや、火災以外の自然災害も補償されることを考慮すると、火災保険は必要です。
自身が加入する火災保険の補償内容をよく確認し、必要な補償が揃った火災保険を選択するようにしましょう。
初期費用で払わなくてもよいもの
- 鍵交換代
- 保証会社利用料
- ハウスクリーニング代
- インターネットの利用に関する費用
鍵の交換代金は必ず初期費用の中に含まれていますが、実は任意なので交換せずに入居することも可能です。ただし、防犯上の問題はあるため、リスクを理解した上で鍵の交換を行うかどうか選択してください。
保証会社の利用料は、連帯保証人を付けるならば不要になる場合があります。ハウスクリーニング代は、退去時の清掃と入居前の清掃・消毒の2種類です。
退去時の清掃は契約内容に入っているため断るのは難しいですが、入居前のクリーニング代は不動産会社へ申し出て、不要であればキャンセルできる場合があります。初期費用として支払う料金の中に、使い道や金額で納得いかないものがあれば、不動産会社に事前に説明を求めましょう。
賃貸物件の初期費用が高すぎる場合の対処法
賃貸物件の初期費用が高すぎて負担が大きいと感じる場合は、いくつかの対処法があります。引越しの最初の時点であまり費用を使いすぎると、新居の家具家電に使える費用が少なくなり、生活の質に影響します。
新居で充実した新生活を送るためにも、初期費用が高すぎる場合は本章で紹介する対処法を実行してみましょう。
【対処法1】初期費用を分割で支払う
賃貸契約の初期費用を分割で支払うと、最初の月にかかる負担が分散されて支払いが楽になります。最近では、賃貸入居時に初期費用を分割で支払える不動産会社も増えていて、ほとんどはクレジットカードによる決済です。
物件検索サイトでも、「初期費用カード決済可能」の条件検索ができますので、初期費用を分割で支払いたい場合は活用してみてください。
【対処法2】不動産会社や大家さんに直接交渉する
敷金礼金や仲介手数料が高いと感じる場合は、不動産会社や大家さんに直接交渉する方法もあります。敷金礼金は大家さんへ、仲介手数料は不動産会社への交渉です。
大家さんへの交渉は、不動産会社が間に入って代わりに行ってくれる場合もあります。交渉はプロに任せたほうがうまくいく可能性が高いため、できれば直接交渉せずに不動産会社に代行してもらうとよいでしょう。
交渉に応じてもらいやすいケース・タイミング
住みたい物件が決まり、あとは契約するのみのタイミングで交渉を申し出ると、応じてもらいやすいです。不動産会社としても、これまでの労力を無駄にしたくないという気持ちと、契約成立の確約があることはプラスに働きます。
希望する物件の築年数が古かったり駅から遠かったりして、長い間借り手がいなかった場合も交渉が成功しやすいでしょう。空室になるよりはマシなので、大家さんが敷金礼金を値下げしてくれる可能性があります。
交渉に応じてもらいにくいケース・タイミング
物件選びの初期段階で費用の値下げを交渉するのは、おすすめできません。冷やかしかもと思われたり、面倒な客と思われたりすると、後の対応にも悪影響が出るでしょう。
大手の不動産会社は、交渉に応じてもらいにくい場合があります。担当者個人に決定権がなく、会社のルールに従って動いている場合は、交渉も難しいでしょう。
【対処法3】敷金・礼金0円やフリーレントの物件を選ぶ
初期費用が高いとお悩みであれば、敷金・礼金0円物件や一定の期間家賃が無料になるフリーレント物件を検討してみましょう。ただし、敷金・礼金0円やフリーレント物件は、築年数が経過している・駅から遠い・日当たりが悪いなど、マイナス面がある物件も多いのが現状です。
初期費用が安い物件を契約する前には、安くなっている理由を不動産会社によく確認し、納得の上で契約するようにしましょう。
- 築年数・利便性など、何らかのデメリットがある物件
- 敷金・礼金以外の部分で費用がかかる物件
- 敷金の分家賃に上乗せされている物件
上記のような注意点もあることを踏まえた上で、疑問点は必ず不動産会社に確認し、自身でも物件の現状や周辺の環境・家賃相場など調べてから契約に進みましょう。
【対処法4】仲介手数料が安い不動産会社を選ぶ
不動産会社に支払う仲介手数料は、家賃の0.5か月分~1か月分+消費税です。不動産会社が自社管理している物件や大家さんが仲介手数料を負担してくれている物件は、仲介手数料が無料になるケースもあります。
一見初期費用が安くなるので魅力的に見えますが、敷金・礼金0円物件同様、入居者がなかなか決まらない部屋を仲介手数料無料にしてアピールしている場合も多いのが実情です。不動産会社にとって主な収入源が仲介手数料なので、仲介手数料を下げることで顧客サービスが行き届かないこともあります。
仲介手数料が安い物件や無料の物件には、それなりの理由があることを理解した上で契約手続きを行いましょう。
【対処法5】保証会社を使わなくても契約できる物件にする
保証会社とは、賃貸契約の際に保証人がいない場合、保証人の代行をしてくれる会社のことです。物件によっては、保証人と保証会社との契約が両方必要なケースもあります。
保証会社への加入費用は、家賃の半額から1か月分が相場です。保証会社を使わずに契約できる物件は、物件検索サイトでも絞り込めます。
できるだけ初期費用を安くおさえたい場合は、対処法のひとつとして検討してみるとよいでしょう。
賃貸物件の初期費用を支払うタイミングと支払い方法
本章では、賃貸物件の初期費用を支払うタイミングと支払い方法について解説していきます。初期費用は数十万円になるため、支払いには事前の準備が必要です。
初期費用を支払うタイミングと支払い方法を予備知識として頭に入れておいて、手続きがスムーズに行えるようにしましょう。
初期費用を支払うタイミングは?
