社会人として会社での仕事にも慣れてくる20代前半に一人暮らしを始めてみたいと思っている方も多いことでしょう。ただ、20代前半の一般的な手取は17万円といわれており、実際に17万の手取では一人暮らしをすることはとてもきついといわれています。
では、ほんとうに17万円の手取では一人暮らしすることは難しいのでしょうか?ここでは手取17万円で一人暮らしをするためのシミュレーションや17万円の手取りで一人暮らしをするための対処法などを詳しく解説しましょう。
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手取り17万円の一人暮らしがきつい理由
一般的に手取り17万円では一人暮らしをすることが経済的にとてもきついといわれています。その理由はいろいろあり、個人によって手取り17万円での生活がきつい理由は違うでしょう。
まずは、一般的に手取り17万円での一人暮らしがきつい4つの理由を紹介します。
きつい理由①趣味や娯楽に使えるお金が少ない
手取り17万円では、毎月の家賃や食費、光熱費などの固定費がかなりの割合を占めてしまいます。そのため生活に余裕がなく、自分の趣味や娯楽などに使うことができる金額が少ない状況です。
友人からの遊びの誘いにもお金がないことで断らなくてはいけないことがあり、付き合いが悪いと交友関係にも何らかの影響があるかもしれません。
また、生活に余裕がないため自分の好きなことや趣味、娯楽が行えないことは精神的に大きなストレスとなってしまう可能性があります。
きつい理由②貯金ができない
手取り17万円ではボーナスを入れた年収はおおよそ270万円から300万円で、生活するうえでは毎月の給与のほとんどは生活費で失くなってしまうため思うような貯蓄をすることができません。
また、ボーナスは金額の大きなものや毎月の給与では購入することができないものなどに使ってしまうと貯蓄に回すことは難しいでしょう。
手取り17万円で生活している人は、貯蓄がないことで将来に不安を感じながらもどうすることもできないジレンマを感じている人が多くいます。
きつい理由③自炊が前提となる
手取り17万円では多くの食費をかけることができません。一人暮らし世帯では毎月の食費は3万円程度です。
毎月の食費が3万円ということは一日の食費が約1,000円ということになり、一食あたりは約330円程度になります。2023年3月時点で物価の高騰が激しいため一食330円では外食は難しいでしょう。
そのため毎食を自炊することで食費を抑えていく必要があり、できるだけ安価な食材を選ぶことになります。また、外食をするためには比較的手ごろな価格の飲食店を選ぶ必要があるでしょう。
きつい理由④奨学金や仕送りが負担
手取り17万の中で家賃や光熱費、食費のほかに毎月奨学金の返済や仕送りが必要な場合、貯蓄するためのお金を残す余裕はありません。
大学の時に奨学金を借りた人は社会人になってから返済する義務があり、毎月1万円程度の返済が必要になるため生活費として使える金額は16万円以下になってしまいます。
また、実家への仕送りをしなければならないときも同様に生活費が少なくなってしまうため大きな負担となってしまうでしょう。
手取り17万円の人の家賃の目安はいくら?
