手取り15万円で一人暮らしの場合、貯金は可能なのでしょうか?総務省が調査した2022年の「家計調査(1世帯当たり品目別支出金額)」によると、一人暮らし世帯の支出の月平均は 161,753円であり、手取り15万円ですとすでに1万円以上不足している状態のため、貯金はおろか一人暮らしさえも難しいのではと思ってしまします。
しかしながら、手取り15万円でも工夫次第では一人暮らしをしながら貯金することも可能です。手取り15万円で一人暮らしをしながら貯金するための方法や、適切な家賃、生活費シミュレーションなど詳しく解説します。
近藤会計事務所/税理士
目次 -INDEX-
手取り15万円の一人暮らしは貯金できる?
手取り15万円以内でも一人暮らしして貯金することは可能でしょう。しかしながら、貯金をしようと思ったらかなりの節約と工夫が必要になります。今は動画サイトなどでも節約の知識、工夫について投稿されている人が多いので、節約解説動画などを参考に実際の生活を想像してみることも一人暮らしを始める前に必要かもしれません。
手取り15万円でも節約したり生活の工夫をしながら暮らしていくことで、確実に自活する上でのスキルは磨けますし自分自身も成長できることでしょう。
会社員の手取り15万円は額面給与はいくらぐらい?
会社員の手取り15万円の場合、額面給与はいくらぐらいになるのか、またその内訳を解説していきます。額面給与とは、基本給や交通費・住宅手当など各種手当をすべて合計した「総支給額」のことです。
手取り15万円ということは額面給与が18万6,000円くらいで、その中から保険料や税金などを引いた金額が実際に受け取れる金額になります。
控除項目 | 控除金額 |
---|---|
健康保険料 | 9,500円 |
厚生年金保険料 | 17,385円 |
雇用保険料 | 1,120円 |
源泉所得税 | 2,791円 |
住民税(新卒2年目以降) | 6,425円 |
額面給与 | 約18万6,000円 |
控除後手取り給与 | 約15万円 |
【賞与がある場合】手取り15万円の人は年収はいくら?
手取り15万円で賞与ありの場合、年収はいくらくらいになるでしょうか。年収とは一般的に額面給与(総支給額)のことを言います。20代の会社員の場合の平均賞与は2か月分ということなので、手取り15万円で賞与が2か月分の場合、年収はおよそ260万円になります。
【賞与がない場合】手取り15万円の人は年収はいくら?
手取り15万円で賞与がない場合の年収は、およそ223万円になります。
賞与ありの人と比べた場合、10年で400万円ほどの差が出てくるので、できれば賞与ありの会社に就職して、少しでも貯蓄額を増やしていきたいものですね。
一人暮らしの生活費、どれぐらいかかる?
一人暮らしの生活費にはいったいどれぐらいかかるのでしょうか?総務省の統計による単身世帯の1か月の支出を参考に34歳以下と35~59歳の支出額を記載します。(家賃には持ち家の場合も含まれています)平均的な支出の金額を知ることで、毎月どれくらい必要になるのかの想像ができてくるのではないでしょうか。
まずは、一人暮らしにかかる各支出の平均を把握し、実際に自分が一人暮らしをする際のシミュレーションに活用しましょう。
34歳以下 |
35〜59歳 |
|
家賃 | 36,676円 | 30,966円 |
食費 | 34,385円 | 42,899円 |
水道・光熱費 | 9,272円 | 12,352円 |
交通・通信費 | 20,084円 | 24,621円 |
教養・娯楽費 | 21,908円 | 19,790円 |
交際費 | 7,417円 | 11,854円 |
支出平均 | 158,198円 | 186,503円 |
参考:総務省「家計調査(男女,年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出(単身世帯))2022年」
手取り15万円で一人暮らしをする場合の理想の家賃は約5万円
家賃の目安は、理想が手取り月収の3分の1と言われています。手取りの3分の1以内に住居費が収められていれば、無理のない生活が可能ということです。
手取り15万円で一人暮らしをはじめるなら、なるべく5万円以内に家賃を設定して、物件探しをするようにしましょう。
