不動産の査定依頼や賃貸物件探しなど、不動産屋を利用する機会は多くあります。
しかし、「面倒な営業を受けるのではないか」「悪質な不動産屋だったらどうしよう」など、不安に感じている方もいるかもしれません。
悪質な不動産屋はごく一部ではあるものの、選び方を間違ってしまうと上手く断ることができなかったり、流されて契約してしまったりするケースもあります。
自分に合った最良の物件を見つけるためには、信頼できる不動産屋を選ぶことが大切です。この記事では、対応の悪い不動産屋の特徴や断り方、見分け方などを紹介します。
宅地建物取引士
大学卒業後、上場マンションデベロッパーで4年間営業の基礎を学び、退職後は不動産ベンチャーの会社で当時はまだ珍しかった中古不動産のリノベーション販売の部署を立ち上げ、売上20億円までに成長させました。
現在は従業員300人の総合建築企業の不動産部門で若手社員の教育と、今までの人脈を生かし不動産仲介と土地・戸建の仕入業務をしています。
目次 -INDEX-
避けるべき不動産屋の特徴9選
対応の悪い不動産屋には共通の特徴があります。ここでは、対応の悪い不動産屋の特徴を9つ紹介します。
募集物件の内容が良すぎる
掲載している募集物件の内容が良すぎる不動産屋は要注意です。
このような不動産屋はお客様を呼び込むために、良い条件の物件情報を掲載しているおとり物件を出している可能性があります。
そもそも、おとり物件とは不動産屋が集客目的のために利用する借りられない物件のことであり、いわゆる釣り物件のことです。
実際に借りられない物件を客寄せ目的に掲載することは禁止行為であるため、間違いなく避けるべき不動産屋だといえます。
来店を急かす
入居希望日前に契約させようとしたり、どの物件にしようか悩んでいるときに契約を急かしたりする不動産屋は要注意です。
来店を急かす理由としては、自分の営業成績のために急かしたり、他の不動産屋と比較されるのを防ぐことが挙げられます。
一方、お客様の希望条件が優良物件に合致している場合に、他の入居者が決まる前に契約を急かす優良な不動産屋もあります。
避けるべき不動産屋の他の特徴も組み合わせながら、どのような目的で契約を急かしているかの真意を見極めることが大切です。
メリットしか説明しない
物件のメリットしか説明しない不動産屋は避けるべきです。
不動産のメリットしか説明してくれない不動産屋の場合、実際に住んでみてから致命的なデメリットに気付くようなケースもあります。
どんな物件も良い面だけでなく悪い面もあるのが普通であり、それをきちんと案内しないで契約を取ろうとする不動産屋は対応が悪いといえるでしょう。
しかし、優良な不動産屋も最初からデメリットの説明を詳しくしてくることは多くありません。こちらから切り出し、誠実に対応してくれるかがチェックポイントになります。
内見する物件数を限定してくる
物件を内見する際に、物件数を限定してくる不動産屋には注意しましょう。
すべての不動産屋が悪質というわけではないですが、単純に案内するのが面倒だったり、さっさと契約させたいことが理由のケースもあります。
また、内見する物件を比較して選びたいときは、最初の問い合わせの段階で確認しておくとよいでしょう。
1日で見回ることができる物件は5件以内が目安となりますが、できるだけ短時間で回る方が最初の方に見た物件のイメージも薄れにくくおすすめです。
⇒【賃貸版】内見時のポイントは?チェックリストや質問事項を準備して臨もう
見たい物件と異なるものを紹介してくる
見たい物件があって問い合わせをしたにも関わらず、違う物件を紹介してくる不動産屋は注意が必要です。
「問い合わせが来る前に成約になった」「あの物件には問題がある」など、事実とは異なる理由をつけることもあり、別の物件に誘導しようとする場合もあります。
見たい物件と異なる物件を紹介してくるのは、おとり物件である可能性が高いです。