一般的に家賃は手取りの30%が上限になるといわれており、手取りが17万円の場合は家賃の上限は5.6万円ということになります。つまり家賃が5.6万円より上になると生活を圧迫し、一人暮らしをすることに限界があるということです。
手取り17万円で一人暮らしをするためには5.6万円以下の物件を見つけるようにすることがポイントです。また、手取り17万円で一人暮らしをするためにはできるだけ家賃を抑えることで安定した生活を送ることができます。
会社から家賃補助が出る場合は家賃7万円でもよい
会社によっては家賃補助が支給されることがあります。家賃補助の金額は会社によって違いますが、1万円から2万円程度が支給されることが多いため家賃の補助がある場合は家賃7万円でも十分生活することができます。
ただし、家賃補助は会社における福利厚生のひとつのためすべての会社で家賃補助があるわけではありません。
そのため、一人暮らしを始めるための物件探しをする前に、今自分が働いている会社に家賃補助制度があるのかを確認する必要があるでしょう。
貯蓄をしたい場合の家賃は手取りの4分の1におさえる必要がある
手取り17万円で一人暮らしをする場合、十分に生活をすることはできますが貯蓄をするとなるとかなり厳しい状況といえるでしょう。
手取り17万円のひとり暮らしで貯蓄をするためにはできるだけ家賃を抑えることが重要になります。家賃は毎月かかる出費のため固定費と呼ばれており、固定費を抑えることで貯蓄へ回せるお金を確保することができます。
手取り17万円での家賃の上限は5.6万円ですが、貯蓄をしたい場合は家賃を手取りの4分の1程度に抑える必要があります。
手取り17万の場合の額面給与とその内訳は?【会社員の場合】
会社員の場合は、給与からは厚生年金保険料や健康保険料・雇用保険料・所得税・住民税など法定控除の金額が天引きされ残った金額が手取りということになります。そのため手取りが17万円になるためには額面の給与金額は22万円は必要です。
このほか介護保険料や会社によっては福利厚生費など労使協定によって天引きされる協定控除が行われることがあります。協定控除が行われた場合、額面22万円では手取りが17万円以下になります。
控除項目 | 控除金額 |
---|---|
健康保険料 | 10,857円 |
厚生年金保険料 | 20,130円 |
雇用保険料 | 3,255円 |
源泉所得税 | 4,200円 |
住民税(新卒2年目以降) | 7,292円 |
額面給与 | 220,000円 |
控除後手取り給与 | 174,266円 |
参照:全国健康保険協会
参照:令和5年度雇用保険料率
参照:給与所得の源泉徴収税額表(令和4年分)
手取り17万円で一人暮らしする場合の生活費をシミュレーション
手取り17万円で家賃の目安は5.6万円です。家賃を5.6万円として食費など生活費のシミュレーションをしてみましょう。
家賃の次に費用が掛かるのは食費になります。一人暮らしでの食費の目安は3万円前後ですが、ここではひとつき数回外食することができるように3.5万円に設定しています。ただ、2022年以降の物価高騰の影響でかなりの節約が必要となり光熱費も高くなっているため使い方を工夫しましょう。
また、通信費はインターネットやスマホの契約の見直しなどで安くすることができます。手取り17万円で一人暮らしをすることは可能ですが、経済的に余裕があるとは言えないでしょう。
項目 | 費用 |
---|---|
家賃 | 56,000円 |
家具・日用品費 | 5,000円 |
食費 | 35,000円 |
水道・光熱費 | 15,000円 |
保険 | 5,000円 |
交通・通信費 | 15,000円 |
交際費・娯楽費 | 25,000円 |
その他 | 14,000円 |
合計 | 170,000円 |
参照:統計でみる日本
一人暮らしを行う場合の一般的にかかる費用はいくらなのでしょうか。こちらの記事で詳しく紹介しているので、一人暮らしをはじめる際のシミュレーションの参考にしてみてくださいね。
手取り17万円の一人暮らしがきつい場合の対策方法
手取り17万円で一人暮らしをすることは経済的に余裕があるとは言えません。ただ、手取り17万円のひとり暮らしがきついと感じたときの対策方法が3つあります。
一人暮らしがきついと感じたときの固定費の見直し・副業を始める・転職をするという3つの対策方法を解説します。
対策①家賃など固定費を見直す
固定費とは毎月必ず支出する必要がある費用のことで、一人暮らしの場合は家賃・食費・光熱費・通信費などになります。
固定費の中で最も大きな割合を占めるのは家賃になります。そのため家賃をできるだけ抑えることで自由にできるお金が増えることになります。
また、食費は自炊することである程度の節約になり、食材も割安なものを購入することでかなり支出を減らすことができるでしょう。
さらにインターネットやスマホ代などの通信費もキャリアから格安のSIMを使用することで抑えることができるでしょう。
対策②副業をはじめる
手取り17万円で一人暮らしがきつい場合の対策方法は収入を増やすことです。収入が増えることで一人暮らしは経済的にかなり余裕ができます。
そこでおすすめなのが副業を始めることです。仕事をしながら副業をすることでもうひとつの収入源を得ることができます。
会社に勤めながらの副業は時間的にある程度の自由があることが必要です。そのためWEBライター・動画の編集やシナリオライターなどインターネットを利用した副業が手軽に始めやすく、本業に影響することが少ないためおすすめです。
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対策③年収アップを目的として転職する
手取り17万円の人の多くは20代前半といわれています。20代では求人も多く転職するためのチャンスに恵まれているともいえます。
もし手取り17万円では一人暮らしが経済的にきついと考えるときは、収入アップを目指して転職することもひとつの方法です。
じつは20代の転職市場は多くの求人があるため今よりも良い条件の仕事を見つけることができ、大幅な収入アップも夢ではないといえるでしょう。ただし、やみくもな転職では失敗する可能性があるためじっくりと考えて転職する必要があります。
手取り17万円で一人暮らしする際の理想の生活費はいくら?