会社から家賃補助が出る場合
会社から家賃補助が出る場合は、先ほどの5万円に家賃補助分の費用をプラスアルファして物件を選ぶことができます。家賃補助は住宅手当という名目で出ることが多いです。
住宅手当は出る会社と出ない会社がありますが、住宅手当が出る会社の場合平均は15,000円程度のようです。また、会社の規模が大きくなるほど住宅手当の額も増える傾向にあり、一般的に大企業ほど福利厚生が充実しています。
手取り15万円の一人暮らしで貯金がしたい場合の理想の家賃は約3万7,500円
手取り15万円の一人暮らしで貯金がしたい場合、家賃の理想は手取り収入の4分の1におさえることがすすめられています。したがって、貯金がしたい場合の理想の家賃は約3万7,500円です。
東京都内では3万円台での賃貸というのはあまりありませんが、町田市、日野市、立川市などでは数は少ないながらも3万円台の賃貸物件はあるようです。
手取り15万円の一人暮らしで貯金がしたい場合は、物件選びの際のエリア選定がポイントになってくることと思われます。
手取り15万円の生活費シミュレーション
手取りが15万円で一人暮らしをした場合、生活費にどれくらいかかるのかを貯金する場合としない場合でそれぞれシミュレーションをしてみたいと思います。
家賃は手取りの30%未満が相場と言われます。貯金をする場合は家賃だけでなく他の費目についても切り詰めた金額でシミュレーションしています。
保険料は一人暮らしの独身の場合最低限の医療保障でも大丈夫ですが、食費は最低3万円はないと健康を損ねてしまい医療費が余計にかさんでしまう可能であるので無理をしないことが大切です。
一人暮らしの場合はすべて自炊するよりも、安いお惣菜なども利用したほうが結果的に安く上がるときもありますので、スーパーが近い場所に家を探すなど、一人暮らしを始める前から節約・貯蓄を考えた動きをしていく必要がありますね。
項目 | 貯金をする場合 | 貯金をしない場合 |
---|---|---|
家賃 | 37,500円 | 50,000円 |
家具・日用品費 | 10,000円 | 10,000円 |
食費 | 30,000円 | 30,000円 |
水道・光熱費 | 10,000円 | 15,000円 |
保険 | 5,000円 | 5,000円 |
交通・通信費 | 10,000円 | 15,000円 |
交際費・娯楽費 | 10,000円 | 15,000円 |
その他 | 7,500円 | 10,000円 |
貯金 | 30,000円 | 0円 |
合計 | 150,000円 | 150,000円 |
一人暮らしを行う際に、どの項目にどれくらいお金を使いたいのかは一人ひとり異なるでしょう。上記のシミュレーションを参考に総支出が15万円におさまるように予算立てしてみましょう。
手取り15万円の一人暮らしでも貯金をする節約術
手取り15万円の一人暮らしでも貯金をするには、どういう部分を節約していけばいいのか、具体的な節約術について解説していきます。
手取り15万円で一人暮らしを行いながら貯金をするのは、不可能ではないとは言っても、かなりの努力が必要になる手取り額ですので、節約術をしっかりと頭に入れたうえで、生活の工夫をしてみてはいかがでしょうか。
節約術①家賃をおさえる
まずは、一番支出額の大きい家賃を安くおさえることが第一の節約術です。一度引っ越してしまうと引越し代金や初期費用でまとまったお金が必要になってしまいますので、納得のいく場所をしっかりと調べてから探しましょう。
家賃を安くおさえることができれば、毎月固定で出ていくお金が少なく済みますので、他の費目に回すことができるようになり、生活はより楽になります。
先述しましたが、東京23区内では条件に合った物件は数が少ないので、郊外の住宅も検討してみましょう。引っ越しシーズンの終わった5月以降に空いている物件は、家賃交渉で安くなる可能性もあります。
節約術②通信費をおさえる
スマートフォンやパソコンなどの通信費は、若い世代にとっては欠かせない支出です。特に機種代を分割で払っている場合や大手のキャリアを使用している場合は、携帯料金だけで1万円近く払っている人もいるでしょう。けれども、手取り15万円で貯金もすると決めたからには、高い機種代が必要なスマホはあきらめて、格安スマホを検討する必要があります。