また、事前に内見が予約ができた場合でも、当日になり内見を断られて他の物件を紹介されるケースもあるため注意しましょう。
囲い込みをしている
囲い込みをしている不動産屋には注意が必要です。
囲い込みとは不動産屋が売主と買主の両方から仲介手数料を取るために、自社専任の売却物件を他社から隠す行為のことを指します。
そうすると、不動産屋が持つ顧客にのみ売却物件を販売できるため、仲介手数料を多く得ることができるという仕組みです。
「すでに申し込みが入っていて契約予定です」と言われた物件がずっと売り出し中になっているときは、囲い込みの可能性が高くなります。
なお、囲い込みは売り手と何の合意もないまま物件情報を隠匿する行為であり、違法行為です。
宅建業者の処分歴がある
宅建業者の処分歴がある不動産屋は、悪質な行為をしている可能性があります。具体的には、以下のような行為をすると処分を受けます。
- 不適切な不動産取引が行われた
- 免許更新の手続きを怠った
- 宅地建物取引士が不在の期間が存在した
- 免許を受ける個人や法人の役員等の刑罰があった
もちろん、処分を受けたことで改善している可能性もありますが、過去に不正があった不動産屋を利用することにはリスクや不安も生じます。
このような処分歴は、国土交通省ネガティブ情報等検索システムの利用で調べられるため、あらかじめチェックしておくとよいでしょう。
電話口での対応が悪い
電話口での対応が悪い不動産屋は、営業の基本がしっかりしておらず、社員教育が十分に行き届いていない証拠です。
電話対応が横柄だったり雑だったりすると、その後のやりとりで雑な思いや嫌な思いをすることもあります。
トラブルに発展する可能性もあるため、電話口での対応に違和感を覚えるようなら、その不動産屋は避けた方がよいでしょう。
社員教育がしっかりしている不動産屋なら、電話口での対応も丁寧です。
違法建築物を紹介する
違法建築物を紹介している不動産屋は避けましょう。建築から賃貸まで行っている不動産会社の場合、違法建築の物件を紹介する可能性はゼロではありません。
例えば、自社で建築を行っているなら耐震基準をごまかすことができるため、建築費用を安く抑えることができてしまいます。
違法建築物の可能性が疑われる場合は、物件の検査済証が発行されているか確認しましょう。
これは、物件が建築基準に適合していることを証明する書類であるため、検査済証があれば安心できる物件といえます。
対応の悪い不動産屋に当たった場合の断り⽅
どれだけ注意していても、信頼できる不動産屋かどうかの判断は実際に接客を受けてみないとわからないケースも多いです。
対応の悪い不動産屋に当たった場合は、契約せずに断ることも考えましょう。ここでは、対応の悪い不動産屋に当たった場合の断り方を紹介します。
電話や対面が難しい場合はメールを利用する
対応の悪い不動産屋に当たった場合に、電話や対面だと言いくるめられてしまう可能性があります。電話や対面で断るのが難しいと感じる場合は、メールを利用するのもよいでしょう。
メールは、顔を合わせたり声を聞いたりなどの心理的な負担が少ないだけでなく、文章として残るため、「言った言わない」のトラブルを防ぐ効果も期待できます。
“○○様
お世話になっております。▲▲です。
■■コーポの内見予約について連絡致しました。
内見手配までしていただいたところ恐縮ですが、今回は見送りたいと存じます。
ご案内いただいた物件は日当たりが悪かったことや、部屋を探し始めたばかりなので他の物件もゆっくり見てから判断したいです。
ご対応いただきありがとうございました。
(自分の名前)”
メールを作成する際には、断りたい理由をしっかり伝えることが大切です。
お礼を伝える
不動産屋に断りの連絡を入れる際には、お礼も伝えるようにしましょう。お礼を伝えることで、不動産屋の担当者に悪いイメージを持たれる可能性が低くなります。