手取り17万円で一人暮らしをする人にとって生活はギリギリではあるもののできれば将来のためにも少しでも貯蓄をしたいもの。そこで気になるのは手取り17万で貯蓄をしながら理想の暮らしをするための生活費はどれくらいかかるのかということでしょう。
手取り17万で一人暮らしの中で手取りの10%を貯蓄に回すためには、住居費・食費・光熱費などの生活費をどのように振り分ければいいのかをシミュレーションしました。
参照:統計でみる日本
項目 | 理想の割合 | 費用 |
---|---|---|
住居費(家賃) | 25% | 42,500円 |
水道・光熱費 | 8% | 13,600円 |
食費 | 18% | 30,600円 |
保険料 | 5% | 8,500円 |
趣味・娯楽 | 7% | 11,900円 |
通信・交通費 | 7% | 11,900円 |
日用品・被服費 | 5% | 8,500円 |
交際費 | 8% | 13,600円 |
その他 | 7% | 11,900円 |
貯蓄 | 10% | 17,000円 |
合計 | 100% | 170,000円 |
家賃5.6万円で借りられる物件例
手取り17万円で借りられる物件の家賃は5.6万円ですが、どのような物件を借りることができるのかが気になりますよね。しかし、同じ5.6万円の物件でも地方と東京都内ではかなりの差があるといえます。
家賃5.6万円で借りられる東京都内の物件と地方の物件の特徴について紹介します。
家賃5.6万円で借りられる物件例【東京都内】
- アパートタイプの物件
- 間取りは1Rや1K
- 占有面積は約15〜20㎡
- 駅から徒歩10分以上
- 築年数は約20年以上
- バストイレ一緒
- 収納スペースが少ない
- キッチンは1口コンロで作業スペースは少ない など
東京都内で家賃5.6万円の賃貸物件の特徴は、1Kや1Rで占有面積が15平方メートルから20平方メートルのアパートタイプです。築年数は20年以上でバス・トイレが一緒の物件がほとんどでしょう。
また、押し入れなどの収納スペースが少ないことが多いので収納に関しては工夫が必要で、キッチンも狭く食材のカットなどを行うための作業スペースは小さいです。
さらに最寄駅からは徒歩で10分以上の物件が多く、利便性が良いとはいえないでしょう。とくに東京23区で利便性のある物件を見つけることは難しい可能性があります。
家賃5.6万円で借りられる物件例【地方】
- アパートタイプやマンションも選べる
- 間取りは1K〜2LDKなど
- 占有面積は約20〜60㎡
- 2階以上
- 駅から徒歩5分ほどの物件もある
- 新築物件ある
- バストイレが別の物件もある など
地方の場合は、その地域によって違いがありますが東京都に比べると比較的よい物件を見つけることができる可能性があります。
千葉県や神奈川県などの東京近郊では東京都心より少し通勤距離などはかかりますが駅から徒歩で5分ほどの物件もあり、占有面積も20平方メートルから60平方メートル程度の1Kから2LDKくらいの広さがあります。
また、マンションタイプの物件や新築物件を見つけることもできます。トイレとバスが一緒ではない物件もあり、さまざまな選択肢があるといえるでしょう。
家賃を抑えるためのポイント
手取り17万円で一人暮らしをする場合の家賃をどのように抑えるかは生活にゆとりを持たせるためにはとても大切なことです。
ここでは一人暮らしに経済的な心配が少なくなるように家賃を抑えるための7つのポイントを紹介しましょう。
家賃相場の低いエリアで物件を探す
駅に近くスーパーなどのショッピング施設が近くにあるような利便性の高い地域は、一般的に家賃が高く設定されています。
そのため家賃をできるだけ安く抑えるためには、駅から少し遠くなり利便性があまり良くない家賃相場の低いエリアで物件を探すことをおすすめします。
家賃相場が低いエリアでは、相場が高いエリアと同じ家賃でも設備や条件が良い物件を探すことができます。利便性が良い地域ではありませんが、安い家賃で自分の理想に近い物件を探すにはおすすめの方法といえるでしょう。
家賃が安い県トップ10はこちらの記事で紹介しています。コスパの良い居住地を探す際にはぜひ参考にしてくださいね。