パソコンのプロバイダー料金なども本当に必要か、改めて見直してみましょう。使用方法によっては携帯のテザリングなどで一本化したほうが節約につながる場合もあります。
節約術③自炊する
一人暮らしをするうえで、家賃の次に多い支出になるのが食費でしょう。食費は上手に節約するとかなり安く済ませることもでき、調理のスキルや買い物の仕方、安い食材やスーパーの活用法など、工夫次第で大幅な節約も見込めるため、節約のやりがいがあります。
図書館に行くと、節約料理のレシピ本がたくさん置いてありますので、自炊を始める際にはまず本やWEBサイトなどを参考に、底値についてや安い食材の選び方、安い食材をおいしく調理する方法やレシピなどについて知識を蓄えましょう。
節約術④お金のかからない趣味をみつける
お金のかからない趣味はたくさんあります。株式会社ビズヒッツが行った【お金のかからない趣味ランキング】男女500人アンケート調査によると、1位「スポーツ・フィットネス(79人)」、2位「読書・マンガ(76人)」、3位「映画・ドラマ・動画鑑賞(62人)」、4位「手芸・クラフト(38人)」という結果でした。趣味にかかる1ヶ月の平均金額は1,296円(同アンケート調査より)とのことなので、お金をかけずに趣味を楽しむことは十分可能であると分かりますね。
読書が趣味という人は、図書館で本を借りれば0円で趣味を楽しめますし、映画鑑賞が趣味という人は、最近は配信サービスが充実していますので、1,000円以内で自宅でいろんな映画を楽しむこともできます。趣味を楽しむことが心身にも好影響になり、一人暮らしをより充実させてくれますね。
節約術⑤新品にこだわらない、長く丁寧に使う
一人暮らしを始めたばかりのときは一から家具を揃えたり、最新家電など新しいものに囲まれた生活をしたくなるものですが、今後の生活を考えるとなるべくスタート時点で必要以上に消費することは避けたいです。
家具は実家で使っていたものをそのまま持っていく、足りないものは新品を購入する前にまずリサイクルショップやフリマサイトなどで探してみる、色が気に入らない家具はペンキで塗り替えてみるというように、新品にこだわらずに今まで使っていたものを長く丁寧に使うことも検討してみてはいかがでしょうか。
節約術⑥ポイ活する
ポイ活とは、お店のポイントカードやネット通販のポイントを効率よく貯める活動のことです。現在ポイントに特化したポイントサイトやポイ活アプリがたくさんあるので、自分に合ったサイトを選んでポイ活してみるとちょっとした副業感覚で楽しみながらポイント=お金を貯めることができますよ。
ゲームを遊ぶことでポイントが貯まったり、ただ歩くだけだったりレシートを写メするだけなんてポイ活もあるんです。隙間時間を活用できますので、通勤通学で移動時間が多い人などにぴったりですね。
収入をあげて貯金する
今まで紹介してきた節約術も重要ですが、節約には限界があるので収入を上げるということも考えておいた方がいいかもしれません。
節約術で身に着けたシンプルで慎ましい生活を続けながら収入がアップした分を貯蓄に回したり、資格の勉強など自己投資に回すことでさらなる収入アップを目指すことも不可能ではありません。収入を上げる方法を3つ紹介していきます。
収入をあげる方法①昇進や昇格する
収入を上げる方法の一つ目は、今の会社に居ながら昇進や昇格することです。基本給が上がるということもありますが、資格手当や役職手当などの手当ても見込めます。
普段の仕事ぶりが認められることや、社内での試験にパスしたり、仕事とは別の時間で取得した資格がきっかけで昇進や昇格することもあります。
仕事をしながら資格の勉強をするのは本当に大変なことですが、人生が大きく変わるきっかけになるかもしれません。手取りが少なくて収入を上げたいと思っている人は、ぜひ挑戦してみてください。
収入をあげる方法②転職する
今勤めている会社の手取りに満足がいかず、今後も収入アップが見込めないと思うのであれば、転職も視野に入れた方がいいでしょう。2023年以降は、コロナ禍の間は採用を控えていた企業も採用予定数を以前のように復活させるなど、転職市場が復活傾向にあり活性化すると予測されています。