どれだけ対応が悪い不動産屋といっても、担当者が時間を割いて労力をかけたことには変わりないため、その点についてはお礼を伝えることもマナーといえるでしょう。
仮にその不動産屋とは縁がなくても、将来にわたって一生無関係だとも断言できません。
何らかの取引で関係を持ったときに問題があるといけないため、最低限のマナーとして不動産屋の対応が悪くてもお礼を伝えることは重要です。
正当な理由をできるだけ早く伝える
不動産屋に断りの連絡を入れるタイミングは、できるだけ早くが望ましいです。
遅くなってしまうと不動産屋の担当者に労力をかけることになり、その分だけ後から断りにくくなります。キャンセルしたいと思ったタイミングで、断りの連絡を入れましょう。
また、相手からの連絡を無視することはNGです。不動産屋においては、一度でも関わりを持った人は見込み客となるため、断らない限りは連絡が続いてしまう可能性があります。
不要な連絡が何度も来ることは精神的なストレスにもつながるため、後延ばしにすることは避けましょう。
避けるべき不動産屋の⾒分け⽅
悪質な不動産屋はできるだけ選びたくないものです。ここでは、避けるべき不動産屋の見分け方を紹介します。
外観や店内に清潔感がない
不動産屋選びにおいて、外観や店内の清潔感があることも重要なポイントです、掃除がしっかり行き届いているか、書類がまとまっているかなども確認しましょう。
また、お店をチェックする際には提示されている店舗の広告にも目を通すことが大切で、図面が新しい場合は取引件数が多いといえるでしょう。
一方、お店に提示されている広告が古い場合は取引件数が少なかったり、細かいところに目が行き届かなかったりなど、不動産屋に何らかの問題が潜んでいるケースもあります。
レスポンスが遅い
問い合わせをした際に、レスポンスが明らかに遅い不動産屋は避けた方がよいでしょう。
レスポンスが遅い不動産屋はスタッフが極端に少ないことが多いため、十分な説明やサービスが受けられない可能性があります。
空室確認をしている途中で他の人に決まってしまったり、内見予約ができずに優良物件を逃してしまったりすることもあるでしょう。
営業時間内に何度電話をしてもつながらない場合、メールやチャットの返信がない場合、後回しにされるような場合は、他の不動産屋を利用することをおすすめします。
路上に看板が出ている
交通の妨げになる看板を路上に出ている不動産屋は避けた方がよいでしょう。
道路交通法では、道路に看板を設置する場合や、看板設置の都合上一時的に交通を遮断する必要がある場合は、事前に許可を取る必要があります。
そのため、ルールを守らず路上に看板を出している不動産屋はコンプライアンス遵守ができておらず、信頼性に大きく欠けるといえるでしょう。
また、本来は提示契約を結ぶ必要があるにも関わらず、電柱に勝手に貼りつけられている捨て看板も違法となります。捨て看板を設置している不動産屋も利用しない方がよいでしょう。
根拠のない断定表現をしている
不動産の表示に関する公正競争規約において、以下のような断定表現を使用することは禁止されています。
- 完璧、完全、絶対、万全
- 業界一、超、抜群
- 特選、厳選
- 最高、最高級、特級
- 格安、激安、破格
取引に直面すると不安や心配がよぎるものですが、そのような心理に対して断定的な力強い言葉で述べられると、同調してしまう場合があります。
もちろん、合理的な根拠を示すものがあれば上記の表現を使っても問題ありません。
しかし、根拠がないにも関わらず断定表現を多用している場合は、コンプライアンスの意識が低い不動産屋といえます。
まとめ
避けるべき不動産屋の特徴や断り方、見分け方について詳しく解説しました。
不動産トラブルに巻き込まれないためにも、不動産屋を選ぶときは信頼や信用などを重視することが大切です。
不動産屋選びで後悔しないためにも、ぜひ本記事を参考にしてください。