新社会人として一人暮らしを始める方や、家族が増えるため少し広い部屋に引っ越したい方など、人はさまざまなタイミングで新しい生活を始めるための賃貸物件を探します。
家賃の目安は手取りの3割といわれていますが、生活するうえでの必要経費がどんどん上がっていく昨今でも、本当に3割なのでしょうか?
収入に対する生活費のバランスに変わりゆく時代を加味して、改めて家賃の目安を考えてみましょう。
この記事では、家賃の目安やライフステージの変化による家計収支、家賃の目安を考えるときの注意点を紹介します。
目次 -INDEX-
家賃相場とされる3割で家計収支を算出してみる
手取り20万円の給料なら、大体6万円位が3割。
大雑把に考えると確かにその通りですが、では実際に、家賃相場を手取り額の3割で計算してみましょう。
2022年度の家計調査によって発表されている結果から、一人暮らしの生活費に占める家賃以外の固定費の平均的な金額を確認します。
固定費項目 | 食費 | 水道光熱費 | 医療費 | 交通・通信費 | 生活雑貨品・消耗品 | 衣料品等 | 1ヶ月の固定費合計 |
金額(おおよそ) | 40,000円 | 15,000円 | 7,500円 | 20,000円 | 6,000円 | 5,000円 | 93,500円 |
参照元:e-Stat
人により金額の上下、医療費などの要不要はあるとしても、家賃を除いた固定費は10万円前後と考えられます。
下の表では、手取り額の3割で部屋を借りた場合の『自分で好きな用途を決められる額』をまとめました。
手取り額 | 16万円 | 18万円 | 20万円 | 25万円 | 28万円 | 30万円 |
家賃の目安(手取り額の3割) | 48,000円 | 54,000円 | 60,000円 | 75,000円 | 84,000円 | 90,000円 |
手取り額-(固定費+家賃の目安) | 18,500円 | 32,500円 | 46,500円 | 81,500円 | 102,500円 | 116,500円 |
固定費はあくまでも必要最低限の生活を送るうえでの額であって、例えばその中で、外出が好きな方は交通費、携帯電話を頻繁に使用する方は通信費が増えますし、その逆もまたしかりで、固定費といえど金額が上下します。
そして趣味や娯楽などによる、それ以外の費用が固定費の他に発生します。
この計算結果は、『それ以外』がどのくらいを上限として使えるかを示しています。
細かい数字が多少違いますが、手取り17万円のリアルなやりくりはこちらの記事をご参考ください。
⇒手取り17万の一人暮らしはきつい?節約する方法や対策方法も紹介
ライフスタイルとライフステージで家計収支は変わる
社会人になって一人暮らしを始めると、生きるために必要な経費を自分で稼ぎ出し、その中でやりくりしなければいけなくなります。
そのうちに人と出会い、家庭を築き、子供を育て、親御さんの老後を陰日向となり支えるなど、社会的立場も変わっていきます。
そんなライフスタイルやライフステージは、家賃と全く関係のないものではありません。
ここからは、ライフスタイルやライフステージの変化と家賃の関係を紹介します。
ライフスタイルと固定費の関係
日頃の疲れを癒したり、自分らしさを解放したりするため、好きな趣味や行動を選び取っていくことは、仕事で生活を支える毎日を心身共に健康に送っていくために必要なことといえます。
事業を営む場合は、売り上げや生産量、原材料費の変動によって上下する『変動費』がありますが、個人の生活の場合も変動費が発生します。
趣味や娯楽、外食、普段使わない日用品なども、費用が発生すればそれは変動費と考えます。
貯蓄は手取りの2割が理想と言われていますが、上の表を見ると、手取り額が低いうちは『貯金はできるときにする』という努力範囲内となり、固定費とは言い難いところがあります。
ライフスタイルによって変わる変動費は、人によっては何かを我慢して固定費を削らないと得られない場合もあるため、根本の手取り額が増えるまで我慢を強いられる方もいるでしょう。
そう考えた場合、家賃は一度決定してしまえば、いくら我慢を強いても削ることがほぼ不可能な絶対的な固定費となります。
家賃の目安である3割が、本当に削減不可能なのかを考えられるかどうかが、後のライフスタイルに大きな影響を与えるといえるでしょう。
ライフステージは変化が必須
社会人に成りたての若い方の手取り額は、まだ16万~20万円くらいでしょうから、残額を趣味などに使ってしまえば、将来の為の貯蓄などは難しくなります。
一人暮らしから結婚などで二人暮らしになると、食費などはほぼ倍になりますが、水道光熱費や広くした部屋の家賃などは、倍まではいかずに済むかもしれません。
そして子供が生まれると、それまで必要のなかった教育費や、節約が可能だった交際費、生命保険料などが増えるため、必要経費を根本から考え直さなければいけなくなります。
こういったライフステージの変化は、自分のことだけを考えていた一人暮らしから、家族を守ることを考える生活への、殆どの方が経験する劇的かつ不可避な変化といえます。
年齢的に手取り額が上がっているとはいえ、その社会的立場から、住まいの形や家計の中の家賃の負担割合など、バランスを改めて見直すことが必要になっていきます。
家賃の目安を考える時の注意点
ここからは、これから部屋を探す方、ちょうどライフステージに変化があって引っ越しを考えている方などが参考にできる注意点を紹介します。
家賃相場を手取り額の3割以下で考えてみる
家賃の予算を手取り額の3割以下で考えてみたことはありますか?