前の項目でも述べたように資格を取っておくことは転職にも有利になります。自分の希望する職場に転職できるように、チャレンジしてみましょう。
収入をあげる方法③副業する
手取りが少ないけれども一人暮らしがしたい人は、副業もおすすめです。社会人の副業として人気があるのは、クラウドソーシングを活用した副業です。PCがあれば自宅に居ながら案件に応募し、作業完了するとクラウドソーシングサイトを通して報酬を受け取れます。
他にも体力に自信がある人には、倉庫での軽作業やフードデリバリーの仕事なども人気があります。また最近では、ライブ配信の投げ銭などで本業より稼いでいるという人もいますので、ゲームが得意だったり喋りに自信があるという人は試してみるのもいいかもしれません。
収入が増えても生活レベルを上げないことが貯金への道
もし、収入アップが実現した際には、今までの生活レベルを上げないように気を付けましょう。収入が上がったからと言って贅沢な生活をしていると、贅沢なお金の使い方に慣れてしまい元の質素な生活には戻れなくなってしまいます。
特に住む場所をランクアップしたり新車を購入するなど、固定費をあげるのは極力控えましょう。もしも収入が元に戻ってしまった場合でも、固定支出はすぐには戻せません。
贅沢がしたくなった時は、おいしいもの(有名なお店のコース料理)を食べたり、行ったことのない場所への旅行など、自分を成長させる「経験への投資」に使う方が賢明です。
手取り15万円で一人暮らしをしながら貯金をしている人
ここでは実際に手取り15万円で一人暮らしをしながら貯金している人のTwitterや知恵袋の口コミを紹介しています。具体的に内訳を記載している人もいますので参考になるかもしれません。
自分で言うのも何ですが
残業なし手取り15万程度の一人暮らしでこんだけスノボ行ってて貯金少しはあるの偉いと思うんです🥲引用元:Twitterの口コミ
以前、手取り15.5万で北関東住みで車所有していました。
~内訳~
家賃4.8万(駐車場・ネット無料)
光熱費1~1.5万
食費2万(基本自炊、米は実家から貰えた)
通信費3000円(楽天モバイル通信費+サブスク)
雑費5000円(保険+NHK)
ガソリン代5000円
車維持費1.2万(保険+税金+車検を割った額)
貯金1.5万
小遣い3万(趣味・美容費・日用品)
以上です。引用元:Yahoo!知恵袋の口コミ
手取り15万であれば、5.5万でも余裕だと思いますよ。
食費は人によりますが、他が結構高めですね。
食費:30000円
水道光熱費:10000円
携帯:3000円
wi-fi:5000円
日用品:5000円
予備費:10000円(美容費や医療費用の積み立て)こんな感じでしょうか、合計6.3万です。
勝手に携帯代をwi-fiと分割しましたが、携帯で支払いを行っているというのであれば、クレカ代として予備費から出せばよいですし、シンプルに携帯料金のみで1万だったら正直高すぎるので、趣味代として別で計上したほうが良いかと。
趣味で使っていないのであれば、格安SIMをすすめます……引用元:Yahoo!知恵袋の口コミ
手取り15万で一人暮らし、車も所有していたという人もいました。格安SIMを使用していたり水道光熱費を1万~1.5万におさえるなど、工夫しながら生活されていることがわかりました。
これから一人暮らしを始めようとしている人は、参考にされてみてはいかがでしょうか?
まとめ
手取り15万円で一人暮らし、その上貯金もしたいという人のために、今回の記事では様々な節約術や生活費の内訳などを紹介してきました。
そして、今後も安定して貯金を続けて心身ともに健康な生活を送るためにも、適度に趣味も楽しみつつ収入アップのために副業や転職も視野に入れておいた方がいいということも分かりました。
手取り15万円でも一人暮らしをはじめることは可能ですし、しっかり家計管理を行うことで貯金も可能ですので、まずは情報収集からはじめてみてはいかがでしょうか。
扶養控除:養う家族がいると税金の負担が下がる
配偶者控除:所得48万円以下の配偶者がいると税金の負担が下がる
配偶者特別控除:一定の収入以下の配偶者が対象
障害者控除:本人または家族に障害をもつ方がいる場合
ひとり親控除:ひとり親の場合
寡婦控除:寡婦の場合