各駅停車の駅を狙う
通勤に電車を使う場合、急行や特急が停車する駅の近郊よりも各駅停車の電車が停車する駅の近くにある物件を探してみましょう。急行や特急が停車しない駅のため利便性は悪くなりますが、家賃は比較的低い傾向にあります。
そのため急行や特急が停車する利便性が良い駅の近郊は家賃の相場が高く駅から徒歩10分以上の物件となることがほとんどですが、同じ家賃でも各駅停車の電車だけが停車する駅の近郊は駅から5分以内の物件を探すことも可能になります。
こだわる点と妥協できる点を明確にする
物件を探すときこれだけは絶対譲れないことがそれぞれあるでしょう。ある程度の家賃を出せば自分の理想をすべて満たすことができる物件を探すことができますが、手取り17万での物件探しでは家賃の上限は5.6万円です。なかなかすべてのこだわりを満たしてくれる物件を探すことは困難です。
そこで大切なことは自分がこだわっている点に優先順位をつけること。どうしても譲れない点と妥協できる点をはっきりさせ、どうしても譲れない点をどのくらい満たしているのかを考えて物件を選ぶといいでしょう。
アパートタイプの部屋を選ぶ
アパートとマンションの明確な違いは法律で決められているわけではありませんが、一般的に木造や軽量鉄骨で建設された3階建てくらいまでの共同住宅をアパート、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリートで作られた3階建て以上の共同住宅をマンションと区別しています。
アパートは規模も小さく、立地や同じ間取りであればマンションよりも家賃が低く設定されています。できるだけ家賃を低く抑えたいと考えている人にはアパートがおすすめです。
都市ガスの物件を選ぶ
自炊をするときや風呂を沸かすときに使用するガスには都市ガスとLPガスがあります。同じガスなので使用料金は同じように考えてしまいますが、じつは都市ガスよりもLPガスの方が使用料金が高い傾向にあります。
都市ガスは全ての地域で使用できるわけではなく、都市ガスが使用できない地域はLPガスが使われています。物件の外にLPガスと書かれたタンクがあるときは都市ガスではなくLPガスを使用しています。
そのためできるだけガス代を低く抑えたいときは、LPガスではなく都市ガスを使用する物件を探すようにしましょう。
間取りは1Kを目安にする
家賃は占有面積が広くなると高くなる傾向にあります。一人暮らしの場合、ほかに同居している人がいないため一部屋あればプライバシーを守ることができるので1Kの広さがあれば十分でしょう。
また、部屋の占有面積が少なく天井が高くない物件の場合、冷房や暖房の使用時の熱効率が高くなり電気代の節約につながります。
手取り17万円で一人暮らしをするための部屋を探すときには、天井が高くなく熱効率が良い間取りの物件を選ぶようにしましょう。
家賃を下げてもらうよう交渉する
築30年以上などアパートやマンションを建設してからある一定の年月が経過している古い物件では、大家さんと家賃の価格交渉ができる可能性があります。
築年数がかなり経過している物件はあまり好まれない傾向にあるため家賃が抑えられていますが、さらに大家さんと家賃の価格の交渉をすることで安くなる可能性があります。
必ずしも家賃交渉がスムーズにいくとは限りませんが、部屋を借りている人の人数が少ない場合などは、アパートから引越しされると定期的な収入を失うことになる大家さんとの交渉が成立するかもしれません。
まとめ
手取り17万円で一人暮らしを行うことは経済的にはゆとりを持つことは難しいですが、さまざまな努力と節約することで実現可能といえるでしょう。
ただ、2022年以降物価が高騰してきているため、食費や電気・ガスなどの光熱費などの値上げが相次ぎ、一人暮らしの人たちに大きな打撃を与えていることは確かなことです。
これから手取り17万円で一人暮らしを始める人は経済的にかなりひっ迫したものになるかもしれないため、しっかりとした計画と先の見通しを持つことが大切でしょう。
介護保険料・協定控除(社宅費、財経貯蓄費、労働組合費、社員旅行積立費などの福利厚生費用、使用目的が明白なもの)など労使協定が締結された項目