初期費用を支払うタイミングは、明確な決まりはありません。各不動産会社によって異なるものの、ほとんどの場合で入居審査に通過してから1~2週間以内、もしくは契約日当日の支払いになります。
内見で気に入った物件があれば、その際に初期費用の支払い期限についても不動産会社に確認しておきましょう。
初期費用の支払い方法
初期費用の支払い方法は、現金または銀行振り込みが一般的です。最近では、クレジットカードやキャッシュレス決済に対応する不動産会社も増えてきました。
支払い期日までに初期費用が準備できないと、最悪の場合契約がキャンセルになる可能性もあります。余裕のあるスケジュールで、初期費用を準備しておきましょう。
クレジットカードを利用する予定の場合は、限度額がオーバーしないかどうかも事前に確認しておいてください。
【要チェック】不動産会社に支払う初期費用以外にかかる費用
新居へ引越しする際には、不動産会社に支払う初期費用以外にもかかる費用があります。何にいくらくらいかかるのかを把握しておかないと、直前になって費用が足りないと焦ってしまいます。
本章で初期費用以外の費用について詳しく解説していきますので、これから引越しを控えている人や今後予定がある人は是非チェックしてみてください。
引越し費用
新居への引越しの際には、引越し費用が発生します。かかる金額は荷物の量や移動距離によって大幅に差があります。
引越し費用をなるべく安く済ませるためには、不用品は引越し前になるべく処分して荷物を減らすようにしましょう。大きな家具や家電を購入するならば、新居のほうへ届くように手配すると引越し費用をおさえられます。
- 同一都道府県での引越し(単身者) 45,000円~65,000円程度
- 同一都道府県での引越し(ファミリー) 80,000円~200,000円程度
- 県や地方をまたいでの引越し(単身者) 60,000円~130,000円程度
- 県や地方をまたいでの引越し(ファミリー) 125,000円~400,000円程度
上記の引越し費用目安は繁忙期(2~4月)のもので、ほかの時期は10,000円~50,000円ほど安く引越しができます。引越しにかかる費用を減らしたければ、繁忙期を避けての引越しも検討してみましょう。
家具家電の購入費用
新たに一人暮らしを始める際には、家具家電を購入する費用も必要です。大型家電量販店や通販サイトでは、一人暮らしに最低限必要な家電がセットになった商品が80,000円くらいから購入できます。
一人暮らし家電セットには冷蔵庫・洗濯機・掃除機・電子レンジ・炊飯器・掃除機などが含まれていて、これだけあればすぐに生活が始められるラインナップです。さらに生活していく上で必要なものがあれば、都度買い足していくと初期費用がおさえられてよいでしょう。
新居に置く家具は、安く済ませたいのであれば「ジモティ」や「メルカリ」などのフリマサイトや、リサイクルショップで中古の家具を入手するのもひとつの方法です。
【まとめ】賃貸の初期費用をおさえて豊かな生活をスタートしよう
本記事では、賃貸物件を契約する際の初期費用について詳しく解説してきました。賃貸の初期費用をなるべく安く済ませるためには、コストダウンできる部分がどこなのかを事前に知っておくことが重要です。
初期費用をなるべく安くおさえて、新生活を豊かにスタートするために、本記事をぜひ活用してみてください。