今の時点で3割で考えているのであれば、それ以下の具体的な数字を見てみることを推奨します。
手取り |
3割 |
2.5割 |
2割 |
1.5割 |
16万円 |
45,000円 |
40,000円 |
32,000円 |
24,000円 |
18万円 |
54,000円 |
45,000円 |
36,000円 |
27,000円 |
20万円 |
60,000円 |
50,000円 |
40,000円 |
30,000円 |
25万円 |
75,000円 |
62,500円 |
50,000円 |
37,500円 |
28万円 |
84,000円 |
70,000円 |
56,000円 |
42,000円 |
30万円 |
90,000円 |
75,000円 |
60,000円 |
45,000円 |
ちなみに手取り額20万円で家賃が2割の部屋に住んだ場合、固定費総額を手取りから引くと以下になります。
- 200,000円-(家賃40,000円+固定費93,500円)=66,500円
家賃が3割だと46,500円だった数字が66,500円に増えるため、貯蓄分として理想といわれる2割とはいかないまでも、1割の2万円くらいであれば毎月の貯蓄が可能になるでしょう。
そして、ここではあくまでも月々の手取り分の中でのやりくりを想定しています。通常の家賃に対してボーナスなど臨時的な収入をあてにするのは得策ではありません。
全く余裕のないやりくりをしていると、万が一の医療費などに充てる分が用意できないことになるため、月々の支払いの中でも作れる若干の余裕やボーナスなどで対応できるようにする方が安心です。
「家賃を見直したい」という方は、仲介手数料がなるべく安い不動産会社の利用をおすすめします。以下の記事では、仲介手数料が安い不動産会社が紹介されていますのでぜひ参考にしてみてください。
【2023年最新】賃貸で仲介手数料が安い不動産屋ランキング!評判や口コミを徹底比較!(外部リンク)
家賃以外に必要な住居費も固定費に含める
家賃というと、部屋に対する費用だけを考えがちですが、部屋を借りると共益費や管理費、駐車場代などが付随する場合があります。
他にも、数年ごとの更新料など、住居費は家賃以外にも意外とかかるものです。まとめて家賃と考えるか、別枠で固定費に加えるなど、しっかりと経費として頭に入れておきましょう。
立地条件や周辺環境で家賃は変わる
交通の便が良かったり買い物に便利だったりと、家賃は立地や環境、地域差で高い値がつくことがあります。
どうしても予算に合わない、最低でも欲しい広さがあるなど、譲れない条件がある中で家賃を見直すときは、ちょっとした不便さを引き換えにすると解決できる場合もあります。
希望の予算に絞るためにも、まずは借りたい地域の相場から調べてみましょう。
まとめ
家賃の目安について、生活費とのバランスの視点から詳しく解説してみましたが、いかがでしたか?
人によって削れる費用や我慢できるポイントなど落としどころはさまざまで、それを取捨選択できるのもご自身だけです。
住む場所を決めるということは、予算も勿論ですが、自分の中で何が大事なのかを明確にできる良い機会なのかもしれません。